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「車両火災」遭遇時に何をすべき? 第一は「安全確保」だが… 次に取るべき行動とは

くるまのニュース / 2022年8月23日 14時10分

もしあなたが車両火災の当事者になったら、どう対処すればよいのでしょうか。車両事故などでの救助経験も持つモータージャーナリストの桃田健史氏が、現場での対処方法や注意点についてレポートします。

■もし車両火災が起きたら…どうすればよいのか?

 2022年8月22日の日中に発生した、名古屋でのバス横転事故はテレビの生中継映像などで日本中に大きく報道されました。
 
 この横転事故では、衝撃により車両火災が発生していますが、万が一車両火災に遭遇した際にはどのような行動を取れば良いのでしょうか。

 事故発生場所は、名古屋高速道路小牧線の下り車線の豊山南インター付近。本線と出口路との分離帯に、名古屋駅から県立名古屋空港に向かう大型バスが激突して横転。

さらに車両火災が起こり、事故を起こした大型バスは全焼、また大型バスの後方に止まった小型乗用車が半焼しました。
 
 筆者(桃田健史)は、この事故当日午後にテレビのニュース番組等で解説者として出演しましたが、テレビ局がSNSなどを通じて入手した映像や画像を見る限り、火元は大型バスの前方から半ば付近と考えられます。

 横転事故が発生して間もない頃は火の手も小さく、その後に徐々に火が燃え広がり、座席など車内を焼き、そして車両後部のエンジン部分にも火が達し、そうして火が大型バス全体に広がっていく過程で、何度か爆発音があったようです。

 火はその後、大型バスの後部に止まった小型乗用車にも達したと見られます。

 事故発生してあまり時間が立っていない状況での一部の報道番組では、事故の状況を把握しうる情報が少なかったため、車両火災がかなり大きくなった状態での映像を見て、小型乗用車が横転した大型バスの後部に衝突し、小型乗用車から出火したという見方もありました。

 先に紹介したように、事故の初期段階の映像や画像では、小型乗用車から発火した様子は確認できないため、火元は大型バス側であったのではないでしょうか。

 ここまでは、あくまでも映像や画像を通じた、筆者の推測であり、明確な事故原因については、警察による現場検証や国土交通省による事故調査による検証を待ちたいと思います。
 では、もし車両火災の当事者になった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

 バスや電車など、公共交通機関に乗客として乗っていた場合、バスのドライバーや乗務員の指示に従い、慎重に対応し、現場から離れることが第一であることはいうまでもありません。

 例えば、バスの場合、バス関連団体などによるマニュアルとして、ドライバーが自動ドアについては非常コックを用いて手動に切り替えるなどの手順が記載されています。

 ただし、今回の名古屋で発生した横転事故の場合はのちに判明しましたが、ドライバーは事故発生時点ですでに死亡、または負傷して自ら動ける状態ではなかったことが考えられます。

 また、車両の左側面を地面に対して下にした状態で横転しているため、乗降ドアから外に出ることができない状況でした。

 そのため、乗客はドライバーの指示がない状態で、車内をよじ登って車両右側の窓から外に出る、または破損したフロントガラスをさらに壊すなどして外に出るなど、咄嗟の判断で行動したはずです。

 つまり、事故にはさまざまなケースが考えられるため、最終的には乗客ひとりひとりが臨機応変な対応を取るしか方法はない状況になることもあります。

 また、乗客が互いに助け合うことも必要ですが、それも状況次第での判断にならざるを得ないと考えます。

 そのうえで、車両火災については、今回の名古屋バス事故の事例でもあるように、極めて特殊な衝突を起こさない限り、衝突直後に爆発的な車両火災が発生する可能性は低いと思います。車両の保安基準としても、衝突の際の安全対策を講じているからです。

 つまり、車外に脱出するための、ある程度の時間的な余裕があるはずです。

■まずは冷静に! 映画のように「いきなり車両が爆発的に燃える」ケースは少ない

 車両の衝突直後に爆発的な車両火災が発生する可能性の低さについては、乗用車も基本的に同じだと考えられます。実際、筆者はこれまで一般公道や高速道路で、車両火災の現場に何度か居合わせ、事故発生時から間もない頃から、車両が全焼するまでの経緯を体感し、車内にいた人を車外に出すサポート行為もおこなっています。

 また特殊な事例としては、国内外の自動車レース施設でレース中の事後での車両火災の現場に遭遇したり、また長年に渡り自動車レース中継番組の解説をしてきた立場として、数多くの車両火災シーンを見てきました。

 そうした経験上、車両が走行中に爆発的に炎上したり、衝突直後に爆発的に炎上するケースは、直線路での加速性能を競うアメリカのドラッグレースなど、ごく一部のケースに限られます。

車両火災による交通整理の様子[画像はイメージです]車両火災による交通整理の様子[画像はイメージです]

 なぜならば、レーシングカーに限らず、乗用車やバス・トラックでは、火元になっては絶対にいけない燃料タンク、またはその周辺の車両構造に対する安全性を十分に考慮しているからです。これは、バッテリーを搭載するEV(電気自動車)でも同じです。

 それでも、クルマには燃料タンクとエンジンの間に燃料を送るためのパイプなどや、各種の可動部に対するオイルを搭載しているため、衝突の衝撃でそれらが漏れるなどして、そこに何らかの原因で着火する危険性はあるといえます。またリチウムイオン電池では、内部短絡などによる発火という事例も過去には海外で発生しています。

 ただし、衝突直後、または車両の異変が生じた直後に、クルマで爆発的な車両火災が起こる可能性はかなり低いと考えられます。

 そのため、仮に自分が運転するクルマから火が出た場合、慌てずに路側帯などにクルマを停めて、クルマからかなり離れることが重要です。

 または、事故で停止したクルマから発火した場合も、クルマからかなり離れることが大事だと思います。

 レーシングカーなど特殊なクルマでない限り、車載消火器を携帯するクルマはないでしょうし、仮に消火器を搭載していても、火が出たエンジンフードを開けるなどの行為は危険であるため、まずはクルマからかなり離れるべきだと考えます。

 車両火災では、今回の名古屋バス事故でもあったように、火が燃え広がるなかで車両内の何らかの部品が爆発することがあるため、車両火災のクルマから、かなりの距離をとったところまで逃げる必要があると思います。

 こうして、自身や他の乗員の安全を確保した状態で、119番または110番などに通報することになります。

 そして見逃しがちなポイントをもうひとつ。火災車両の位置で、道路に傾斜がある場合、傾斜の上側に逃げることも大事です。

 車両火災が進むとブレーキ機構が失われて、車両が燃えた状態で道路の傾斜に沿って動き出す危険性があるからです。

 実際、筆者はそうした状況を体験しています。

※ ※ ※

 いずれにしても、一般道路や高速道路で、一般の方が車両火災の当事者になるケースは少ないと思いますが、今回の名古屋バス事故で分かるように、そうした危険性は常に存在していることを日頃から認識していることも大事です。

 以上は、筆者の様々な実体験に基づく私見であり、様々な情報のひとつであることをご理解頂きたいと思います。

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