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「低燃費タイヤ」で燃費が良くなるってホント!? 性能の基準がわかる「エコタイヤ」上手な選び方とは

くるまのニュース / 2022年8月14日 11時50分

「低燃費タイヤ(エコタイヤ)」は、「グレーディングシステム」によってランク分けされています。ある一定の基準を満たさないとエコタイヤとは呼べないようなのですが、一体どういうことなのでしょうか。

■「エコタイヤ」って一体ナニ?

「低燃費タイヤ(エコタイヤ)」がすっかり市場に定着していますが、エコタイヤを選ぶ基準として、「グレーディングシステム」を用いた「タイヤラベリング制度」が2010年に導入されました。

 タイヤラベリング制度とは、タイヤの「転がり抵抗性能」と「ウェットグリップ性能」というふたつの性能を基準化して、性能評価を明確にした制度です。

これによって、ユーザーが燃費の良いタイヤを選びやすくなり、結果として排出する排気ガスによる二酸化炭素の削減に貢献すると考えられています。

 この制度は、2008年の洞爺湖サミットで国際エネルギー機関(IEA)がエネルギーの効率化と低炭素化社会の実現に向けて25の施策を発表、そのなかに「低燃費タイヤの促進」が含まれていたことから始まったといわれています。

 これを受けて、日本では公益財団法人「日本自動車輸送技術協会(JATA)」が実施する統一基準のテストの結果によって転がり抵抗性能を5段階、ウェットグリップ性能を4段階にランク分けするグレーディングシステム(等級制度)が導入されました。

 そしてこのランク分けされたものを分かりやすく表示するタイヤラベリング制度を用いることで、ユーザーがエコタイヤを選びやすくなっています。

 日本でエコタイヤと認定されるタイヤは、転がり抵抗性能が「AAAからA」を取得し、かつウェットグリップ性能は「aからd」がラベリングされているものが該当。

 たとえばふたつの性能が最高ランクならば「AAA-a」と表記され、このタイヤはどちらの性能も優れているということになりますが、ウェットグリップ性能が最上位の「a」だとしても転がり抵抗性能のグレードが「B」ならば、エコタイヤとは呼べません。

※ ※ ※

 ここで基準となる転がり抵抗性能とウェットグリップ性能は、相反する特性なのが難しいところです。

 クルマが走行するとき、タイヤにはさまざまな負荷がかかっています。

 主成分がゴムのタイヤにとっては、路面の状況やクルマの重量などで少なからず変形しながら回転しています。

さらに路面との摩擦や、車体に受ける空気抵抗など、さまざまな抵抗力が生じており、この抵抗力が低いほどスムーズにタイヤが回転しており、転がり性能はこれを評価したものです。

 しかし、転がり抵抗性能が高いということは路面との摩擦(グリップ力)が弱いということでもあり、雨の日の走行では制動距離が伸びてしまう欠点があります。

 そこで濡れた路面でどれだけグリップ力を発揮できるかを示すウェットグリップ性能も必要になります。

 どれだけタイヤを(抵抗が少なく)スムーズに回せるかという一方で、どれだけ路面をグリップできるか(路面との摩擦力の確保)という、逆のベクトルに向いた性能を両立させる必要があるのです。

 この相反する性能を実現させるため、近年では素材やトレッドパターンの開発によって、ふたつの性能を高次元で両立できるようになってきました。

■エコタイヤはどうやって選んだら良い?

 実際にエコタイヤは人気があるのでしょうか。埼玉県のタイヤ専門店スタッフKさんに、エコタイヤの動向や選び方などを聞いてみました。

「最近はハイブリッド車が人気ということもあって、タイヤもエコタイヤを選ばれるお客さまが増えました。

現在は高性能なハイグリップタイヤより、静粛性や乗り心地に優れたエコタイヤのほうが実際に装着しているお客さまは多いと思います」

低燃費タイヤラベリングの一例(「A-b」で低燃費タイヤとなる)低燃費タイヤラベリングの一例(「A-b」で低燃費タイヤとなる)

 そんな状況で、タイヤの性能を指標するグレーディングシステムの導入により、JATAによって認定されるエコタイヤの基準をクリアできるタイヤかどうかが一目瞭然になったのは、ユーザーにとって選びやすくなったといいます。

「やはり転がり抵抗が少ないということは、それだけタイヤがスムーズに回る反面、接地摩擦力が低下してしまうことになります。

 そこでエコタイヤは、摩擦力の高いシリカ(二酸化ケイ素)を配合することで、グリップ力の低下を最小限にしているのが特徴です」(タイヤ専門店スタッフ Kさん)

 ちなみにグレーディングシステムで導入される転がり抵抗性能では、最上級の「AAA」なら約3%、「AA」で約2%の燃費が向上するといわれています。

 さらに、シリカを配合したゴムを使用することで燃費性能だけでなく、耐摩耗性も向上。普通のタイヤより+約1万kmのロングライフを実現しているのだとか。

「直接的に体感できる燃費性能はもちろんですが、ロングライフなのもエコタイヤの魅力のひとつです。

 ただし、個人的には転がり抵抗性能よりウェットグリップ性能を重視したタイヤをおすすめします。

雨天時はブレーキの制動距離も伸びてしまい、事故になりやすい傾向があるといわれています。

 燃費も大事ですが、それ以上に事故に遭わない安全性を優先し、グレーディングシステムで転がり抵抗性能が最高でなくても、ウェットグリップ性能が高いものを選んでほしいと思います」(タイヤ専門店スタッフ Kさん)

 では、エコタイヤを装着すると何が変わるのでしょうか。そしてエコタイヤならではの注意点はあるのでしょうか。

「エコタイヤが登場したばかりの頃は『曲がらない』『止まらない』などといわれましたが、近年のものはノーマルタイヤと遜色ないレベルになってきていると思います。

 とくに最近は静粛性を高めたタイプや乗り心地を考慮したタイプも登場していますので、お好みで選ぶこともできます。

 注意してもらいたいのは、タイヤの素材の特性でもあるのですが、ノーマルタイヤより若干柔らかいので、性能維持のためには適正な空気圧を維持する必要があります。

 現在のラジアルタイヤであれば、昔のように空気圧を高めにしても燃費にあまり影響がありませんが、こまめに空気圧チェックをするのが面倒な人は、自然にエアーが抜けることを見越して規定値より1~2割高めにしておけば大丈夫だと思います」(タイヤ専門店スタッフ Kさん)

 また、素材が柔らかいエコタイヤは、サイドウォールへの衝撃はできるだけ避けたいところ。変形や亀裂の原因にならないように、縁石や段差などには十分注意して走行してほしいとSさんはいいます。

※ ※ ※

 エコタイヤであっても、すぐに大幅な燃費向上を実感しにくいかもしれませんが、半年などのスパンで比べると、その差をジワジワと体感できるはずです。

 むしろエコタイヤの性能を活かすために、速度も安定したエコドライブを意識するのも、燃費が良くなるポイントかもしれません。

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