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大手中古車店の「ナンバー無し走行」が話題に! 「展示プレート」だけでの走行は何が問題? 取締りの実態はいかに

くるまのニュース / 2022年6月13日 7時10分

大手中古車販売店や買取店が自社の展示用ナンバープレートをつけて公道を走る姿が各地で目撃され、写真や動画がSNSにアップされ話題となっています。このような行為はどのような問題となっているのでしょうか。

■話題となった「化粧プレート」での公道走行…なにが問題なのか?

 ビッグモーターをはじめとする大手中古車販売店や買取店が自社の化粧プレート(展示用ナンバープレート)をつけて公道を走る姿が各地で目撃され、写真や動画がSNSにアップされ話題となっています。
 
 このような行為は、どのような問題となるのでしょうか。

 複数のメディアがこの件を記事にしており、「自動車登録番号標(ナンバープレート)無しで走行するのは道路運送車両法違反」などと伝えています。

 確かにナンバープレート無しでの走行は一般的には「車検切れ&自賠責保険も入っていない」と思われるでしょう。

 車検切れで自賠責保険も切れているようなクルマで公道を走ると、違反点数は12点となり90日間の免許停止(前歴0の場合)、最大で80万円の罰金が科されます。

 しかし、こんなにリスクの高い行為をクルマのプロである中古車販売店が日常的におこなうことなどあり得るのでしょうか。

 ましてやビッグモーターは中古車買取台数4年連続No.1をアピールし全国300店舗以上を展開する日本屈指の規模を持つ中古車買い取り&販売店です。

 そのような会社が全国の店舗で日常的に完全に「ナンバー無し」の中古車を公道で走らせていれば、警察なり運輸支局なりが当然、指導や警告をおこなうはずです。

 ちなみにビッグモーターの「行政処分」履歴を国交省のサイトで調べてみたところ、2020年9月に関東地方と九州地方の店舗でそれぞれ20日間、25日間の「保安基準適合証等の交付停止」という処分を受けていましたが、ナンバープレートの掲示に関わる処分などは見つけられませんでした。

 化粧プレートでの走行が「黙認?」状態になっている理由はどのようなことなのでしょうか。

 本当にナンバー無しで走行しているのでしょうか。SNSでもっとも話題を呼んでいた大手販売店のビッグモーターに問合せたものの、返答はありませんでした。

 そこでこのような事情に詳しい複数の中古車販売店業者に聞いてみました。

「ナンバーが完全にない。つまり車検もなければ自賠責保険も入っていない状態で、名のある自動車販売店が堂々と高速道路を走るなんてありえません。

 恐らく、ディーラーナンバーに付け替えるのが面倒であったため、化粧プレートのまま走行したのだと思われます。

 警察に止められたら車内に置いてあるディーラーナンバーと許可証を見せるはずです。

 有効なナンバープレートを正しい位置につけないことは厳密には道路運送車両法の「番号標表示違反」違反となりますが、ディーラーナンバーがあれば自賠責保険も入っています」(神奈川県内の中古車販売店)

「一般人からすれば批判のネタですが、自動車販売や買い取りに携わる業界の皆さんは『ディーラーナンバー付けてないだけでしょ?』って感じになると思います。

 厳密にはダメなことなんですが、販売店だけではなく陸送業者でも普通におこなわれています。

 陸送業者は店舗からクルマを受け取って陸送業者のモータープールか、積載車まで運びます。

 陸送業者も回送用のディーラーナンバーを取得していますからたとえ化粧プレートがついていても、クルマには回送用のディーラーナンバーを積んでいます」(東海地方の中古車販売店)

 しかし「道路運送車両法施行規則」には、ディーラーナンバー(回送運行許可番号標)に関する記載があります。

 それによれば公道を走行する場合には、従来のナンバープレートを車両前後の取り付ける位置にディーラーナンバーを装着することに加えて、ダッシュボードなど見える位置に許可証を掲示しなければいけないとなっています。

 また、国土交通省自動車情報課の担当者は、前述の内容に反した際の対応について次のように話しています。

「ディーラーナンバーは公道を走る際などには必ず車両前後に装着するとともに許可証とセットでなければいけません。

 これに違反した場合には、各運輸支局で定められている『回送運行許可を受けた者に対する行政処分』に記載される違反点数の累計に準じて処分が決まります」

※ ※ ※

 このように定められた取り付けならび表示方法が存在するものの、実際にはそれらが守られていないのが実情のようです。

■ディーラーナンバーって何? 仮ナンバーと何が違う? 事故を起こしたらどうなる?

 陸送業者が回送する際にも化粧プレートのままで走行することもあるということで、都内の陸送業者に聞いてみました。

「都会の狭い道路や混雑した道路では陸送のための積載車を横付けできない場合も多いので、混雑を避けるために広い道路に積載車を停めて、店舗までクルマを取りに行き、ディーラーナンバーを車内に積んで積載車まで移動することは良くあります。

 その場合も化粧プレートからディーラーナンバーに付け替えることはあまりなく、付け替えていないというだけで警察から注意や警告、罰則を受けた話は聞いたことがありません。

 ですが、自動車メーカー系の正規ディーラーや認定中古車を扱うディーラーの中古車を回送(積載せずに自走)するときには、当然ですがちゃんと化粧プレートではなくディーラーナンバーに付け替えます。そこは厳しくいわれています」(都内の陸送業者)

赤く囲われたものが通称「ディーラーナンバー」(回送運行許可番号標)となり条件を満たす業者が申請出来る(撮影:加藤博人)赤く囲われたものが通称「ディーラーナンバー」(回送運行許可番号標)となり条件を満たす業者が申請出来る(撮影:加藤博人)

 では、前述した通称「ディーラーナンバー」とはどのようなものなのでしょうか。

 ディーラーナンバーの正式な名称は「回送運行許可番号標」で、ディーラーナンバー以外に「赤枠ナンバー」「回送ナンバー」とも呼ばれます。

 赤い斜線が入った通称「仮ナンバー」(臨時運行許可番号標)とよく似ていますが、仮ナンバーが個人でも申請できるものです。

 それに対して、ディーラーナンバーは「販売・陸送・整備・製造」の事業をおこなう者のなかで定められた条件を満たす業者しか申請ができません。

 販売業においては3か月間で36台以上(大型・輸入車などを2台に換算する場合も)の販売実績があることが最低条件です。

 なお「仮ナンバー」は対象となる車両1台ごとに申請(自賠責保険も1台ごと)し使える期間は最大5日間。

 車検切れでナンバーのないクルマが車検整備や車検取得のために運行する場合に限られます。

 一般ユーザー向けのカーショウやイベント、サーキット走行などのために会場まで運行するような目的での仮ナンバー使用は絶対にできません。

 ディーラーナンバーは1回の許可(最大5年間使用可能)で複数の自動車に使用できる特例的な回送運行許可制度になります。

 そして販売業者がディーラーナンバーを使用する場合は「販売しようとする自動車の展示・整備・改造、販売した自動車の納車、仕入れた自動車の引き取り、販売・仕入れに伴って必要となる車検・登録・封印のため回送する」自動車が対象となります。

 また「自己の営業所と仕入先、納品先、自動車置場、車体架装工場、整備工場、展示場、顧客所在地、運輸支局間」の回送が許可されています。

 ディーラーナンバーにしても仮ナンバーにしても「見やすい場所に表示する義務」については通常のナンバープレートと同じです。実際に取締りがおこなわれているかは別として、ナンバープレートを正しい方法で表示せずに走行し「番号標表示義務違反」で取締り対象となった場合の違反点数は2点、50万円以下の罰金が科せられます。

 なお、正しい位置にディーラーナンバーをつけずに回送中のクルマが事故を起こした場合でも、ディーラーナンバーに付帯する自賠責保険は「著しい過失」がない限り、適用されるのが一般的です。

 ただし、自賠責保険は本来「被害者保護」の観点で運用される保険になるので、加害ドライバー以外の乗員、歩行者、自転車に乗る人のケガの治療費や後遺障害が対象です。クルマの修理代などの「対物」は対象外となります。

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