幻の角目4灯トヨタ「ランクル60」を発見! 約600万円の値が付けられた「ベネゼエラ生産車」とは
くるまのニュース / 2022年5月30日 11時10分
国内外で根強い人気を誇りトヨタ「ランドクルーザー60系」。アメリカで珍しい個体が販売されていたようです。
■約600万円のランクル60に隠されたストーリーとは
1980年に登場したトヨタ「ランドクルーザー」の60系、通称「ランクル60」は、乗用車としての性格が強められたことなどから世界中で好評を博し、現在でも高い人気を誇る1台です。
そんなランクル60ですが、少々珍しい1台がアメリカのオークションに登場しています。
4年という超長納期が話題になっているトヨタ「ランドクルーザー(300系)」ですが、国産車のなかでももっとも長い歴史を持つクルマのひとつでもあります。それぞれの世代に熱烈なファンがいるのも大きな特徴です。
過酷な環境下でも「生きて帰ってこられるクルマ」であることがランドクルーザー最大の魅力であることはいうまでもありませんが、その一方で世代を追うごとに乗用車として普段使いできる快適性も高められています。
ランドクルーザーの60系、通称「ランクル60」は、それまで特殊用途のためのクルマというイメージを大きく変え、乗用車としての性格を強めたモデルです。
ボディカラーもバリエーション豊かになったほか、オプションでサイドストライプのデカールを貼付することも可能でした。
インテリアも先代に比べて大きく質感を増しており、上級グレードには電動シートや電動サンルーフ、前席シートヒーターが設定されるなど、快適装備も多く採用されています。
また、ロングボディのステーションワゴンというスタイルもランクル60が先駆けといわれています。
いまでこそクロカンやSUVの定番となっているこのスタイルですが、それまでのクロカンの多くは、アプローチアングルを確保するなどの理由からショートボディが中心でした。
そんななかで、ロングボディのステーションワゴンスタイルとなったランクル60は、悪路走破性能と実用性を両立した画期的な存在として、日本はもちろん海外でも好評を博しました。
1980年に登場したランクル60は1989年まで販売されましたが、後継となる80系、そしてその後の100系、200系、300系がそれぞれ乗用車としての快適性を兼ね備えたモデルとなっていることを考えると、ランクル60のコンセプトは40年以上にわたって引き継がれているといえます。
そんなランクル60は、アメリカでも高い人気を誇っています。状態の良い個体であれば、日本国内よりも高値で取引されることもめずらしくありません。
そして現在、カリフォルニア州ロサンゼルスにある中古車販売店ではある1台のランクル60が販売されています。
ホワイトのボディカラーを持つこのランクル60は、一見したところ、なんの変哲もないように思えます。
実際、全体的にコンディションは良好ではあるものの、オドメーターは9万5000マイル(約15万3000km)を超えており、新品同様というわけではありません。
にもかかわらず、付けられたプライスタグは4万6500ドル(約593万円)と、一般的なランクル60に比べて、20%から30%ほど割高に設定されています。
その理由のひとつは、このクルマの「年式」にあるようです。
前述の通り、ランクル60は1989年に販売を終了していますが、海外向けの生産は1990年までおこなわれていました。
しかし、今回販売されているランクル60の年式は「1992年」となっており、生産終了から2年もの月日が経っています。
ランクル60の生産は、日本向けも海外向けも愛知県にあるアラコ(現トヨタ車体)が中心となっておこなっていましたが、実はごくわずかにベネズエラのクマナにある工場でも生産がおこなわれていました。
アラコでの生産が終わったあともベネズエラ工場での生産は1992年まで続けられており、この個体は「ベネズエラ産」ということになります。
本当の意味での最後の1台、つまり「ラスト・オブ・ライン」であるかどうかは定かではありませんが、そういった意味で非常に貴重な個体であるといえそうです。
ただ、実際には特別な装備などがあるわけではなく、機能面でもほかのランクル60と大きく変わることはありません。
そういった意味で、「ベネズエラ産」というのは、あくまでマニアが喜ぶエピソードのひとつに過ぎないわけですが、やはりなんとなく「特別感」を覚えてしまう1台といえるかもしれません。
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