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「誰の責任?」 年間32万件の落とし物! 道路上の落下物で事故発生!? 悪いのは「落としたor踏んだ」どちら側なのか

くるまのニュース / 2022年6月15日 11時50分

運転中などで道路上に落下物を発見することがあります。とくに高速域で走行している高速道路上では事故の要因ともいえますが、落下物を踏んで跳ね上げて後続車にぶつけたら誰の責任になるのでしょうか。

■落下物を跳ね上げてしまい後続車にぶつけてしまったらどうなる?

 高速道路や一般道路を走行していると、路上に落下物が落ちていることがあります。
 
 そんな落下物ですが、走行中にうっかり踏んでことにより跳ね上げて後続車にぶつけてしまった場合、どのような問題となるのでしょうか。

 NEXCO中日本が管理する道路上で、交通管理隊が処理した落下物の件数によると、落下物にはプラスチックやビニールが多く、件数は年間約2万2000件にも及ぶといいます。

 次いで、タイヤや自動車付属品などの自動車部品類が7300件、角材やベニヤ板などの木材類が5300件です。

 そんな路上の落下物ですが、警察署の担当者によると「落下物を気づかず踏んでしまった結果、後続車のクルマを傷つけてしまったり、事故を起こしてしまった場合には、道路交通法の『安全運転の義務』に違反してしまう恐れがあります」といいます。

 道路交通法の第70条「安全運転の義務」では、クルマを運転する際にハンドル、ブレーキなどの操作を的確におこない、事故を起こさないように最善の注意を払って運転をしなければならないということが記載されています。

 ちなみに「安全運転義務違反」に該当する主な例として、わき見運転や漫然運転等の「前方不注意」、周囲の安全を十分に確認できていない「安全不確認」、勝手な思い込みで誤った運転をおこなう「予測不適」などが挙げられます。

 このことから、落下物を跳ね上げ、後続車に危害を及ぼしてしまったり、事故を起こしてしまった場合、落下物を避けられなかった不注意などから、前述の法律に反することが考えられるのです。

 ただし、前述の担当者によれば「基本的な事故の責任は落下物を落とした人にあり、そもそも高速道路で物を落としたら道路交通法の違反になります」といいます。

 道路上に落下物を落とした場合には「道路交通法第71条4号の2」、高速道路の場合は「道路交通法の第75条の10」に違反することになります。

 道路交通法第71条4号には「車両等に積載している物が道路に転落し、又は飛散したときは、速やかに転落し、又は飛散した物を除去する等道路における危険を防止するため必要な措置を講ずること」と説明されています。

 また、道路交通法第75条の10には、「自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、(中略)積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない」と記されています。

■過失割合はどうなる? 保険会社に聞いてみた!

 では、落下物を落とした人と落下物を踏んで事故を起こした人の過失割合はどのようになるのでしょうか。

 三井住友海上保険の広報担当者は、落下物を落とした人と落下物を踏んで事故を引き起こした人の過失割合について、以下のように話します。

「落下物を踏んだ後続車側の衝突回避可能性や、落下から事故発生までの時間的経過、落下地点の道路状況などによって、賠償責任の有無や、過失割合の程度が決まります。

 例えば、前方車が積荷を落下させた直後に、後続車が落下物に衝突した場合、後続車両に衝突を予見・回避できる可能性が低ければ、前方車の過失が100%に近くなります。

 また、後続車に衝突を予見・回避できる可能性が高ければ、その分前方車の過失割合は小さくなると考えられます」

 つまり、落下物を道路上に落としたクルマには基本的に過失が発生しますが、落下物によって事故を引き起こしてしまったクルマは、基本的に回避が不可能と見なされた場合、過失割合はゼロに近い、もしくは小さくなるということがわかります。

落下物を回収している交通管理巡回スタッフ(画像:NEXCO東日本)落下物を回収している交通管理巡回スタッフ(画像:NEXCO東日本)

 一方で、落下物を踏んで事故を引き起こしてしまったクルマに、前述のような前方不注意や安全不確認が認められ、落下物を予見、または回避が可能であったとみなされた場合は、後続車にも過失が認められます。

 では、落下物を落としたクルマと落下物を踏んで事故を発生させたクルマによって第三者に被害が出た場合、損害賠償責任はどうなるのでしょうか。

 前出の三井住友海上保険担当者は、第三者への損害賠償責任について「仮に、落下物を落とした人と落下物に衝突して事故を発生させた双方に過失が発生した場合は、『共同不法行為』となり、双方が第三者に対して連帯して損害賠償責任を負います」と話します。

 このことから、第三者に対する損害賠償責任も過失に習い、後続車にも過失が認められた場合には、損害賠償責任、または損害賠償額が相殺されることになります。

 しかし、これらの過失割合はあくまでも基本的な考えであり、実際にはその時の道路状況や落下状態などによって大きく変わる可能性もあるため、一概に過失割合を断定することは難しいといえるでしょう。

※ ※ ※

 前出の警察署の担当者は「誰が落としたかがわからなかったり、意図的ではないことが多いため、必ず取り締まることができるという確約をすることはできないのが実情です」と話します。

 もし道路を走行中に、物を落としたり、落下物を見つけた場合は、事故を未然に防ぐためにも、道路緊急ダイヤルや非常電話に連絡をしましょう。

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