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トヨタが本気! 新型「クラウン」は4仕様で世界40か国に挑戦! 米国「リベンジ」に必要な要素とは

くるまのニュース / 2022年8月3日 7時10分

日本の高級車の代表格であったトヨタ「クラウン」は、16代目へのフルモデルチェンジに際して、アメリカを含む世界40か国へと輸出されるグローバルモデルへと変貌を遂げました。しかし、過去にクラウンはアメリカへの輸出を行ったものの、惨敗したという歴史があります。新型クラウンは、アメリカで成功することができるのでしょうか。

■新型クラウンは、アメリカで50年ぶりの「リベンジ」を果たせるか

 2022年7月15日、16代目となるトヨタ新型「クラウン」が世界初公開されました。
 
 日本の高級車の代表格であったトヨタ「クラウン」は、16代目へのフルモデルチェンジに際して、アメリカを含む世界40か国へと輸出されるグローバルモデルへと変貌を遂げます。
 
 すでに、アメリカでも発表されていますが、新型クラウンは成功することができるのでしょうか。

 日本を代表する高級セダンとして多くの人に愛されてきたなかで、クロスオーバー、スポーツ(ハッチバック)、エステート(ステーションワゴン)、そしてセダンという4つのボディタイプとともに登場したことに、多くの人が驚きを隠せませんでした。

 ボディタイプが多様化したこと以外にも人々を驚かせたのが、新型クラウンが40か国へ輸出されるグローバルモデルへとなったことです。

 クラウンは、いくつかの歴代モデルで海外展開をおこなっていましたが、本格的なグローバルモデルとしての実績ほとんどありません。

 そうしたなかで、世界最大級の自動車市場、かつトヨタにとって最大の市場であるアメリカは、新型クラウンが販売される「40か国」のなかに含まれます。

 アメリカでは、伝統の「王冠マーク」ではなく、トヨタエンブレムがあしらわれた新型クラウンが公開されており、ユーザーの関心を集めています。

 しかし、クラウンにとってアメリカ市場は「鬼門」とも呼べる存在です。

 クラウンは当初から国内専用車として開発されていたわけではありません。

 むしろ、アメリカへの乗用車輸出の先陣を切ったのは、1955年に発売された初代クラウンでした。

 1958年にアメリカへの輸出が開始された初代クラウンですが、初の国産乗用車として日本国内では一定の評価を得ていたにもかかわらず、アメリカのユーザーを満足させるだけの性能はもっておらず、結局、ほとんど受け入れられることなくあえなく撤退しています。

 その後、よりコンパクトな「コロナ」のヒットを足がかりに、北米市場での存在感を増していったトヨタですが、クラウンについては1972年の4代目を最後にアメリカへの輸出は打ち切りとなっています。

 結果的には、初代クラウンの惨敗があったからこそ、いまのアメリカ市場でのトヨタの躍進があるといえます。

 しかし、日本人にとっては単なる高級車以上の響きを持つクラウンというクルマが、自動車大国アメリカではまったく歯が立たなかったのです。

 それから長い歴史を重ねたクラウンですが、今回16代目となったタイミングで再び、アメリカへ輸出されます。

 新型クラウンのグローバル展開について、トヨタの豊田章男社長は次のように述べていました。

「クラウンは、日本の豊かさ、『ジャパンプライド』の象徴でした。そして、世界に誇る日本の技術と人財を結集したクルマでした。新型クラウンにも、そんな日本の底力が詰まっております。

 だからこそ、このクルマで、私たちはもう一度、世界に挑戦いたします。

 クラウンが、世界中の人々に愛されることで、日本がもう一度、元気を取り戻すことにつながれば、こんなに嬉しいことはありません。

『日本のクラウン、ここにあり』。それを世界に示したいと思っております。

 新型クラウンシリーズは、日本だけではなく、初めて、グローバルに販売してまいります。

 日本の情熱、プライド、発展が生み出した歴史あるクルマに、世界中のお客様がお乗りいただけるようになります。

 このクルマはきっと、クラウンの『最高傑作』になると思っております」

※ ※ ※

 真のグローバルモデルとして生まれ変わった新型クラウン。およそ50年越しの「リベンジ」を果たせるかどうかに注目が集まっています。

■セダン離れが顕著なアメリカ市場、カギは「プレミアムSUV」

 では、実際に新型クラウンはアメリカで成功をおさめることができるのでしょうか。

 アメリカでは、まず2022年冬にのセダンとSUVを融合っせた新型クラウン クロスオーバーですが、スポーツやセダン、エステートが同じく導入されるかは未定です。

 新型クラウン発表の場で、トヨタの豊田章男社長は新型クラウンシリーズで年間20万台を販売することを明らかにしました。

 そのうち、仮にクロスオーバーがおよそ半数を占める、さらにアメリカはトヨタの新車販売のおよそ4分の1を占めることを考えると、クロスオーバーがおよそ2万5000台以上販売できるかどうかが、アメリカ市場における「合格ライン」になると考えられます。

 この販売台数を達成できるかどうかのカギを握るのは、アメリカにおけるトヨタのラインナップにあります。

 新型クラウンのクロスオーバーは、「ハリアー」の北米版である「ヴェンザ」(3万3240ドル~/約450万円~)や、北米におけるフラッグシップセダンである「アバロン」(3万6825ドル~/約500万円~)と同等の価格価格帯になるのではないかといわれています。

 2021年のアメリカにおける販売実績を見ると「RAV4」が約40万台、「カムリ」が約31万台となっており、その後は「タコマ」や「カローラ」、「ハイランダー」と続きます。一方、アバロンは約2万台、ヴェンザは約6万台とやや控えめです。

 また、アバロンは2022年冬をもって生産終了となることがアメリカのメディアで報道されておりこれが事実であれば、アバロンの需要の大部分は新型クラウン セダンが担うことになるかもしれません。

  そうなると、より下のクラスのセダンであるカムリの需要をどれだけ取り込めるかという点が非常に重要となります。多様なラインナップを持つカムリは、アメリカで販売されるミドルクラスセダンとして20年連続で販売台数1位を獲得しています。

 カムリは2万5845ドル(約340万円)から3万6270ドル(約480万円)と、上級グレードは新型クラウンと重なる価格帯です。

コストパフォーマンスの良さには定評のあるカムリですが、静音性の低さやトランクの小ささが不満点として挙げられることも多く、より上級モデルを求めるユーザーはアバロンを検討するという状況でした。

 しかし、アバロンは競合モデルよりもやや割高であるにもかかわらず、モデル末期であったことから、近年では基本構造の古さが目立っていました。

 つまり、カムリ以上を目指すユーザーの受け皿がない状態が続いていました。そのニーズを新型クラウンが満たすことができれば、販売台数は大きく増えることでしょう。

  また、北米トヨタのSUVラインナップを見ると、ヴェンザよりも価格が高いモデルとしてはハイランダーや「4ランナー」、「セコイア」などがありますが、いずれもサイズや価格が異なったりするため、新型クラウンと競合する可能性は低そうです。

16代目となるトヨタ新型「クラウン」 再び米国市場に戻る! 成功のカギは?(画像は北米仕様)16代目となるトヨタ新型「クラウン」 再び米国市場に戻る! 成功のカギは?(画像は北米仕様)

 一方、トヨタには欧州プレミアムブランドのライバルとなりうるSUVは少なく、より上級のSUVを求める声は少なくありませんでした。

 そのため、ヴェンザより上のプレミアムSUVを求めるユーザーにアプローチできれば、「合格ライン」を達成するのは決して難しいことではないでしょう。

 ただ、ライバルの多いカテゴリーであるだけに、現時点では決して安泰とはいえないのも事実です。

 ただ、トヨタのミッドサイズ・ビークル・カンパニープレジデント中島裕樹氏は、「クラウンのコンセプトはトヨタブランドのフラッグシップ」と明言。

 また、豊田章男社長は新型クラウンを「ジャパンプライドの象徴」と評しています。

 競合の多いプレミアムSUVというカテゴリーですが、「トヨタブランドのフラッグシップ」であり「ジャパンプライドの象徴」である新型クラウンは、成功を収めることができるのかどうかに、多くの注目が集まっています。

※ ※ ※

 日本では絶大なブランド力を誇るクラウンですが、アメリカではそうしたバックグラウンドはありません。

 しかし、クラウンが70年近くにわたって日本の高級車の代名詞的存在となってきたことは疑いようのない事実です。

 そのほか、クロスオーバー以外にもスポーツ、セダン、エステートとクラウンシリーズとして戦うことから、セダン・SUVといった以外の幅広いユーザーにアプローチできるため、「個」ではなく「群」の戦いにも期待が高まります。

 かつてレクサス「LS」が、高いものづくりの技術や日本的な美意識をもってアメリカを席巻したように、新型クラウンもまた、新しい「プレミアム」の形を提供できるかどうかに期待がかかります。

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