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「気付きにくいパンク」原因と対策は? 徐々に空気が抜けていく「スローパンクチャー」なぜ起こる?

くるまのニュース / 2022年7月30日 9時10分

クルマのトラブルのひとつであるタイヤの「パンク」。高速走行中にタイヤが破裂する「バースト」は非常に危険ですが、実際には徐々に空気が抜けていく「スローパンクチャー」によるトラブルが多いようです。

■ここ10年でタイヤのパンクが増えている

 クルマのトラブルとして、バッテリー関連に次いで多いのがタイヤに関するものです。

 JAF(日本自動車連盟)の、トラブルによる一般道路での出動要請では、ほぼ毎年のように「バッテリー上がり」「タイヤのパンク」「落輪・落ち込み」が上位を占めています。

 バッテリーのトラブルは相変わらず多いのですが、それ以上に増加傾向にあるのがタイヤのパンクです。JAFによると、タイヤのパンク発生件数は10年前と比べて10万件以上も増えているといいます。

 そもそもタイヤは、空気による「内圧」で剛性と衝撃吸収性を両立させる構造です。

 しかし空気圧が減少するとタイヤがたわみ(潰れてくる現象)、丸い円から変形し、その状態で走り続けると一部に圧力がかかって「スタンディングウェーブ現象」が発生。そうすると、タイヤの損傷やトレッドの剥離、最悪の場合はバーストしてしまうといわれています。

 高速道路など、速いスピードで走行中に強い衝撃が加わって一気にバーストすることもありますが、実際は徐々に空気が抜けてしまう「スローパンクチャー」に気付かずに走り続けてしまってトラブルなる事例が多く、その結果、タイヤのサイドウォール(側面)まで傷めてしまったり、ホイールや足回りにダメージを負ってしまったりすることもあるのです。

 このスローパンクチャーが厄介なのは、タイヤに異物が刺さっている、ホイールのリムが変形している、ホイールとの接点である「ビード」に傷が付いている、エアバルブ自体が劣化しているなど、いくつもの原因が考えられることです。

 しかも、エアーを補充することで一旦は正常値に戻ってしまうため、単なる空気圧の低下と勘違いしやすく、発見が遅れがち。

 そしてタイヤに異常が生じているのに走り続け、路面からの衝撃などでエアーの抜けが加速し、タイヤだけでなくホイールや足回りまで傷めてしまうことがあるのです。

■スローパンクチャーの症状は?

 スローパンクチャーになるとどのような症状が出るのでしょうか。埼玉県の現役整備士M氏に聞いてみました。

「見た目で判断しづらいのですが、乗った瞬間にバランスがおかしい気がする、走り出すとハンドルが左右どちらかに取られる、空気圧チェックで1本だけほかのタイヤよりエアーの減りが早いなどの場合は、スローパンクチャーを疑ったほうが良いでしょう。

 とくに中古車の場合、購入時点でタイヤ自体が劣化していることも多く、エアーを補充することでその場はしのげてしまうので、放置されることがあります。

 また大径ホイール&超扁平タイヤに履き替えたとき、扁平になるほど空気圧(内圧)は高めになり、また、ちょっとした段差や縁石などにぶつけてしまうとタイヤのサイドウォールやホイールのリムなどを擦りやすく、この部分の変形によってスローパンクチャーになっていることが多いのです」

クギが刺さったタイヤクギが刺さったタイヤ

 タイヤの空気が徐々に抜けていくスローパンクチャーを防ぐには、定期的な空気圧チェックが効果的かつ正確な対策のひとつだといいます。

「通常、タイヤはエアーの漏れにより1か月で10kPaから20kPa程度低下するものですが、スローパンクチャーになると、1本だけ極端に空気圧が低くなります。

 最低でも月に1回はチェックすることで空気圧低下を早期に発見でき、結果としてスローパンクチャーを防ぐことができるでしょう」(M整備士)

 最近はテンパータイヤやスペアタイヤの搭載が減り、「パンク修理キット」が備わることが増えましたが、スローパンクチャーになった場合も対応可能なのでしょうか。

「修理キットに入っている補修剤は、トレッド面に異物が刺さってできた穴には有効ですが、サイドウォールやビード部分などの裂傷には使用できません。

 あくまで応急処置なので、そのまま走行し続けるのは危険です」(M整備士)

 パンク修理キットの補修剤は、刺さった異物はそのままで隙間を埋める役割を果たしてくれるものですが、完全に穴を塞いでくれるものではないとM整備士はいいます。

 また、異物が刺さって補修剤で応急処置をしたタイヤをその後も使用するのは難しく、根本的な原因となっている異物はそのままなので、穴が大きくなったり、空気圧が下がってしまう可能性があることから、できるだけ早くタイヤを交換すべきだといいます。

「ショップや整備工場にパンクしたクルマを持ち込み、パッチなどで補修すればしばらくは走行できます。

 ただし補修したところから水分がタイヤ内に浸入すると、内部のスチールベルトなどが錆びてしまうこともあります。

 そうなると結局はタイヤ交換が必要になるので、やはり早めに新品に交換したほうが安全ですし、余計な費用を使わないで済みます」(M整備士)

 では、タイヤを交換する場合、パンクしたタイヤだけ替えれば良いのでしょうか。それとも4本全部取り替える必要があるのでしょうか。

「交換の場合、パンクした1本だけでなく4本全部交換したほうがより安全です。

 というのも、摩耗したタイヤと新品のタイヤではグリップ力などもかなり違ってきますし、トラブルを抱えたまま走行してきたことでほかのタイヤにも負荷がかかっています。

 費用はどうしてもかかりますが、4本同時に交換すれば足回りのコンディションをリセットでき、不具合なども出にくいと思います」(M整備士)

 タイヤは消耗部品であり、新しいほうが安全であるといえ、1本だけパンクしたとしても、4本全部交換してリフレッシュするほうが良さそうです。

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