なぜ寝台特急「北斗星」カスタム誕生? 見た目ほぼ完コピ! いすゞ「ファーゴ」が「ブルートレイン」になった理由とは
くるまのニュース / 2022年7月12日 14時50分
いすゞ「ファーゴ」を寝台特急「北斗星」風のカスタムに仕上げている人が話題となっています。どのようにカスタマイズされているのでしょうか。
■運行を終えたあの列車に乗りたい!いすゞ「ファーゴ」が「ブルートレイン」に
クルマを所有している人のなかには、ボディカラーやパーツを自分好みにカスタムし、愛車に個性をもたせている人が多く見られます。
そんななかSNSでは、いすゞ「ファーゴ」を寝台特急「北斗星」風のカスタムに仕上げている人が話題となっています。
ファーゴは、いすゞが1980年から2001年にかけて販売していたバンタイプの乗用車で、日産キャラバンのOEMにもなったモデルです。
そんなファーゴの北斗星風カスタムとは、一体どのようなものでしょうか。
北斗星風ファーゴを所有しているのは、「北斗星ファーゴ(@hokutoseihiece)」さん。
「ブルートレイン」の愛称でも親しまれた北斗星は、1988年に運行が開始された寝台特急列車です。
運行経路は、上野駅-札幌駅間と、当時にしては、非常に長い距離を走行する列車のひとつでした。
24時間を超える長旅では、個室になった寝室で友人や家族とコミュニケーションを楽しむことはもちろん、シャワーを浴びたり、食堂車「グランシャリオ」で本格的なフレンチを堪能したりすることもできます。
2015年に惜しまれつつ運行が終了された北斗星ですが、北斗星ファーゴさんのファーゴでは、そんな北斗星を随所に感じるカスタムがおこなわれています。
なぜ、クルマに列車風のカスタムをおこなっているのでしょうか。北斗星ファーゴさんは次のように説明します。
「北斗星風のカスタムをおこなった理由は、前作の『ハイエース』がボロボロで、サビ隠しに車体を青く塗ったことから始まっています。
さらに、リヤをぶつけてしまったことがあり、その際に鉄板を溶接して誕生したのが北斗星ハイエースでした。
子供の頃からブルートレインが大好きで、学生時代にはワゴン車をブルートレイン仕様にしたイメージスケッチを描いています。そのことがぼくの心に残っていたのかもしれません」
実は、北斗星ファーゴさんの北斗星風カスタム車両は、ファーゴが1台目ではなく、話にある通り、1台目はトヨタ「ハイエース」を活用して製作されていました。
北斗星風ハイエースも話題になっていたものの、車体の老朽化にともなって、新しくファーゴで北斗星風カスタムをおこなったとのことです。
北斗星風ファーゴの特徴的なポイントは、そのボディカラーです。前述したように「ブルートレイン」の愛称でも親しまれていた北斗星は、その深みのあるブルーのボディが特徴的な列車でした。
北斗星ファーゴさんは、愛車のボディカラーについて以下のように説明します。
「ハイエースが廃車となる際、すでに実物の北斗星は運行が廃止されていて、『いまさら北斗星風のカスタムをおこなうなんてバカげている』と思っていました。
そんなと、たまたま塗料メーカーの人と話す機会があり、特注品かつ本物の国鉄青20号ペンキ(北斗星の実際のボディカラー)が手に入って、3日掛かって刷毛塗で全塗装することになりました。
そうして、まるでいまはなき北斗星風ハイエースに導かれるようにして生まれたのが、今回の北斗星風ファーゴです」
※ ※
このように、実は誕生する予定ではなかった北斗星ファーゴさんの、北斗星風ファーゴ。
ハイエースの際には、ホームセンターで購入したペンキを活用していたそうで、色の点で見ると、ファーゴのほうがより実物に近いものとなっています。
■製作はすべてオリジナル! 驚きの製作費とは
こうして、偶然にも北斗星と同様のボディカラーを手に入れた北斗星ファーゴさんですが、そこからどんどん北斗星風ファーゴ製作が進められたそうです。
北斗星ファーゴさんは、「ハイエースのときと同様に、100均とホームセンターに通って、どうやったら北斗星を作れるかアイデアを練って北斗星風ファーゴは熟成されていきました」として、車両製作について以下のように説明します。
「車体の溶接、内装、カーテンに至るまですべてがワンオフ(オリジナル)で、私の手作りです。
なんといっても、いかに安く、簡単にできるかをいつも考えているので、改造費は10万円位ほどとなっています。
制作時にこだわるのは、“どうやって北斗星とファーゴのデザインを融合させるか”です。
イメージスケッチを何十枚も描いて、油粘土でモックアップを製作して、それから実車の改造に取り組んでいます」
まるでホンモノみたいないすゞ「ファーゴ」の寝台特急「北斗星」風のカスタム(画像提供:北斗星ファーゴ@hokutoseihiece)
このように北斗星ファーゴさんの手によって徐々に完成形に近づけられた北斗星風ファーゴ。
クオリティに反して製作費は約10万円と、いかに活用する材料や製作方法が工夫されているかがわかります。
では、そんな北斗星風ファーゴの街中での反響はどのようになっているのでしょうか。
「北斗星風ファーゴで走行していると、いろんな人が写真を撮ったり、声をかけてくれたりします。北斗星風ファーゴは周りの人の心をほっこりさせる効果があるみたいですね」
※ ※ ※
なお北斗星風ファーゴには、汽笛のような音がなる工夫もおこなわれているようです。
北斗星ファーゴさんは「とくに、北斗星ファーゴの『ピー』という汽笛の音を聴くと、みなさん子供のように喜んでくれます」と話しています。
これには、本物の汽笛を使用しているのではなく、北斗星ファーゴさんが、子供用のアルトとソプラノリコーダーを繋げて製作したアイテムになっているようです。
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