地震やゲリラ豪雨、大雪など自然災害多発の日本 重要ライフライン「道路」の防災対策はどうなってる?
くるまのニュース / 2022年8月5日 8時10分
災害時に重要なのは日常生活を送るうえで必要なライフラインの確保ですが、「道路」も重要なライフラインのひとつといえます。昨今急増している異常気象による災害に備えるべく、どのような「道路の防災対策」が取られているのでしょうか。
■異常気象が続き、自然災害が多数発生
ここ数年、豪雪や豪雨など、自然の猛威による被害が日本各地で発生しています。
災害に遭遇した場合に重要なのが、日常生活に欠かせないライフラインの確保。水道や電力、ガスはもちろんのこと、「道路」も重要なライフラインのひとつでしょう。
昨今急増している異常気象による災害に対し、「道路の防災対策」としてどのようなことがおこなわれているのでしょうか。
日本の主要幹線道路を整備・管理している国土交通省でも、自然災害が近年頻発していることを把握しており、地震や震災、台風や豪雨で甚大な被害を復旧する際にさまざまな対策を施してきました。
たとえば1995年の阪神・淡路大震災では、橋梁が座屈または倒壊。一部地域で地面の液状化が発生、木造家屋の倒壊や火災が多発したことから耐震対策の見直しが図られ、復旧させるインフラには独自の耐震構造が基準化されることになりました。
また、2011年の東日本大震災では、津波によって三陸地方を中心に甚大な被害が生じましたが、一部地域では液状化も発生しました。
そのため、道路上のガレキや放置車両などを除去し、救助・応急作業のための緊急車両が通行できるようにする「道路啓開」や、森土を活用した津波からの避難、さらに津波を想定した高速道路の計画見直しなどがおこなわれています。
さらに2016年の熊本地震では、ロッキング橋脚が落脚したり、盛土が崩壊したことを受けて、緊急輸送用道路のさらなる耐震補強、「通れるマップ」の作成などに着手。
2018年の、北陸を中心とした大雪によって走行できない車両が立ち往生する大規模車両滞留が発生したときには、気象庁と連携した大雪情報の提供や集中的な除雪などがおこなわれましたし、同年の西日本豪雨では土砂災害や都市間道路の寸断、路面の冠水などが続発したことを受けて、統括的な交通マネジメントの整備や対面通行可能な交通機能の確保など、道路ネットワーク機能への影響を最小限にとどめる対策が実施されるようになりました。
■高速道路のSA/PAや道の駅は地域の防災拠点に
国や自治体による道路を守る施策は、ハードとソフトの両面から進められています。
ハード面では、活断層が多い日本は地震も多いため、1995年の阪神・淡路大震災以降、古い設計基準で建設された橋梁に耐震補強を施工。
柱をコンクリートや鋼板で補強し、橋桁の落下を防ぐ「落橋防止装置」を取り付けるなどの耐震工事がおこなわれています。
「道路冠水表示板」の設置例
また豪雨による防災対策としては、土砂崩れや落石が発生しやすい箇所に「防護柵」を設置、崩落しやすい斜面にはコンクリート製の枠で固定する「法面設計」の処置、さらには道路区域を拡大し、災害発生後も通行できる部分を残す補修工事を進めています。
集中豪雨など急激に雨量が増えた場合は、都市部でも路面の低いアンダーパスなどが冠水してしまこともあります。
冠水しやすいアンダーパスは全国で約3500か所あるといわれており、排水ポンプで処理できない場合を見越して道路周辺に表示板を設置、通行規制をおこなうなど、「減災」につながるような手法が用いられています。
高速道路上のSA/PAは、多数のクルマが安全に駐車できるスペース(敷地)があり、建物は耐震構造。さらに緊急時用のヘリポートが併設されているところもあり、食料や水、紙オムツなどを備蓄。
同様に、道の駅も飲料水や毛布、電源、災害資材などの備蓄が進んでおり、いざというときは各地域の「防災拠点」となるように防災対策と準備をおこなっています。
さらに、津波や、河川の決壊などで洪水が懸念される地域では、避難所となる「防災ひろば」と「緊急搬送路」を確保するなど、道路自体の改修と防災対策が進められています。
一方でソフト面では、2011年の東日本大震災の教訓から、海水面からの高さを表す「海抜表示シート」が国道を中心に設置されています。2014年時点では全国約1万4000kmの区間で設置済みです。
また、「ETC2.0」などで収集されたプローブ情報(車両の位置や速度などを200m間隔で自動的に蓄積されるデータ情報)や各地域の通行止め情報などを融合させ、「通れるマップ(緊急物資の輸送経路)」の作成・公表や、道路交通情報としての発信などで、防災だけでなく、被害を最小限に抑える「減災」が進められていることがわかります。
※ ※ ※
近年でとくに怖い自然災害はゲリラ豪雨でしょう。晴天だったのに、急に積乱雲が発生し、突然集中的に豪雨に襲われることが多発しています。
我々ドライバーができることとしては、自然災害が発生しそうなエリアへの走行は控える、または大きく迂回するルートを考えるのも重要になりそうです。
「1台くらいなら大丈夫」という過信が、自然災害で被害に遭う境目になるかもしれず、防災対策が施されている道路でも注意は怠れません。
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