クルマは「左に寄らない」とダメ? キープレフトはどんな時も必須? 寄るべき状況とは
くるまのニュース / 2022年6月24日 16時10分
自動車教習所で自動車免許取得の講習を受けた際、「道路では“キープレフト”をしなくてはいけない」と教わった人も多いでしょう。都心では、車線の左側を自転車や原付バイクが走行している様子が見られますが、キープレフトによって道を塞いでしまうことに法令上の問題はないでしょうか。
■そもそもキープレフトって?法令上の決まりはどうなってる?
自動車の運転免許を取得する際は、自動車教習所に通って講習を受けるのが一般的です。教習所での運転講習の際には、「道路では“キープレフト”をしなくてはいけない」と教わった人も多いでしょう。
都心では、車線の左側を自転車や原付バイクが走行している様子が見られますが、キープレフトによって道を塞いでしまうことに法令上の問題はないでしょうか。
そんなキープレフトは、ときに自転車や原付バイクの通行を妨げ、トラブルになっている事例もあるようです。この問題を考えるうえで重要なのが、キープレフトの定義についてです。
キープレフトについて多くの運転者は「車線の左側をキープしながら走行すること」というイメージを持っている人が多いかもしれません。
道路交通法では、第18条「左寄り通行等」ならびに、第20条「車両通行帯」において教習所で教わる“キープレフト”に関わる条文があります。
第18条では「車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあっては道路の左側に寄って、軽車両にあっては道路の左側端に寄って、それぞれ当該道路を通行しなければならない」とされています。
ここでは「車両通行帯の設けられた道路を通行する場合」は除かれているため、ここで規定されている道路は、郊外や生活道路などに多く見られる、通行帯が片側一車線のみの道路となります。
18条の規定によって、通行帯が片側一車線しかない道路を走行する際には、基本的に道路の左側に寄った状態、すなわち、キープレフトで走行しなくてはいけません。
また、第20条では「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」とされており、走行する際に基本となるのがもっとも左側の通行帯であることを明記しています。
ここでは、片側に複数の通行帯がある前提で条文が記載されており、前述した18条とは違うケースにおいての規定であることがわかります。20条の場合は、一般的に連想される“キープレフト”とは異なることがわかります。
この18条と20条が混同した状態でキープレフトを意識してしまうと、通行帯複数ある道路において走行している場合でも、自車が走行している車線の左側ギリギリに寄らなくてはいけないという認識になるでしょう。
ただ、実際には複数車線がある道路において、車線の左側ギリギリに寄って走行する必要はないため、間違った認識でクルマを運転してしまっていることになります。
一方で、同法第34条「左折又は右折」には「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り」とされているため、左折をおこなう交差点の手前では、車線が複数ある道路においても、キープレフトを心がける必要があります。
キープレフトにかかわる問題を考える前に、まずはこのようにキープレフトに関する正しい認識を持つことが重要です。
走行する道路の通行帯の状況によって、キープレフトの考え方が異なることに留意しておきましょう。
■キープレフトで自転車や原付きを妨げてしまう?
そんなキープレフトですが、ときには自転車や原付バイクとトラブルになっている事例もあるようです。
都心ではよく見られる光景ですが、自転車や原付きバイクが、自動車の通行帯の左側を走行しており、隣を走行しているクルマとの距離が近いことがあります。実際に目にして、「ヒヤッとした」という人も少なくないでしょう。
では、キープレフトによって自転車や原付バイクの通行を妨げてしまった場合、法令に抵触する可能性はあるのでしょうか。
首都圏の警察署交通安全課担当者は、このことについて以下のように話します。
「通行帯が片側一車線の道路や通行帯が複数の道路、信号での左折待ちをしている際などは、法令に則ってキープレフトをする必要があるため、結果として自転車や原付バイクの通行を妨げるかたちとなっても、基本的に違反にはあたりません。
ただ、自転車や原付バイクが左側を走行しているなかで、キープレフトをおこなうのは、接触事故の可能性もあって危険だという実情もあります。
周囲の状況をしっかりと確認したうえで、急な割り込みなどにならないような配慮をおこない、常識の範囲内でキープレフトをおこなうことが重要です」
交差点左折時の左幅寄せは基本的なルール
このように、法令に則ってキープレフトをおこなう必要はありますが、実は、前述した18条・20条の双方には「道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この規定の限りではない」ともされており、周囲の状況によって柔軟な対応が求められています。
※ ※ ※
もちろん、キープレフトを意識しすぎるあまり、自転車や原付バイクと接触した際には、交通事故として、クルマの運転者に大幅な過失割合がつきます。
また、前出の担当者も「左に寄ることに意識しすぎて停止線を超えてしまったり、信号無視になってしまったりする可能性もあるので、周囲の状況にしっかり注意してほしい」と話し、運転中はキープレフト以外にも注意を払うよう呼びかけています。
周囲の交通に危険を及ぼさない範囲でのキープレフトを心がけるようにしましょう。
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