オイル交換をしないままでいると「どうなる!?」 知っておきたい「エンジンオイル交換」のタイミングとは
くるまのニュース / 2022年6月25日 14時10分
クルマのメンテナンスのなかでも重要とされる「オイル交換」ですが、なぜ必要なのでしょうか。適切な交換タイミングなど、エンジンオイルについて改めて検証してみましょう。
■そもそも「エンジンオイル」とは何のために存在しているのか
クルマを所有していく限り必要となる行為が「エンジンオイル交換」です。
エンジンオイルとは何なのか。そしてエンジンオイルはなぜ定期的に交換しなくてはいけないのでしょうか。
定期点検を受けないでいると、愛車のオイル交換を忘れがちになる人も多いのではないでしょうか。
近年のクルマは壊れにくい事もあり、仮に1、2年交換をしなかったとしても、すぐには問題も生じにくいものかもしれません。
はじめに「エンジンオイルは何のためにあるのか」という話ですが、「エンジンの潤滑」がおもな目的となります。
エンジンは多数の金属部品が組み合わされており、高速で回転運動や往復運動を繰り返し、自動車の動力源となります。
金属部品同士が接触している状況では摩擦が発生し、滑らかな動きができなくなります。
エンジンオイルは、金属同士の摩擦を軽減する役目を担っています。
また、エンジンオイルは潤滑作用以外においても、多くの重要な役割を果たしています。
ピストンリングとシリンダの間の気密を保つ密閉作用や、エンジンの燃焼で発生する熱を吸収する冷却作用。エンジン内部でスラッジや煤(すす)が蓄積されるのを防止する洗浄作用。そして金属表面を保護し酸化を防止する防錆作用と、非常に多岐に渡ります。
※ ※ ※
では、エンジンオイルは交換をしないでいるとどうなるのでしょうか。
大きくわけて、3つの能力が低下します。
ひとつめの要素として、潤滑作用が低下します。
正常なエンジンオイルは粘性があり、金属表面を保護しつつ摩擦を低減させます。
しかし劣化で粘性が低下したオイルでは潤滑作用が下がり、金属部品同士の摩擦が防げなくなります。
エンジン内部の動きが悪くなり、自動車を動かすために余計な力を必要とし、燃費悪化に加え金属部品の摩耗などエンジンの寿命にも影響を及ぼします。
ふたつめの要素としては、密閉作用が低下します。
ピストンとシリンダの隙間はピストンリングで密閉はされますが、完全に密着はしていません。
ごくわずかな隙間があり、その隙間はエンジンオイルによって密封されます。
ピストンとシリンダの隙間が小さいほど、燃焼過程で発生するエネルギーロスが起こりにくく、エンジンの性能が発揮されやすくなります。
密閉作用が低下すれば、ロスが増えエンジンのパワーダウンに繋がり、加速が鈍くなるなどの問題が起こります。
3つ目の要素としては、洗浄作用の低下が挙げられます。
エンジンは燃焼時にカーボンスラッジという燃えカスが発生し、エンジンオイルに溶け込みます。
金属の摩擦を潤滑することで生まれる金属粉等の粒子も発生し、これらがエンジンオイルに混入することでオイルは汚れます。
この汚れがオイルに蓄積されていくと、燃えカスなどを吸収しきれなくなり、エンジン内には汚れが残り続け、正常な動作を阻害することに繋がります。
■オイル交換のタイミングは結局どう判断すればいい!?
では、エンジンオイルを交換するかどうかの判断は、何を基準にすれば良いのでしょうか。
エンジンオイルの交換時期は、走行距離と使用期間の両方を考慮する必要があります。
メーカーや車種によって多少前後しますが、交換時期として、自動車メーカーから指定されているのは、一般的な国産の普通乗用車でガソリン車の場合、およそ1年に1回、または走行距離1万5000キロが目安とされています。
エンジンオイル交換の判断が難しい場合は、最寄りの販売ディーラーやかかりつけの修理工場と相談してみるのも手だ(画像はイメージです)
さらに詳しく、エンジンタイプなどの違いによる標準的な交換目安については、以下のようになっています。
・ガソリン車(普通車と軽自動車):1年ごと もしくは走行距離1万5000キロ
・ターボ付きガソリン車(普通車と軽自動車):6ヶ月ごと もしくは走行距離5000キロ
・ディーゼル車 半年から1年ごと もしくは走行距離5000キロから2万キロ
※メーカー/車種によって規定が異なりますので、詳しくは各車種のマニュアルも参照してください。
エンジンオイルは走行距離が短くとも、空気中で徐々に酸化し、性能が低下していきます。
メーカー指定の走行距離に達していなくても、一定の期間で交換は必要となります。
また、シビアコンディション(クルマにとって負荷のかかる厳しい使用状況)と言われる環境下での使用は、標準時における半分の距離と期間で交換することを目安とします。
日本は都市部を中心に信号や渋滞も多く、ストップ&ゴーの多い環境のため、多くの人がシビアコンディションに当たる場合があるので、注意が必要です。
シビアコンディションは以下の状態に該当します。
1.凸凹路、砂利道、雪道、未舗装路など悪路走行が多い(全走行距離の30%以上が次の条件に該当する場合)
2.走行距離が年間2万キロ以上
3.山道・登降坂路が多い(登り下りの走行が多く、ブレーキの使用回数が多い機会が全走行距離の30%以上となる場合)
4.短距離走行の繰り返し(1回あたり8キロ以下の走行が全走行距離の30%以上となる場合)
5.高地走行が多い(標高2000メートル以上での走行が全走行距離の30%以上となる場合)
※ ※ ※
エンジンオイルグレードによる特性の違いも考慮しないといけません。取扱説明書には、メーカー推奨のグレードが明記されています。
グレードとは「SN 5W-30」などの文字で現れているものを指し、前半のアルファベットは「グレード」、後半の数字は「粘度」となります。
「グレード」はオイルの品質、性能を表す規格で、API規格と言われるガソリンエンジン車用オイルで主流の表記です。
ディーゼル車用オイルは「DL-1 0W-30」のように表記され、日本では日本自動車規格(JASO規格)での表記が主流となっています。
数字は「粘度」と呼ばれ、米国の技術者団体(SAE International)が定める規格です。
エンジンオイルは寒冷時(エンジン始動前)から高温時(高負荷・高速走行時)まで、幅広い温度域に対応する必要があります。
「5w-30」の2つの数字は低温時と高温時の粘度特性を示しており、数字が小さければ柔らかく低燃費性に優れ、大きければ硬く高温時の油膜保持力に優れる特性があります。
※ ※ ※
オイル交換のタイミングは、乗り方や過給機の有無等の条件によって左右され、何キロまで、または何ヶ月で交換とは決めきれないのが現実です。
最悪の環境を考慮し、取扱説明書に記載されているグレードのオイルをシビアコンディションでの使用と仮定して交換していけば、間違いはないといえます。
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