1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

カーエアコン「常に内気循環」はNG!「外気導入」が基本だった!? 車中泊ではどっちのモードを使うべき?

くるまのニュース / 2022年7月26日 9時10分

カーエアコンには「内気循環」と「外気導入」というふたつのモードがありますが、正しく使い分けていない人が多いようです。それぞれのモードは、どのような状況で使い分けるべきなのでしょうか。

■「内気循環」と「外気導入」どっち使ってる?

 夏の暑い時期にクルマに乗ったとき、当然カーエアコンを使用します。最近のクルマはオートエアコンがほぼ標準装備されており、「AUTO」に設定してあとは自動で調整しているという人も多いようです。

 その一方、カーエアコンには「内気循環」と「外気導入」というふたつのモードがあります。これを使い分けてカーエアコンの効きを良くすることができますが、健康面から見ても切り替えが必要な場面があることを知らない人もいるのではないでしょうか。

 夏のカーエアコンの内気循環と外気導入は、どのような状況で使い分けるべきなのでしょうか。

 近年のクルマはかなり気密性が向上しているといわれています。これは主に静粛性を考慮したためで、外の騒音を遮断すれば車内は当然ながら静かになります。

 しかし実際は完全な密閉状態になっているわけではなく、ワイパーの付け根付近にある「外気導入口」から車内に新鮮な空気が取り込まれ、また、リアのテールランプやバンパー周辺に「エアアウトレット」と呼ばれる空気の逃げ道があり、走行中に受ける風を活用して車内の空気を常に換気するように設計されています。

 これを任意で変更できるのが、カーエアコンの内気循環と外気導入です。

 その名の通り、内気循環は外気の侵入をある程度遮断し、車内の空気を循環させるモード、一方で外気導入はエアコン使用時でも車外からの空気を常に一定量取り入れることで換気するモードといえます。

 しかし「外気を取り込む=外気の汚れや臭いまで取り込む」と思い込み、常に内気循環を使用している人もいるようです。

 車内の空間は意外にも狭く、その狭い空間で外気を遮断した状態が続くと、自分自身が排出する二酸化炭素(CO2)でその濃度が一気に跳ね上がってしまうため注意が必要です。

 2019年にJAFは、カーエアコンの内気循環と外気導入によって、車内のCO2濃度にどれくらいの違いが生じるかという検証実験を実施。

 同じ車両でそれぞれのモードを設定し、高速道路や山岳路、市街地などをそれぞれ1時間走行した結果、外気導入モードでは車内のCO2濃度は1000ppm前後を維持したのに対し、内気循環モードでは高速道路や山岳路は4500ppm以上、市街地においては最大6770ppmを記録。外気導入と比べて最大約6.8倍もCO2濃度が高かったのです。

 ちなみに、大気中のCO2濃度は410ppm程度といわれており、建物の室内では、建築基準法によりCO2濃度を1000ppm以下に抑えるように定められています。

 以上を踏まえると、カーエアコンで内気循環モードを連続使用した場合のCO2濃度が、いかに高いかがよくわかります。

 先述のJAFの検証結果でも、東北大学院医工学部の永良教授のコメントで「車内のCO2濃度が3000ppmを超えると、疲労感の増加や注意力の低下、さらに眠気や頭痛の症状を訴える人が増加する」と結論づけています。

 また、たいていのクルマの取扱説明書でも「通常での使用は外気導入モードで」と記載されています。

■「車中泊」はどっちのモードが適してる?

 CO2濃度が高くなることや、自動車メーカーも通常時は外気導入モードの使用を推奨していることを考えると、「内気循環モードは使わないほうが良い?」とさえ思ってしまいます。

 昨今、ホテルや宿を予約せずに、自由なスケジュールで旅ができるとあって「車中泊」がブームとなっています。

「内気循環」と「外気導入」は適切なタイミングで切り替える「内気循環」と「外気導入」は適切なタイミングで切り替える

 夏の暑い時期の車中泊ではカーエアコンの使用が欠かせませんが、キャンピングカー事情に詳しい業界関係者Y氏に聞いてみました。

「軽キャンパーやライトカスタムで標準のカーエアコンのみの場合で車中泊するなら、間違いなく外気導入一択です。

 外気のニオイが気になるからと内気循環を使用していると、就寝中にCO2濃度が高くなりすぎて、逆に体調不良を招く恐れがあります」

 Y氏いわく、ハイエースクラスのキャンピングカーでは、カーエアコンとは別電源で家庭用エアコンをリアに搭載するカスタムも定番とのこと。

 その場合は外気導入モードがない代わりに、常時窓を少し開けて換気を怠らないように工夫している人がほとんどだといいます。

 同じく、車内で寝るときに外気導入にしているというのは、都内から全国各地へ大きなコンテナを輸送している長距離ドライバーのIさん(30代・女性)。

 ただし、シチュエーションによっては内気循環モードを使っているそうです。

「エアコンは基本的に外気導入のままです。トラックの座席部分は基本的に2座+ベッドが設置される広さが確保されているのですが、乗用車よりも車内空間は狭いので、エアコンが効きやすい代わりに換気も重要となります。

 そのため常に外気を取り込み、CO2濃度が高くならないように気を付けています。

 SAやPAで仮眠を取るときも外気導入のままですが、荷卸しなどでエンジンを長時間切ったあとや、暑くなった車内を冷やしたいときなどは内気循環を使うこともあります。

 私は花粉症持ちなのですが、最近はフィルターの性能が良くなっているのか、外気導入のままでも問題ないようです」

 Iさんはカーエアコンの効きを良くするときに内気循環にしているといいますが、ほかにも酪農地域や工業地帯などニオイがキツいときや、大気中に汚れが浮遊しているような区間では内気循環に切り替えることもあるそうです。

 このご時世で、車内の換気にもっとも気を遣っているのはタクシードライバーかもしれません。

 いまだコロナ禍が続いている現在、閉ざされた車内空間で不特定多数の人を乗せるのですから、換気は死活問題。都内で個人タクシーを営むKさん(50代・男性)に話を聞いてみました。

「2020年に国土交通省から要請があり、タクシーのエアコンは外気導入の活用が徹底されています。

 私は主に一般道を走行していますが、モードは常に外気導入にしています。

 さらに、お客さまに安心していただくために、ドライバーはマスクの着用も会社によっては義務付けられており、常にマスクを着用してお客さまに対応しています」

 タクシー車内の感染防止策の一環として理化学研究所(兵庫県神戸市)が最新のスーパーコンピュータ「富岳」を用いて、シミュレーションを実施。

 運転手と乗客2名が、前席と後席に間仕切りを設置し窓を閉めた状態という想定でエアコンの効果を分析した結果、外気導入モードでは車内の空気は約1分半で入れ替わり、1人あたりの換気量はオフィスの2~3倍程度確保されているという検証結果が得られたとのこと。

 外気導入モードのカーエアコンは、オフィス内よりも感染対策が徹底されているともいえそうです。

「さらに5cm程度窓を開け、換気を促すように意識しています。お客さまにとってもドライバーにとっても安全な空間になるよう心がけています」(タクシードライバー Kさん)

※ ※ ※

 内気循環は、エンジン始動時や急速で車内を冷やしたいとき、またトンネルや外気が汚れている区間の走行時に使用し、それ以外は外気導入モードにしておくのがベストということになりそうです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください