コロナ禍関係なく「車中泊需要」は高まっている? 多業種が注目の「寢る戦略」 利用次第で思わぬトラブルも増加か
くるまのニュース / 2022年7月1日 9時10分
コロナ禍以前からアウトドア需要の高まりにより注目されていた「車中泊」。そうしたなかで、コロナ禍後から車中泊需要は益々高まっているといいます。では、実際に各業界においてその傾向はあるのでしょうか。
■車中泊需要は高まっている? 多業種で注目されるワケ
ここ数年、車内で寝泊まりする「車中泊」というものが流行っており、アウトドア業界のみならず、自動車メーカーも車中泊需要に対応する戦略を展開しています。
では、車中泊需要はコロナ禍前後で変化しているのでしょうか。
昨今は自動車業界も、車中泊派ユーザーに着目しています。
ダイハツがおこなった調査において、軽キャブワゴン・軽乗用バンのおもな用途として「レジャー」と回答した人の割合は、2013年の28%から2017年では35%と、増加傾向にあるようです。
そうした背景もふまえて、2021年12月にフルモデルチェンジを遂げたダイハツ新型「アトレー」は、開発段階から車中泊を意識していたといいます。
車中泊需要と新型アトレーの関係について、開発担当者は次のように話しています。
「アトレーを軽ワゴンから商用車仕様へ変更した背景には、ファミリー層が『タント』に移行したことが挙げられ、昨今はレジャーや車中泊などで、荷物を多く積むことや、車内の快適性という部分を意識して想定して開発しました。
とくにルーフ部の居住性向上や、窓をはめ込み化することでエンジン始動せずとも換気出来る方法、荷室のフルフラット化や荷室側面の活用方法などにより、車中泊がしやすい空間を作ることができます」
加えて、各メーカーは純正オプションで、快適に車中泊をするためのアイテムをラインナップすることが多くなっています。
さらにECサイトでも車中泊向けグッズが人気で、とくにガジェットの充電や家電の電力供給に便利なポータブル電源は売れ行きが好調だといいます。
以前から車種専用の車中泊純正オプションを販売してきたホンダアクセスの広報担当者は、次のように語ります。
「車中泊でキャンプ、ということに興味関心が高まっている傾向が見受けられますね。
実例としては、テントの片付けが面倒なので車中泊にするとか、女性はテントでは施錠ができないので車中泊をするとかもあるようです。
イベント展示などで紹介していることで車中泊時に活用できるおススメアイテムを知ってもらい、販売店への来店誘因に繋がっている傾向にはあると感じています。
とくに『N-VAN』、『FREED』、『STEPWGN』の車内の窓を全面的に覆う『プライバシーシェード』は好評です。
またルーフコンソールやルーフラックも小物類を入れるのに適していることでユーザーの反応は高いといえます」
※ ※ ※
また、スズキ「ジムニー」やマツダ「CX-60」、トヨタ「ノア/ヴォクシー」などさまざまなモデルでも純正用品として車中泊用のマットが設定されているなど、車中泊需要はもはや安定的なものになっているといえそうです。
■車中泊する場所では需要に変化は見られるのか? 夏は利用に注意すべきワケとは
車中泊ユーザーの増加は、別のところにも見受けられます。
それは「RVパーク」の利用率です。RVパークとは、日本RV協会が“快適に安心して車中泊ができる場所”を提供するための定めた条件を満たす車中泊施設のこと。2022年6月末現在、全国に270か所設置されています。
日本RV協会のアンケートによると、「RVパーク」のユーザーの使用率は2013年が10%以下だったのに対して、2021年には60%を越えています。
キャンピングカーの登録台数自体が増加しているも要因ですが、同施設の認知度が上がっていることも利用率のアップに繋がっているようです。
さらに最近では、キャンピングカー以外の普通のクルマで車中泊をする人が増えているといいます。
静岡県にある「RVパーク用宗」の担当者は「ハイエースやライトエース、軽バンなどで来る人がここ最近増えている」といい、関東近郊のRVパークでも同様の回答が得られました。
そのなかの埼玉県にある「RVパークみどりの村」の担当者は次のように語ります。
「ウチでは2、3年前にTV番組で紹介されたこともあって、緊急事態宣言が発令されていない期間は『一般のクルマで行っても大丈夫?』 という人に多く来ていただきました。
そのほとんどの人が『お金を払ってでも、のびのびと車中泊をしたい』という理由で来場されていました。
なお、利用方法は、エンジンを掛けっぱなしにしない、直火をしないということを守っていただければ、私どもでは敷地内での焚火台の使用や、調理もOKにしています。
そのため、キャンピングカー以外のお客さまに喜んで使っていただいています」
また、静岡県にある「RVパーク伊豆黒根岬」の場合、その立地条件からサーフィンやダイビングを楽しむために車中泊をするユーザーが急増中だといいます。
ここは電源やトイレ、入浴施設、コインランドリーが完備されているという好条件から、こうしたマリンレジャー派の人々がミニバンなどでやって来るようです。
これまではキャンピングカーが多かったが、最近では普通車による車中泊需要も増えているという(画像:RVパーク道の駅「ごいせ仁摩」)
こうした施設関係者のなかには、夏の車中泊に警鐘を鳴らす人もいます。
それは、就寝中の熱中症。エンジンを停止してもサブバッテリーでエアコンを稼働させることができるキャンピングカーと違い、一般のクルマはエンジンを始動させないとエアコンを利かせることができません。
しかし、RVパークだけでなく、キャンプ場や公共駐車場などでも、エンジンの掛けっぱなしは基本禁止です。前出のRVパークみどりの村の担当者は次のように話しています。
「最近はポータブル電源などで稼働する車中泊用スポットクーラーもありますが、私どもの盆地の立地条件では、スポットクーラーをかけても車内温度が下がらず、寝ている間に危険な状態になることがあります。
ですので、ウチでは夏場の普通車の車中泊はお断りしています」
手軽にできてリーズナブルなイメージのある車中泊ですが、高温予報の際には留意すべきことが多そうです。
※ ※ ※
また、昨今は車中泊をするユーザーが道の駅や高速道路のSA/PA、キャンプ場でトラブルを起こすことが増えているといいます。
原因は駐車スペースでのキャンプ行為をはじめ、ドアの開閉やカーオーディオなどによる騒音が挙げられます。
ほかのキャンプ客からの苦情により、車中泊禁止にしたキャンプ場もあるといいます。
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