なぜ「外気温度50度超」が表示される? メーター表示の外気温が実際と異なる理由は?「暑さに驚き」の声も!
くるまのニュース / 2022年8月1日 9時10分
気象庁によれば、最高気温が35度上の日を「猛暑日」といいます。このような猛暑のなかをクルマで移動する際、メーター内の「外気温」が40度以上と表示されることがありますが、なぜこのような数値が表示されるのでしょうか。
■猛暑で外気温40度以上となるクルマ続出
クルマのメーターパネルには、外気温を表示する機能が付いていることがあります。
夏場の場合、その外気温計は「39度」「41度」ましてや「51度以上」など、いわゆる35度以上を差す「猛暑日」の基準をはるかに超えています。
では、メーターパネルに表示される外気温はどのようにして測っているのでしょうか。
2022年の夏は観測史上最速の梅雨明けとなり、6月下旬から各地で凄まじい猛暑となっています。
7月に入ってから台風による大雨などで少し暑さが和らぎましたが、7月の終わりには全国各地で再び暑い日々が再開しています。
気象庁によれば、最高気温が25度以上の日を「夏日」、30度以上の日を「真夏日」、35度上の日を「猛暑日」といいますが、このような猛暑のなかをクルマで移動する際、メーターパネルに表示される「外気温」の高さに驚くことがあります。
SNSでもメーターパネルの外気温に関する投稿には「40度超」が見られるなかで「50度超え」の外気温を表示したクルマもありました。
この外気温が表示された写真をSNSに投稿していたのは、兵庫県在住の「YAZAWAさん」で、その表示は「51.5度」とやけどしそうな熱さです。その時の様子をYAZAWAさんに聞いてみました。
「このときのクルマはメルセデス・ベンツ『Aクラス200D』でした。
猛烈に暑くてもエアコンは効いているので車内は涼しいのですが…。窓ガラスを通じて差し込んで来る日ざしが熱くて痛くてたまりませんでした。
車内にいてバスタオルを肩からかけて日射を避けていたのですが、その日の夜は、夜中も身体が火照り寝つけませんでした。
外気温計がこれまで50度を超えたことはなく、初めての経験です。
乗っていたクルマのボディカラーは黄色ですが、(熱を吸収する)黒だとさらに高温度に達するかもしれません」
※ ※ ※
エアコンの効いた車内にいても体がほてって眠れなくなるほどの日差しとは驚きです。
では、実際の外気温とメーター内に表示される温度には、どれくらいの差があるのでしょうか。
表示される温度が50度を超えていてもさすがに実際の気温が50度を超えることはないと考えられます。
そこで道路上に設置されている「気温表示計」の横を通った時などに表示される気温と、クルマのメーターに表示される外気温計の数字と「どれくらい違うのか」を確認してみることにしました。
2022年6月から7月にかけて取材用に借りていたホンダ「N-BOX」、日産「リーフ」「アリア」、アウディ「e-tron GT」などで同じ場所に設置されている気温表示計の横を通ったときに温度の違いをチェックしてみます。
いずれも路上の気温表示計の温度とメーター内に表示される外気温はほとんど差がなく、あっても1度程度でした。
なお、道路上に設置される気温表示計は寒い時期に、路面が凍結する可能性が高い橋や高架道路の始まりの部分に多くが設置されています。
0度を下回ると凍結の恐れがあるので、ドライバーに対して路面凍結の注意喚起を促すことが目的です。
■クルマの外気温をはかるセンサーはどこについている?
筆者(加藤久美子)が今回、いろいろなクルマで試してみたところ、走っているときはほぼほぼ正確ですが、停車しているときや渋滞しているときには実際の気温よりも高い数値が表示されることがわかりました。
これには外気温計の設置場所が関係していることが考えられ、外気温のセンサー(温度計)がどこの部分に付いているかについて、複数の自動車メーカーに聞いたところ、答えは大体一致していました。
・フロントグリルの内側
・エンジンルーム内のラジエータファンの上
・フロントバンパー開口部の裏側
このように車種によって多少は異なりますが、直接太陽光が当たる場所を避けた地面から25cmから30cmくらいの場所が定位置となっているようです。
また、とある自動車メーカーの担当者は次のように話しています。
「フロントバンパーの裏側など太陽光や日射、エンジンやアスファルト路面からの熱などに影響を受けない場所に取り付けてあります。
十分に外気が良く当たる場所にセンサーを設置しており、外部からの熱の影響を受けないようコントロールしています」
ドライバーに路面凍結への注意を促すために設置される気温計
クルマが走っているときには走行風によって実際の気温とほぼ差がなくなるわけですが、停車時、渋滞時は風の影響がなくなるため、アスファルトからの照り返しやエンジンからの熱が風で流されることなく滞留することから、40度超えや50度超えといった気温が表示されるようです。
なお、車内の外気温計は本来、前述した橋の始まりに温度計が設置されるのと同じ理由で、ドライバーに路面凍結への注意を促すために設置されています。
路面凍結への注意喚起といえばフォルクスワーゲンがよく知られるところで、摂氏4度以下になると警告音とともに雪氷マークとともに外気温表示のインジケータが点滅する仕組みとなっています。
メーターパネルの外気温表示はそもそも、冬場の凍結に対して注意を促すことが目的なので、暑い時期に実際の気温と温度差があることはあまり問題ではないのかもしれません。
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