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丸型ハンドルは譲れない!? 日産の新型軽EV「サクラ」がこだわった3つの“軽らしさ”とは

くるまのニュース / 2022年7月12日 10時10分

日産の軽EV「サクラ」は、EVとしての走行性能や、従来の軽の概念を超えた質感が特徴です。しかし軽にこだわった部分もあるというのですが、一体どのようなところが“軽らしい”といえるのでしょうか。

■新型「サクラ」質感は軽を超えた!?

 EVをリードする日産は、2010年に初代「リーフ」を発売。2017年にはリーフがフルモデルチェンジを受け、その後2021年にSUVタイプのEVとして「アリア」が加わり、今回、日本独自の軽自動車タイプのEVとして新型サクラが登場しました。

 さらなるEV普及に向けて、大中小の日産EVラインナップが完成したことになりますが、軽EVが実現した背景として、現在の日本の新車市場では軽が4割を占めていることが挙げられます。

 軽自動車は日本の狭い道でも扱いやすく、維持費も安いことがメリットです。しかし、64馬力の自主規制によって加速性能に不満があったり、エンジン音がうるさく長時間の運転は疲れる、デザインが安っぽいといったデメリットも存在。

 そんな軽のデメリットを、リニアな加速や静粛性が持ち味のEVで払拭したのが新型サクラというわけです。

 デザインでは、とくに内装の質感が高く、洗練されたインテリアにはソファのような座り心地の良いシートを備え、上質なプライベート空間を実現。

 上級グレードのインテリアに取り入れられたカッパー色のアクセントも美しく、9インチナビや7インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイのふたつの画面を水平にレイアウトしやインターフェースは、視線移動を少なく見やすさを追求したほか、先進的な印象も受けます。

 ベースの「デイズ」の企画時にEVの開発も視野に入れていたことから、電池の搭載位置も考慮して設計。室内スペースを犠牲にすることなく20kWhのバッテリーを載せることを可能にしました。

 外観は上品で落ち着いた雰囲気で、「ミニアリア」といえる先進的なデザインを実現。日本の伝統美である「水引き」をモチーフにしたパーツも取り入れられ、これまでの軽にはない高級感あふれるスタイリングとしています。

 EVであることはもちろん、内外装のデザインの面でも「軽を超えた」と評される新型サクラですが、それでも軽らしさを追求したところもあります。新型サクラのどのようなところが、軽らしい部分なのでしょうか。

 ひとつ目は、丸型ハンドルを採用した点です。

「ノート」や「セレナ」などにはハンドル下部がフラットなD型ハンドルを採用していますが、新型サクラをはじめ、デイズや「ルークス」といった軽には一貫して丸型ハンドルを採用しています。

 というのも、「軽は運転に不慣れな人が乗ることも多く、丸型のほうが操作しやすい」と日産は説明します。

 なお、新型サクラのハンドルにはステアリングヒーターが内蔵されたほか、運転支援システム「プロパイロット」作動時にドライバーが意識を失うなどした場合、静電センサーがハンドルをしっかり握っていないことを検知し、緊急停止する機能も備わっています。

※ ※ ※

 ほかにも、軽は若い女性に使用されることも多く、オシャレなハンドルカバーを装着するカスタムが人気とのこと。

 その一方で、市販されているハンドルカバーは丸型がほとんどなのでD型ハンドルには装着できず、そういった観点も含めて日産は軽に丸型ハンドルを装備しているそうです。

 ただし、カバーを装着するとハンドルを握る部分が太くなって操作しづらいということもあり、日産として装着を推奨しているわけではなく、個人の責任において使用してほしいと付け加えます。

■「軽の自主規制」も規格内でもトルクは規格外!

 新型サクラが軽らしい部分のふたつ目はスペックです。

 軽の規格は、「全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下、排気量660cc以下」となり、新型サクラも全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mmとサイズは規格内に収まっています。

日産新型「サクラ」日産新型「サクラ」

 一方、EVはエンジンを搭載しないため、660cc以下の排気量という規格はどうしたかというと、20kWhのバッテリーの出力を47kW(64馬力)とすることで“軽の自主規制”に合わせました。

 なお、このバッテリーの出力はもっと上げられるといいますが、あえてデチューンして搭載。

 トルクには自主規制が設けられていないので、軽ターボ車の2倍のスペックとなる195Nmを確保し、モーター制御による素早く力強い走りで、圧倒的に余裕のある動力性能を堪能できます。

 軽らしい部分の3つ目は価格です。

 新型サクラの価格(消費税込)は233万3100円から294万300円と、軽としては高額ですが、国からの補助金55万円を差し引くと100万円台になり、軽のガソリン車とあまり変わらない価格で購入することができます。

 積雪地域のユーザーからは4WDの設定が欲しいという要望もあるそうですが、技術的には可能であるものの、重量増によって航続距離が減ったり、バッテリーの搭載方法や容量を増やすなどの対策を施したりすると価格が跳ね上がってしまうため、2WDで価格を抑えたのも軽として譲れなかった部分だといいます。

 EVは価格が高いのがネックだといわれていますが、新型サクラは200万円台を死守。広くEVを普及させるために、戦略的な価格を実現したといえるでしょう。

※ ※ ※

 新型サクラは早くも話題になっており、7月最初の週末時点で1万8000台の受注を達成するなど好調な滑り出しを見せています。

 購入者の半数は日産車のユーザーですが、他メーカーからの乗り換えも多く、さらにはホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」といったスライドドアを持つスーパーハイトワゴンのユーザーが想定以上に多いと日産はいいます。

 また、離島での購入者が多いのも新型サクラの特徴のひとつ。フェリーで海を渡ってガソリンを入れに行く必要があるユーザーにとって、自宅で充電できるEVのほうが利便性が高いというわけです。

 新型サクラの航続距離は180kmと登録車のEVと比べると短いのですが、軽はセカンドカーとして使われることが多く、実際、軽自動車やコンパクトカーのユーザーの約8割は1日当たりの走行距離が50km以下であることから日常使いとしては問題ない航続距離だといえます。

 そして、新型サクラに興味を持ってショールームに来場した人が、自身の使い方と照らし合わせて航続距離がもっと長いリーフを購入するケースもあるなど、新型サクラの発売によってリーフの販売も伸びているようです。

 新型サクラの兄弟車である三菱新型「eKクロス EV」も販売好調とのこと。現時点で日産と三菱以外のメーカーに軽EVは存在しませんが、今後のこの新しいジャンルが日本でどのように発展していくのか、他メーカーの動きも注目されるところです。

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