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「バッテリーのトラブル」なぜ多い? 日本ならではの事情がある!? バッテリーを長持ちさせる方法とは

くるまのニュース / 2022年8月20日 6時10分

クルマの電装部品を稼働させるのに欠かせない「バッテリー」。JAFの救援要請では「バッテリー上がり」がもっとも多いのですが、トラブルを防ぐ方法はあるのでしょうか。

■「バッテリー」の容量は意外と小さい!?

 クルマの始動やエアコンやナビ・オーディオ、先進安全装備や運転支援システムなど各種装備などは「補機用バッテリー」の電力で稼働しています。

 最近はバッテリーの性能が向上し、寿命も伸びているとはいえ、電子制御の装置が多い現在のクルマはバッテリーに大きな負荷をかけているのが実状。

 また、昨今普及が進むハイブリッド車は、駆動力を担う「メインバッテリー」とは別に、補機用のバッテリーも搭載しているのですが、その存在が忘れられがちで、弱くなっても使い続けている人が多いようです。

 このように、多くの電力を消費する現在のクルマでは、やはりバッテリーに関するトラブルが多いようです。

 ロードサービスを手掛けるJAFの統計では、一般道での出動理由として「過放電バッテリー」が何十年も1位で、2021年は70万6707件の救助要請があったといいます。

 なぜ、ここまでバッテリー上がり(過放電)を起こすクルマが多いのでしょうか。その理由を神奈川県のK整備士に聞いてみました。

「クルマのバッテリーの容量は想像以上に小さいものです。

 というのも、クルマは走行することを前提に作られているため、走って稼働するオルタネーター(発電機)を搭載して走行中は発電し続けるということを前提に設計されています。

 また動力性能や燃費性能にも影響するため、大きなバッテリーは搭載していません。

 一旦エンジンが始動すれば、あとはオルタネーターの電力でカバーできるので、容量が小さくて軽量なバッテリーの採用が多いというわけです」

 容量の問題に加えて、街中でのストップ&ゴーや渋滞が発生しやすい日本の道路事情も、バッテリーの性能に大きく影響しているのだとか。

「欧米などと比べて日本はストップ&ゴーを繰り返すケースが多く、オルタネーターが十分な電力量を生み出すために必要な走行ができていないことがあります。

 クルマのバッテリーなどに高負荷をかける日本の一般道は全般的に『シビアコンディション』ともいわれており、日常での短距離走行を繰り返す走行はバッテリーへの負荷が高いといえるでしょう」(K整備士)

■バッテリーを長持ちさせる方法はある?

 バッテリー上がりの原因はどのようなことが考えられるのでしょうか。前出のK整備士は次のようにいいます。

「原因はいくつかありますが、大きなものとして『乗らなくても減っていく過放電』『バッテリー自体の寿命』『(オルタネーターなどの)故障』が考えられます。

 車載コンピュータやセキュリティシステムなどは常時稼働しており、徐々に電力を消費している(自己放電)ため、駐車していても徐々に電力を失ってしまうんです。

 数週間乗らなかっただけでバッテリーが上がってしまうこともあります」

バッテリー上がりでクルマが動かない!バッテリー上がりでクルマが動かない!

 普段のメンテナンスではなかなかバッテリーまでケアしにくいものですが、バッテリーを長持ちさせる方法はあるのでしょうか。

「バッテリーは使用状況によって持ちがかなり変化するのですが、もっとも影響が出るのは走行パターンです。

 オルタネーターが安定して稼働できる高速道路などの走行が多い場合は、それだけ十分な発電量が蓄えられるためバッテリーにとっては良好な状態を保てます。

 一方で、市街地のみで短距離走行を繰り返すような乗り方は十分な電力量が得られないばかりか、エアコンやナビなどでさらに電気を消費します。

 走行パターンの違いで、バッテリーの実質的な耐用年数が数年違ってくることはよくあります」(K整備士)

 基本的にオルタネーターは、ファンベルトを介して伝えられるエンジン駆動力を活用して、コイルの中心にある電磁石が回転し発電する仕組みになっており、一定の速度で距離を走らないと、バッテリーに十分な電力が蓄えられないということです。

 長持ちさせたい、またはセルモーターの反応が鈍いなど弱っているようでしたら、燃料は少し消費しますが、高速道路など安定して走行し続けられる状態を約1時間程度走行するのが良いとのこと。

 一定の速度でエンジンを稼働し続ければオルタネーターも十分に発電し、弱ったバッテリーに電力をチャージしてくれ、次に乗るときにセルモーターがスムーズに動き始動しやすくなるとK整備士はいいます。

 逆に、定期的に長距離走行を続けている商用車などは、バッテリーも比較的長持ちする傾向があるそうです。

 一方で、K整備士が担当した商用車のなかには、7年で10万kmも1つのバッテリーで走り続けたケースもあるそうですが、さすがに寿命が尽きてバッテリー交換となったようです。

「何度かバッテリー液が噴き出した形跡があり、しかもバッテリーケースまで熱で変形していました。

 バッテリー液は適正レベル以下まで減り電極が剥き出しになっていたので、熱でバッテリーケースが変形していて、一歩間違えば爆発していたかもしれない状態だったのです。

 危険な状態になる前に、一般的には2~3年で交換するのが安心です」(K整備士)

 ここで気をつけたいのが、新品への交換も容易でなくなってきているということです。

 以前はDIYでバッテリー交換をしていましたが、現代のクルマは各種安全装備などのセンサーも常時接続されている関係で、バッテリー交換でデータなどがリセットされないように注意を払う必要があるのだそうです。

「ハイブリッド車などは補機類バッテリーを交換する前に、データのバックアップ用電源を用意する必要があります。

 またバッテリー交換では、一般的なエンジン車でも弱くなっているところに強い電気が一気に通うことで起きる『サージ電圧』をうまく迂回する必要があります。

 さらに、オーディオやナビだけでなく、アイドリングやバックモニターのガイドラインなど過去のデータなどが飛んでしまうこともあるので、しっかりした技術力のある整備工場やショップに依頼してください」(K整備士)

※ ※ ※

 バッテリーはほかの部品と違い、なかなか普段はチェックしない箇所だといえますが、上がってしまうとクルマが動かなくなって困るのも事実。

 バッテリー上がりを回避するために距離も稼げる走行を定期的におこなったり、スムーズにエンジンがかかるかのチェックを日頃からしておきたいところです。

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