「眩しいハイビーム」は違反になる? 適切使用求められる「前照灯」 状況で異なる違反定義とは
くるまのニュース / 2022年6月16日 7時10分
普段クルマを運転するうえで何気なく使用しているヘッドライトですが、状況次第では違反行為と見なされる可能性があります。どのような行為が問題となるのでしょうか。
■対向車が眩しくならないように…ヘッドライトを消灯して走行は違反?
夜間における前方の視認性向上や周囲に存在を知らせる役割を持つクルマのヘッドライト。
信号待ちなどでは「周囲が眩しくならないように」という思いやりから、ヘッドライトを消灯してスモールランプのみにしている光景を見かけます。
またハイビームのまま走行しているクルマなどを見かけますが、これらの行為は問題は無いのでしょうか。
夜間にクルマを運転する場合には、装備されている灯火類を点灯させなければいけません。
なお、灯火類には前方100mを照らすことが出来る「走行用前照灯(ハイビーム)」前方40mを照らすことが出来る「すれ違い用前照灯(ロービーム)」や、「スモールランプ(車幅灯)」、「尾灯(テールランプ)」などが含まれています。
そうしたなかで、道路交通法第52条の「車両等の灯火」では「車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外のときにあっても、同様とする」と明記されています。
そのため道路交通法通りに考えれば、基本的には信号待ちにおけるヘッドライト消灯やスモールランプのみの点灯は違反行為の対象です。
一方で夜間でもヘッドライトを消灯できることもあり、その条件は道路交通法第52条の2において以下のように定められています。
「車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合または他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げる恐れがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」
つまり、夜間の道路において対向車とのすれ違いや先行車の追従など、交通の妨げになる恐れがある場合にはヘッドライトを消灯してスモールランプのみにすることが可能です。
では、信号待ちなどでスモールランプのみにすることは問題なのでしょうか。首都圏の警察署交通課によれば「その状況次第により異なるため、一概に違反行為かどうかはいえませんが、周囲に自車の存在を示すという意味では基本的にヘッドライトを点灯しておくほうが良いでしょう」と話しています。
※ ※ ※
なお、夜間の運転において、ヘッドライトやスモールランプすべてを点灯させていない場合には「無灯火違反」となる可能性があり、違反点1点、また反則金6000円(普通車)が科されます。
■普段の運転では「ハイビーム」と「ロービーム」のどちらが適切なのか?
クルマのヘッドライトにおける疑問としては、前述の信号待ち時の消灯以外にハイビームとロービームの使い方も挙げられます。
道路交通法において、夜間の運転時にはハイビームを点灯することが定められています。
しかし、前述の道路交通法第52条の2において「夜間の道路において対向車とのすれ違いや先行車の追従など、交通の妨げになる恐れがある場合」には、減光することが可能とされており、都市部などの交通量が多い状況下では必然的にロービームのまま運転することが多くなります。
ロービームが常態化している運転手が交通量の少ない山間部や深夜を走行した際にロービームのままであれば違反行為と見なされる可能性もあります。
一方で、対向車とすれ違う際に減光しない場合には「減光等義務違反(第52条-2)」に抵触することもあり、運転手には日頃からハイビームとロービームを適切に切り替えることが求められるのです。
なお、夜間以外にも悪天候時などには昼間であってもロービームを点灯することで視認性向上や周囲に自車を知らせることが可能なため、状況によって活用しましょう。
マツダ車で採用されている「アダプティブLEDヘッドライト」動作イメージ。対向車に当たる部分のみ減光されている(画像:マツダ)
一方で薄暮時はものが見えにくくなり、見落としを原因とする交通事故が多発する時間帯です。
自分からは見えていたとしても、周りからは見えていないという認識の「ずれ」も起こりやすくなっています。
そうした事故防止などもふまえて、国土交通省は2016年10月に道路運送車両の保安基準を改正し「オートライト機能」の搭載を義務化しました。
これにより、クルマのセンサーが周囲の明るさを検知して、ヘッドライトを自動で点灯/消灯します。
また、最近増えてきたのがハイビームとロービームを自動で切り替える「オートハイビーム機能」を搭載したモデルで、カメラやレーダーで対向車や歩行者などを検知した場合に自動でロービームに切り替えるため、前述のハイビームの点灯忘れを防止する役目も担っています。
※ ※ ※
ヘッドライトを始めとする灯火類は、その状況によって使用方法は異なります。
また前を走行するクルマに追いついたにもかかわらずハイビームからロービームに切り替えない場合には、あおり運転の定義上において「不必要な継続したハイビーム」と見なされることもあります。
こうしたこともあり、ヘッドライトなどの灯火類は適切に使用することが望ましいです。
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