レースで使うツルツルの「スリックタイヤ」で公道を走れる? タイヤの溝「あり/なし」違いは一体ナニ?
くるまのニュース / 2022年6月18日 14時10分
一般的なタイヤはたくさんの溝が設けられていますが、F1などのレースで使用するタイヤは溝がなくてツルツルです。この溝がないタイヤで公道を走ることはできるのでしょうか。
■レース用の溝がない「スリックタイヤ」とは?
一般的なクルマに装着されるタイヤにはたくさんの溝が設けられていますが、F1やスーパーGTといったモータースポーツでは溝が存在しないツルツルのタイヤが使用されます。
サーキットで使用されるレース用のタイヤは「スリックタイヤ」といいますが、この溝がないタイヤで公道を走ることはできるのでしょうか。
スリックタイヤは、使用されるゴム(コンパウンド)が普通のタイヤと比べて非常に柔らかく、走行すると摩擦熱でゴムが溶けて粘着力が増し、高いグリップ力を発揮。サーキットなどでの高速走行や高速コーナリング時に適したタイヤです。
一方、一般公道におけるタイヤの保安規定は、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第619号第60条で「タイヤ接地部全幅にわたり滑り止めのために施されている凹部が1.6mm以上の深さを有する事」と定められています。
つまり、「タイヤ溝が存在して、1.6mm以上でないと保安基準に適合しない」ということになり、スリックタイヤで公道走行はできないということになります。
公道においてタイヤに求められる条件は、どんな天候でも安定して走行できるということで、そのためにタイヤの溝は非常に重要な役割を果たしているのです。
タイヤには「縦溝」と「横溝」が存在し、縦溝には雨水や泥水、小石などを排出する機能があります。
そのため、縦溝がない、もしくはすり減った状態になると、雨天走行時にタイヤと路面のあいだに水膜が形成され、タイヤが水に浮いた状態になる可能性があります。
これを「ハイドロプレーニング現象」と呼びますが、ハイドロプレーニング現象が起きるとブレーキ制動やハンドル操舵が効かなくなって非常に危険です。
そして横溝は、路面をしっかり掴む機能があります。横溝があることにより直進安定性が向上。タイヤが転がりやすくなり、クルマの燃費向上などにも影響します。
また、横溝は縦溝の排水機能を補助する役割もあり、縦溝で排出した雨水などを横溝で押し出し、タイヤ下部の雨水などを取り除いています。
■タイヤは意外と高額! なるべく長持ちさせたい!
クルマが走行するうえで重要なタイヤは、車検時の溝残量が必須項目になり、4本のうち1本でも溝が1.6mm以下になると車検は不合格になり、その場合タイヤ交換が必要となります。
タイヤは意外と高価な商品なので、なるべく長持ちさせたいものです。タイヤの寿命を延ばすためにはどのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。
月に1回空気圧をチェックしましょう
簡単にできるのは、空気圧を1か月に1回点検することです。
タイヤは空気を通過させる特性があり、そのため時間がたつと空気圧が下がってしまいます。
空気圧が減少したタイヤで走行すると、バーストや偏摩耗、燃費悪化などにつながることから、定期的な空気圧チェックが必要です。
空気圧はエアゲージを使って測定することができ、空気圧が下がっていたらガソリンスタンドなどで空気を補充できます。
また、タイヤローテーションもタイヤを長持ちさせるためには有効です。
タイヤは前輪が操舵を担当するので、後輪よりも摩耗しやすくなります。そこで、前後のタイヤを入れ替える(ローテーション)ことで、タイヤを均等に使用することができます。
ほかにも、タイヤの光沢を出すために洗車後にタイヤワックスを塗る人もいると思いますが、これにはゴムを保護する効果も期待できます。
ただし、頻繁に塗りすぎるとタイヤのゴムに含まれる劣化防止剤がなくなってしまうので、使用頻度に関しては注意が必要です。
※ ※ ※
モータースポーツでも、雨が降ると各マシンが一斉にピットインして、スリックタイヤから溝があるレインタイヤに履き替える光景を目にします。
雨で路面が濡れた状態で走行するうえで、タイヤの溝がいかに重要かがわかるでしょう。
タイヤは路面とクルマをつなぐ唯一の部品で、その接点はタイヤ1本あたりハガキ1枚分とわずかな面積でしかありません。
日頃からタイヤの状態をチェックして、安全に走行できるように心がけましょう。
なお、ミニバンや貨物車など背の高いクルマは横風の影響を受けやすく、走行中に絶えず車体が揺れている状態となり、その影響で横溝の消耗が予想以上に早く進む傾向があります。
背の高いクルマは、定期的に横溝のチェックもおこなうことをお勧めします。
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