荒削りなブブンが超絶魅力的! かなり尖った走りの高性能車3選
くるまのニュース / 2022年5月28日 6時10分
クルマ好きなら気になる存在なのが高性能車ですが、昨今のモデルは完成度が高すぎてつまらないという人も多いのではないでしょうか。そこで、一時代前の荒削りな部分が顕著だった高性能車を、3車種ピックアップして紹介します。
■荒削りなところが魅力の高性能車を振り返る
スポーツカーに代表される高性能車は、いつの時代でもクルマ好きを魅了する存在です。日本車では1960年代の終わりから高性能車が出現し、一旦は姿を消しましたが、1980年代以降は急激に性能向上が図られました。
高性能車の魅力というと、ハイパワーなエンジンを搭載し、優れた旋回性能を誇り、さらに見た目にも速そうな外観デザインではないでしょうか。
世界的にEV化が加速するなか純粋なエンジンを搭載した高性能車はまだまだ健在ですが、あまりにも完成度が高すぎて、むしろ面白くないという意見の人も多いのではないでしょうか。
そこで、一時代前の荒削りな部分が顕著だった高性能車を、3車種ピックアップして紹介します。
●オートザム「AZ-1」
軽自動車で唯一無二のガルウイングドアを採用した稀代の迷車「AZ-1」
1980年代には軽自動車もターボエンジンの普及により高出力化を果たしました。そして、1990年代の初頭には、軽自動車史に燦然と輝く軽スポーツカーが3台登場し、そのなかでももっとも尖った性能だったのが1992年に発売されたオートザム(マツダ)「AZ-1」ではないでしょうか。
AZ-1の最大の特徴はガルウイングドアを採用したことにあり、ボディはシャープなウェッジシェイプのクーペで、生粋のスポーツカーそのものでした。
エンジンはリアミッドシップに最高出力64馬力のスズキ製660cc直列3気筒DOHCターボを横置きに搭載し、トランスミッションは5速MTのみ。
シャシはAZ-1専用に開発されたスチール製モノコックで、外板の多くにFRPパネルを採用して軽量化が図られ、車重はわずか720kgを達成していました。
この軽量な車体とともにロック・トゥ・ロックが2.2回転に設定されたクイックステアによって、まさに公道を走れるカートといったシャープな走りを実現。
しかし、コーナリング中にアンダーステアから突如オーバーステアに転じることもあるなど、足まわりのセッティングが優れていたとはいえず、ハンドリングはかなりピーキーなものでした。
仕様的には「軽スーパーカー」といえたAZ-1は、まさにバブル景気の申し子といえる稀代の迷車です。
●日産「マーチ スーパーターボ」
ベーシックカーながらツインチャージャーエンジンを搭載した「マーチ スーパーターボ」
日産の現行モデルのなかで、エントリーカーとして長い歴史を刻むモデルが「マーチ」です。
初代は1982年に誕生し、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたシンプルなデザインと、優れた経済性によって、大ヒットを記録しました。
その後、1985年に高性能グレードの「マーチ ターボ」が登場し、さらに1988年にはラリーを始めとしたモータースポーツに参戦するベース車として開発された「マーチR」が加わりました。
しかし、マーチRは簡素な装備で普段使いには適していなかったため、日常での使用を想定した「マーチ スーパーターボ」が1989年にデビュー。
マーチ スーパーターボはマーチRと同じく、ターボチャージャーとスーパーチャージャーのふたつの過給機が装着された930cc直列4気筒SOHC「MA09ERT型」を搭載し、最高出力110馬力を誇り、リッターカーの頂点に君臨しました。
もともと軽量なマーチでしたがマーチ スーパーターボの車重はわずか770kgと軽量で、パワーウェイトレシオは7kg/psを達成し、加速性能は1.6リッターNAエンジン車を凌駕したほどです。
一方、これほどまでハイパワーなエンジンにシャシ性能が追いついていなかったのは否めず、パワーステアリングも装備されないなど、速く走らせるにはクルマとの「格闘」が余儀なくされました。
マーチは1992年に2代目にスイッチされましが、2代目以降はこれほどまで尖った性能のグレードは設定されていません。
●三菱「ランサーGSR エボリューション」
ラリーで圧倒的な強さを発揮するために誕生した「ランサー GSRエボリューション」
三菱は1960年代から積極的にモータースポーツに参画し、そのベースとなる高性能な市販車を次々に開発してきました。
その代表的なモデルのひとつが「ランサー」で、1970年代の初頭には世界ラリー選手権で優勝を飾るなど、優れたポテンシャルをアピールすることに成功し、ランサー=ラリーというイメージが定着しました。
このランサーの高性能モデルで究極の進化形だったのが、1992年に限定販売された初代「ランサー GSRエボリューション」です。
後に「ランサーエボリューション I」と呼ばれることになったランサー GSRエボリューションは、コンパクトかつ軽量なボディのベーシックな4ドアセダンである4代目ランサーをベースに開発されました。
パワートレインは最高出力250馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHCターボエンジン「4G63型」と、ビスカスカップリングとセンターデフを組み合わせた三菱独自のフルタイム4WDシステムを搭載。
パワーウェイトレシオは4.96kg/psを達成し、当時の2リッターエンジン車のなかでも最強と称される加速性能を実現していました。
このハイパワーなエンジンにふさわしいように、外観には開口部の大きな大型フロントバンパーや、ボンネット上に設けられた大型エアアウトレットとエアインレット、大型リヤスポイラーを装着し、ベースとなったランサーの面影を残しつつもアグレッシブなフォルムに変貌を遂げました。
ボディや足まわりも当然のように強化され、サスペンションはスプリング、ショックアブソーバー、スタビライザーが専用となっていました。
しかし、初代ランサー GSRエボリューションは急造されたことから発展途上であり、とくに旋回性能は優れていたとはいえず「加速はすごいが曲がらない」と評されてしまいました。
その後、ランサーエボリューションはシリーズ化されると、加速性能だけでなく旋回性能も飛躍的に向上。まさにエボリューションなモデルとして進化を続けました。
※ ※ ※
近年の高性能車はハンドリングや足まわり、ブレーキなどが高度に電子制御化されており、ドライビングにクルマが積極的に介入することで、安全でスポーティな走りを実現しています。
しかし、ドライビングにクルマが介入することを「是」としない人も一定数存在します。
現在の旧車、ネオクラシックカー人気も、そうした影響があるのではないでしょうか。
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