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見た目は「ただの戦車?」 実は「IT」駆使したスゴイ奴! 日本を守る「10式戦車」とは

くるまのニュース / 2022年8月29日 6時10分

自衛隊が所有する「10式戦車」。歴代で採用されてきた戦車と比べると小型なサイズの戦車です。一方で重厚長大化し続ける他国の戦車と比べると小型化するというのは特異な流れともいえます。そんな10式戦車にはどのような特徴があるのでしょうか。

■「どかーん!」とスゴイ! 最新のIT戦車とは

 自衛隊の駐屯地や演習場でもない限り日常生活で戦車を見ることはほとんどありませんが、陸上自衛隊が使っている戦車は国産車です。

 各国の軍が戦車を保有していますが、世界中を見渡しても戦車を設計、開発、生産まで一貫してできる国は実は両手に余ります。

 戦車を製造している国も主要パーツは輸入品かライセンス生産しているのがほとんどです。

 戦車はその国の産業力を示すひとつの指標ともいわれる所以です。日本の国産戦車は1927(昭和2)年2月に「試製一号戦車」を完成させて以来95年の歴史があります。そして陸上自衛隊で現在配備を進めているのが10式戦車です。

 戦後の国産戦車は1961(昭和36)年に制式化された61式戦車、1974(昭和49)年に制式化された74式戦車、1990(平成2)年制式化の90式戦車、そして2010(平成22)年制式化の10式戦車と4代に亘ります。61式は2000(平成12)年に全車退役しました。

 10式の先代の90式は他国戦車にも充分対抗できる戦車でしたが、重量50tというボリュームは日本国内では扱いにくいものでしたので、90式の戦闘力を74式のサイズで実現することを目指したのが10式戦車といわれます。

 重厚長大化し続ける他国の戦車と比べると小型化するというのは特異な流れともいえます。

 10式戦車の特徴は、陸上のイージスシステムともいわれるくらいITを駆使した戦闘ができることです。

 主砲の威力や装甲の厚さという戦車単体の能力ではなく、連携した部隊全体で最大の戦闘力を発揮するようになっています。

 リアルタイムで交戦状況図を表示できる指揮統制通信機能を搭載することを最初から設計に盛り込んだ世界初の戦車といわれてます。

 連動してリアルタイムに戦車間の情報共有ができる「野戦コミュニケーションシステム」(FiCS)を備え、基幹連隊指揮統制システム(ReCS)に接続し他部隊とも連携行動が可能です。

 判明している敵の位置と味方の位置や各車の燃料や弾数などの状況などを表示し、それを見ながら指揮統制が出来ます。

 語弊はありますがオンラインゲームをやっているようなイメージでしょうか。

 主砲は90式戦車と同じ口径の120mm砲ですが、どんなに大きな砲でも命中させなければ意味がありません。

 10式の指揮・射撃統制装置は90式から異次元ともいえる進歩をしています。

 指揮・射撃統制システム内に豊富な目標の画像データベースを持っているのです。

 センサーが目標を探知すると画像データベースと照合しそれが戦車、装甲車、トラック、人員、航空機なのか種類を自動的に識別します。

 目標の脅威度の判定を自動的におこない、ディスプレイに目標を色分けして優先攻撃すべき目標を強調表示します。

 乗員が攻撃を決心して目標をロックオンしたら、データベースから目標の弱点を自動的に精密照準します。

 射撃後も着弾した場所を精密に計測して効果は不十分と判定されれば、次弾射撃の必要性を表示します。

■10式戦車の戦い方が凄かった!? IT戦車なるその特徴とは?

 10式の戦い方は、ネットワークで各車が協調して連携攻撃をすることが基本で、通信条件やセンサーの状態が良ければ戦車4台の小隊で8標的まで同時捕捉し、協調射撃が可能です。

 小隊長は指揮・射撃統制装置のディスプレイをタッチパネル操作することで、各車に索敵エリアを指示したり、各車に最適な標的を自動的に割り振り、効率よく火力を発揮したりすることができます。

 装甲の厚さや構成は秘密になっていますが、正面からなら自分の砲で撃たれても耐えられることが基準といわれています。

 敵の攻撃で被害を受けると可能な限りどんな攻撃で、どんな被害を受けたかまで発信する自動被害報告機能もあるとされます。

 10式戦車はネットワークで連携して動き回って戦うのが基本コンセプトで、軽くて機動性が高いのも特徴です。

 エンジン出力が特段強力な訳ではありませんが、戦車では世界初の無段変速機を実用化し、伝動効率に優れ90式よりエンジン馬力は少ないのですが軸馬力は90式よりも良いとされています。

植生で偽装した演習中の10式戦車。センサーが進歩したので車長が戦闘中に頭を出す機会は減って安全性が高まった(撮影:月刊PANZER編集部)植生で偽装した演習中の10式戦車。センサーが進歩したので車長が戦闘中に頭を出す機会は減って安全性が高まった(撮影:月刊PANZER編集部)

 また注目したいのがデザイン性です。クルマの性能は形に表れるといいますが戦車も同じです。

 10式はコンパクトにまとまったデザインで砲塔の形状も結構複雑ですしヘッドライトの配置など凝っています。

 究極の性能を求めながらもきれいにカッコよくまとめるも設計力であり戦闘力の要素です。

 デザインが重要だというのは戦車は「居る」という威圧感を醸し出すのが任務だからです。ともすれば威圧的は悪役イメージにもつながってしまうのですが拒否的抑止力の本質です。

 島国日本に戦車が必要という意味も「日本に戦車が居る」と外敵にアピールすることに尽きます。

 10式が先に紹介したような優れた戦闘力を本当に使わなければならなくなったとき、10式に期待された抑止力発揮という任務に失敗したことになるのです。

 実戦を戦わずに退役することで初めて任務を完遂したことになります。

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