マツダ新型SUV「CX-60」はコスパ最高!? 実車に触れて分かった5つの「とがった」ポイント
くるまのニュース / 2022年6月26日 11時50分
マツダのSUV「CX-60」は、挑戦的な価格設定やパワートレインなど話題に事欠かない新型モデルです。今回はそんなCX-60の実車に実際に触れてみて分かった5つの注目ポイントを紹介します。
■実車に触れて分かった5つの「とがった」ポイント
マツダのSUV「CX-60」は今、大きく注目されている新型車の1台でしょう。
同社の次のステップとなる「ラージプラットフォーム」を採用する初のモデルで、駆動方式は後輪駆動。そのうえ直列6気筒エンジンの搭載を前提とした車体構造とするなど、話題に事欠きません。
そんなCX-60は、2022年4月にスタイルと基本情報を公開した「ジャパンプレミア」に続き、ついにグレード構成や価格、装備内容などの詳細が発表されました。
そんな新情報、そして9月の発売に先立ち、一足早く実車に触れて感じた5つの注目ポイントを紹介しましょう。
●ベースグレードは衝撃の安さ
価格表を見て驚いたのは、きっと筆者(工藤貴宏)だけではないと思います。確かにマツダの乗用車として初めて500万円を超える高額グレードを設定するなど“上方向への拡大”に注目がいくのは否めません。
しかし、逆にボトムグレードの価格にも驚きます。なんと、300万円を割り込んで299万2000円(消費税込。以下同じ)から選べるのです。
この価格は、同じくSUVの「CX-5」と比べてればどれだけ衝撃的なものか分かるでしょう。
CX-5の最安グレード(特別仕様車を除く)は「20Sプロアクティブ」で、その価格は290万9500円。対してCX-60の「25 Sパッケージ」は、排気量を500cc増やして格上げし、一回り大きなボディとコストのかかったシャシー&サスペンションを組み合わせ、さらに常識的な先進安全装備も含んだ上でこの価格を実現しているのですから、実質的な値下げにほかなりません。コストパフォーマンスは最高です。
●インテリアのオリジナリティの高さ
一方で500万円を超える高価格帯のグレードは、マツダとしては大きなチャレンジ。パワートレインはシステム出力323psとマツダ史上最強のパワーを誇るプラグインハイブリッド(2.5リッター4気筒ガソリンエンジン+モーター)や、マイルドハイブリッドの3.3リッター6気筒ディーゼルを用意しています。
そんな上位モデルをアピールするためにマツダが盛り込んできたのが、オリジナリティあふれる上質なインテリアです。
その真骨頂といえるのが「Premium Modern」のコーディネートで、織物に“かけ縫い”を組み合わせて日本の伝統美を具現化したダッシュボードは、息をのむほどの上質さに満たされています。
日本の伝統美をモダンにして展開したこのコーディネートは、ほかでは見たことがありません。デザイナーによると、ドイツや北欧のプレミアムSUVと比較されるのにあたり、「日本らしさを重視した」といいます。
■「走りの楽しさ」でいえば、4気筒モデルのCX-60が頂点?
●小型車並み!? ディーゼルの燃費がすごい
ディーゼルエンジンは、CX-5の4気筒2.2リッターから6気筒の3.3リッターへと大型化されています。パワーやフィーリングの面では歓迎したい6気筒化ですが、一方でディーゼルのセールスポイントである燃費を考えると大型化は魅力ダウンと考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、実際はそうではないのです。
モーターを組み合わせないディーゼルエンジンを搭載した仕様のWLTCモード燃費(2WD車)は、なんと19.8km/L。目を疑うような数値で、当然ながらCX-5の17.4km/Lを超えています。
これがマツダの考える「環境性能と走る楽しさの両立」で、排気量アップの余裕を出力向上ではなく環境性能へと振り分けることでこの燃費を実現できたのです。
この燃費は排気量1.8リッターディーゼルエンジンを積むコンパクトSUVの「CX-3」並みであり、まさに常識が崩れました。
マツダ新型「CX-60」(画像は「SKYACTIV-G 2.5」搭載車)
●トルコンレスの8速ATが凝っている
これまでマツダのトランスミッションは6速でしたが、CX-60では待望の8速化が実現しました。そして、このATユニットがなんとも常識外れ。
一般的にATはトルクコンバーターという装置を組み合わせますが、CX-60のATはそれを備えず、代わりに電子制御の多板式クラッチをセット。ギヤボックス自体や遊星歯車を使う一般的なATと同じ仕組みですが、自動制御のクラッチを組み合わせることで“滑り”をなくしてダイレクトな加速を実現しています。
超シンプルに説明すると、電子制御のクラッチはMT車のドライバーが左足でやっているクラッチの“切る/つなぐ”を自動化したものと考えれば分かりやすいでしょう(ATなので変速操作も自動でおこないます)。
いわゆるデュアルクラッチでもない、ほとんど採用例のない仕掛けですが、MT車やデュアルクラッチと同様のダイレクト感を味わえるのが特徴です。
●4気筒モデルのフロントミッドシップがすごい
プラグインハイブリッドモデルではない4気筒モデルは“廉価仕様”と思われるかもしれません。しかし走りの楽しさからいえば、この仕様がCX-60の中で頂点かもしれません。
その理由は、エンジンの軽さと置き方。フロントエンジン車で同じ車体に積む場合は、エンジンが軽いことから6気筒エンジンよりも4気筒エンジンのほうがハンドリングに優れることはよく知られています。
しかし、CX-60のエンジンルームを見て驚きました。エンジンはフロントサスペンションの付け根よりも後方に置かれていて、完全なるフロントミッドシップを実現しているのです。4気筒モデルはCX-60シリーズの中のハンドリング番長なのです。
また、走り好きの中には、少しパワーが足りないくらいがアクセルを踏み込むよろこびを味わえるので、運転が楽しいという人も少なくありません。
具体的にいえば「マツダ3」の1.5リッターエンジン搭載車や「ロードスター」の心地良さがそれに相当しますが、控えめなパワーとしたCX-60の4気筒モデルもそれと同じ楽しみが備わっているのは間違いないでしょう。運転好きなら、「25S」系のモデルを要チェックです。
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