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待望の6速MT追加! 「スープラは終わらない…」最速試乗で見えたワクドキなGRスープラの魅力は? 伝説の新章始まる!?

くるまのニュース / 2022年6月24日 6時10分

TOYOTA GAZOO Racingは「GRスープラ」にファン待望のMT仕様を設定しました。最速試乗したその感想はどのようなものなのでしょうか。

■新たな「GRスープラ」に最速試乗! 6速MTの魅力はドコ?

 2022年4月28日にTOYOTA GAZOO Racingは、「GRスープラ」の一部改良モデルを発表しました。

 同年夏頃より商談受付が開始される新たなGRスープラには、どのような魅力が詰まっているのでしょうか。

 2019年に17年ぶりの復活をとげた5代目GRスープラはBMWとの共同開発で生まれたモデルです。

 デビュー当初のモデルはハンドリング特性に賛否があったものの、「86の兄貴分」と呼ぶにふさわしい豪快なハイパワーFRスポーツに仕上がっていました。

 その後もチームは開発の手を止めることなく、翌2020年に改良モデルを発表。

 登場からわずか1年目にも関わらず、エンジン/ボディ/サスペンションなどにメスが入る本格的なものでした。

 その走りは全体的に緊張していた筋肉がほぐれた印象で、強さのなかにしなやかさをプラス。まさに「成長」という言葉がふさわしい進化でした。

 あれから2年、2回目の改良がおこなわれた通称「2023モデル」と呼ばれる新型に、袖ヶ浦フォレストレースウェイ(千葉県袖ケ浦市)で試乗してきました。

 実は1月に開催された「東京オートサロン2022」で、モリゾウこと豊田章男社長が「Zには負けませんから!!」としきりに口にしていましたが、その答えがコレになります。

 見た目の変更はわずかです。エクステリアは新ボディカラー(RZ:台数限定でマットアバランチホワイトメタリック、全グレード:ボルカニックアッシュグレーメタリック/ドーンブルーメタリック)と、GRヤリス/GR86と統一性を持たせた新デザインのアルミホイールの採用にとどまります。

 とはいえアルミホイールの変更は効果的で、従来モデルよりも軽快な印象になっています。個人的には、エアロパーツの追加などでもう少し「野性味」を感じさせる演出があってもよかったかなと。

 インテリアは、タンカラー内装(RZ)の追加とJBLプレミアムサウンドシステムの音質最適化です。

 質感は高まった印象を受けましたが、スポーティさよりもプレステージ性を上げている印象が強く、個人的にはMTよりATのほうが似合うように感じました。

 今回の改良の最大のトピックは3リッター直列6気筒ターボを搭載するRZへの、6速マニュアルミッション(6MT)の追加です。

 現在、モータースポーツの世界はもちろん、ミドルクラス以上のスポーツモデルは2ペダルのトランスミッションがデフォルトですが、そのようななか6MTを追加した理由について、開発責任者である硲 文彦氏はこのように語っています。

「理由は単純明快で、やはり『スープラをMTで乗りたい』という声が非常に多かったことです。

 すぐにでも追加したかったのですが、開発に時間が掛かってしまい。ちなみにこの6速MTは完全な新設計で、このエンジンとの組み合わせはBMWには存在しません」

 リリースには「ハイパワーエンジンを操る楽しさを追求した6速トランスミッションを新たに開発」とありますが、もう少し具体的にいうと、BMW「3シリーズ」のミッションケースに「M4」のギアを組み込んだユニットで、ギア比もGRスープラのエンジン特性に合わせた設定となっています。

 もちろん、シフトの形状やシフトフィールもGR独自の味付けとなっています。

 あるエンジニアは次のように開発秘話を教えてくれました。

「開発はコロナ真っ只中だったため現地に行けませんでしたが、ミッションを送ってもらい日本で評価し、リモートでの綿密なやり取りでカバーしました。

 フィーリングの部分を言葉で伝えるのは苦労しましたが、現地には元マスタードライバーの成瀬(弘)の愛弟子であるヘルフィ・ダーネンス氏がいるので、彼が味を調えてくれました」

 一般的に高トルク対応のMTというと、操作力の重さや抵抗感が強く引っ掛かりのあるシフトフィールのものが多いのですが、スープラのそれは、まるでライトウェイトスポーツのように操作力は軽く抵抗感が少なめで、「カチッと入る」というよりも「スコッと入る」といったフィーリングです。

 当然、スポーツカー用ですのでストロークは短めで正確性も非常に高いのはいうまでもなく、そこへ、シフト操作したときにわずかに感じる“しなやかさ”が、シフトフィールに柔らかさと優しさをプラスしている感じです。

 この辺りはトランスミッション各部の絶妙なバランスによるものですが、操作時の印象はBMWよりもGR86/GRヤリスに通ずるものを感じました。

 GRスープラの8速ATは、シフトスピードや正確性、ダイレクト感などにおいてDCT並みの仕上がりであることは“左脳”が理解していますが、MTの無駄を楽しむという行為はまさに“右脳”の気持ちよさです。

 正直に言えば、ミドルクラススポーツは2ペダルでいいかなと思うところもありましたが、やはりMTの組み合わせは良いものです。ただ、個人的には「MT万歳!!」ではなく、どちらも選択できることが嬉しいです。

■6速MTに注目しがちだけど…ほかにも改良された部分はどこ?

 今回の改良は6MTの追加だけでなく、フットワークも大きく手が入っています。

 具体的には、全グレードでショックアブソーバーの減衰特性の最適化、スタビライザーブッシュの特性変更、制御系(AVS/EPS/VSC)の見直しを実施。

 これに加えて、RZは1本あたり1.2kg軽量化された新デザインの19インチ鍛造アルミホイールも採用されています。

 硲氏は「フットワークは走りのリズムを生むキッカケとなるステアフィールに注力し、それに合わせてサスペンションのチューニングをおこなっています」と教えてくれました。

 実際に走らせてみると、まさに「成熟」という言葉がふさわしい印象です。

 従来モデルは、基本素性に優れるもどこかクルマがカクカク動く印象で、それがピーキーな印象に繋がっていたのですが、新型はとにかく「素直」。

 具体的にはコーナリングの一連の流れに連続性が増しているので、クルマの動きの予測がしやすくなったといった感じでしょうか。

 従来モデルは予期せぬテールスライドにドキッとすることもありましたが、新型はクルマなりに走らせると基本は安定方向であるものの、テールを沈めて踏ん張って蹴り出す感覚はより強まっています。

 縁石を乗り越えたときのアタリの優しさはもちろん、クルマの動きも穏やかです。ちなみにタイヤ(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)の変更はないので、サスペンションのセットアップ変更でより接地性が高まったのでしょう。

ワクドキを感じさせる進化した「GRスープラ」 これこそがGRの味なのか?ワクドキを感じさせる進化した「GRスープラ」 これこそがGRの味なのか?

 これだけいうと、「走りはつまらなくなったのね?」と思われるかもしれませんが、ドライバーがフロントにシッカリと荷重をかけてあげれば、FRらしい大胆なドリフトも可能です。

 そのときのコントロール性も非常に高く、従来モデルで深いアングルにするのは至難の業でしたが、新型は筆者レベルでも大丈夫です。

 とはいうもののドリフトコントロールは、387ps/500Nmのパフォーマンスと2470mmのショートホイールベースなので、「GR86のように容易に」とはいきません。ただ、従来モデルよりも「挑戦したくなる」走りになっているのは間違いないと思います。

 ひとつ残念なのは、クルマの限界が上がったことで、シートのホールド性やフィット感に物足りなさを感じてしまったことです。

 GR86/GRヤリスのシートのレベルが高いことを思うと、GRスープラもそこに近づけてほしいなと。

 個人的には、RZはタンカラー内装よりもスポーツシートのほうが必要のように思います。GRパーツでの設定を期待したいところです。

※ ※ ※

 6MT追加に話題がいきがちですが、今回の改良でGRスープラは、クルマとしてのバランスが整ったと思っています。

 そして今回、試乗して強く感じたのは、兄弟車「Z4」との違いよりも、GRヤリス/GR86との共通性でした。

 つまり、GRとしての「味」が明確になってきた証拠でしょう。「その味とは何なのか?」――筆者は「コントロールするのはドライバー」「懐は深く」「八方美人ではなくキャラを立てる」そして「ワクドキ」だと思っています。

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