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なぜ「世田谷ナンバー」最下位? 図柄版の普及率0.25%…区長「努力しなければ」 新ルールで廃止も?

くるまのニュース / 2022年6月27日 9時10分

全国各地に存在する「ご当地限定の図柄入りナンバープレート」ですが、「世田谷」の図柄入りナンバープレートは、現在申込数が少なく普及に苦戦しているようです。それはなぜなのでしょうか。

■「世田谷」の図柄入りナンバーは普及率0.25%、理由はデザイン?

 ナンバープレートのなかには、ご当地限定の図柄入りナンバープレートを選べる場合もあります。
 
 図柄は地域ごとに異なりますが「世田谷」の図柄入りナンバープレートは、現在申込数が少なく普及に苦戦しているようです。
 
 そこにはどのような背景があり、今後の方針はどうなっているのでしょうか。

 公道を走行する車両にはナンバープレートを取り付けることが義務付けられています。

 そのナンバープレートには、通常のものとは別に2004年から発行が開始されたいわゆる「ご当地ナンバー」も存在。

 ご当地ナンバーを登録するためには、各地域の自治体などが国土交通省へ登録申請をおこなう必要があります。

 国土交通省は、申請のあった地域を「当該地域名が全国的にも認知されていること」、「読みやすく、覚えやすいものであるとともに、既存の地域名と類似し混同を起こすようなものでないこと」といった基準に照らし合わせ、ご当地ナンバーとして登録するかどうかを審査します。

 2022年6月現在、ご当地ナンバーには、「板橋」「船橋」「飛鳥」「高松」「苫小牧」「「富士山」「成田」「世田谷」など全国58地域が登録されており、それぞれ「図柄入りナンバープレート」として、その地域の特色に合わせた限定の図柄が入ったプレートも用意されています。

 ご当地ナンバーはその地域で登録されるクルマに付けられますが、その一方で図柄入りナンバープレートは、ユーザーが任意で選択できるようになっています。

 料金は地域によっても異なりますが、普通車であればおよそ7380円から8740円で交付を受けられ、寄付金1000円の有無によってモノトーンかカラーかも異なります。

 そんな図柄入りナンバープレートのなかでも、普及率が高いのが「飛鳥」のプレートとなっており、国土交通省自動車局の担当者によると普及率は4.88%になっているといいます。

「飛鳥」の図柄入りナンバープレートには、白地に赤やオレンジといった暖色の“朱雀”が描かれ、美しいデザインでありながら、シンプルでスタイリッシュな雰囲気となっています。

 一方で、もっとも普及率が低いのが「世田谷」の図柄位入りナンバープレートで0.25%です。

 前出の国土交通省担当者は「申し込み件数でみても、世田谷ナンバーは最下位の699件となっています」と話しており、ほかの地域に比べて格段に普及していないことを明らかにしています。

 なお、申込件数だけでみると、1位は「熊本」で3万3205件もの申し込みがあるといいます。これは、世田谷のおよそ48倍にもなり、非常に人気であることがわかります。

 では、なぜ「世田谷」の図柄入りナンバープレートの普及率は低迷してしまっているのでしょうか。

 世田谷区役所の担当者は、「一概に言及することは難しいですが、さまざまな理由が考えられると思います」として、以下のように話します。

「例えば、デザインなどで個人の好みは大きく分かれると思いますので、デザインが関係している可能性もありますね。

 やはりキャラクターがデザインされていたり、飛鳥ナンバーのようなインパクトのあるデザインは人気だと思います。

 また、そもそも世田谷の図柄入りナンバーがあることを知らないという認知度の問題もあるのかなと思います」

「世田谷」の図柄入りナンバープレートのデザインは、多摩川とサギソウをイメージしたものとなっています。

 サギソウは世田谷区の「区の花」で、ラン科の多年草の1種です。

 しかし、サギソウ自体は有名な花のひとつとはいえず、おそらく、名前を聞いても花の形をイメージできないという人も少なくないかもしれません。

 その一方で、申込数1位の「熊本」ではご当地キャラクターの「くまモン」、新潟県の「長岡」では名物の花火、「山形」では可愛らしいさくらんぼなど、特色豊かでポップなデザインが多く見られます。

「世田谷」のナンバーは彩度が控えめで、万人に親しみやすいデザインであり、良くも悪くも目立たないプレートになっているといえます。

 さらに、「世田谷」ナンバー適用地域では、ご当地ナンバー成立前にクルマを登録した人は、基本的に「品川」ナンバーとなっています。

「品川」ナンバーは、古くから全国でもっともブランド力のあるナンバーとして知られており、愛着を持っている人も多いといいます。

 実際に愛車の乗り換えとともに「品川」から「世田谷」にナンバーが変わったA氏は次のように語ります。

「元々、日本全国をクルマで旅する趣味あり、どの場所にいって『品川ナンバー』は認知されており、『東京からわざわざきたのか!』という形で話のネタになっていました。

 また少なからず『品川ナンバー』を付けているという優越感もあったと思います。

 しかし、それが『世田谷ナンバー』に変わることで不満に思う人もいると思います。そうした心理的状況であえて図柄入りを選ぶことはあまりないのではないでしょうか」

 また世田谷区内の複数の新車販売店でも「世田谷ナンバーが出来た当初は、『品川ナンバーに出来ないの?』という問合せはありました。図柄入りを希望する人はほぼ見かけません」と話しています。

※ ※ ※

 実際、これまでに実施されてきたさまざまな「ナンバープレート人気ランキング」で、「品川」ナンバーが上位にランクインしていました。

「品川」ナンバーの持つ“ブランド力”が「世田谷」ナンバーの壁になっている可能性もありそうです。

■普及率が低いと廃止!? 区長も頭を悩ませる…図柄入りナンバーの新ルールとは

 世田谷区の図柄入りナンバーの普及率の低さをうけて、区長の保坂展人氏は「広報・告知の努力をもっとしなければいけないんだろうという風に思います」とコメント。

 また、今後の対策については、「これから、図柄入りナンバープレートの活用の仕方、あるいは今後どうするのかを担当所管と一緒に、区民の声も聞きながら考えてまいりたいと思います」と述べました。

 国土交通省は2022年4月より、図柄入りナンバープレートに関する新しい制度を定めました。

 制度については、「地方版図柄入りナンバープレート導入要綱」で確認することができます。

 第4章では「図柄の交付期間と図柄の変更 」についての記載があり、「図柄の交付期間は、交付開始日から原則として5年間とする」とされています。
 
 現在、登録済の図柄入りナンバープレートについては、2023年からの5年間(2028年まで)とされており、「更新判断時に更新基準をいずれも満たさない図柄は、交付期間の満了日をもって交付を終了する」として、“普及率”もしくは“交付件数”の条件を満たさない場合には、登録を廃止するか、図柄を変更することになります。

世田谷区は元々「品川ナンバー」だったがご当地ナンバー制度により「世田谷ナンバー」に変わった世田谷区は元々「品川ナンバー」だったがご当地ナンバー制度により「世田谷ナンバー」に変わった

「世田谷」の図柄入りナンバープレートの場合では、2028年までに普及率0.8%、または直近1年間で交付件数500件を達成する必要があります。

「世田谷」の図柄入りナンバープレートの交付開始は2018年10月であり、現在4年ほど経過していますが、現状での交付の状況は前述した通り、普及率0.25%、交付件数は699件にとどまっています。

 2028年以降も交付を継続するためには、普及率を向上させる取り組みをおこなっていく必要がありそうです。
 
※ ※ ※

 なお、前出の世田谷区役所担当者は、今後について次のように話しています。

「普及率を上げていくためにも、広報の力をさらに強めて、より多くの人に知ってもらう、認知度をあげることに注力したいです。

 デザインは区民からの募集であるため、今すぐデザインを変更するということは考えていません。

 この機会に世田谷図柄入りナンバーの魅力が多くの人に知れ渡ればいいなと思います」

 このように話しており、「世田谷」の図柄入りナンバープレートがどのような展開を迎えるのか、動向に注目です。

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