ホンダが「新型SUV」をまもなく発表か 派生車先行発表でようやく「2代目ヴェゼル」を中国市場に導入へ
くるまのニュース / 2022年9月1日 17時10分
中国市場では、ホンダ「ヴェゼル」をベースにしたさまざまな派生車が登場しています。そうしたなかで、本家といえる2代目新型「ヴェゼル」の導入に向けた動きが見られました。
■中国に本家といえる「2代目ヴェゼル」をついに導入か
日本では2021年2月に2代目が発表されたホンダの人気コンパクトSUV「ヴェゼル」。
中国では姉妹車や電気自動車を除くと現在も先代となる初代モデルが販売されていますが、このたびようやくフルモデルチェンジを迎える見込みです。
初代ヴェゼルは2013年、日本で最初に登場しました。
3代目フィットをベースに開発されたボディはSUVの使いやすさをアピールしながら、なおかつスポーティーさも兼ね備えたコンセプトで開発され、ひとつ上の「CR-V」とともにホンダの世界戦略SUVとして展開されてきました。
なお、日本では「ヴェゼル」ですが北米や欧州などでは「HR-V」という車名で販売。
HR-Vといえば、かつて1998年に日本では、1代限りで販売を終えた「HR-V」というクルマがありました。
これは、ホンダのコンパクトカー「ロゴ」(フィットの前継モデル)のプラットフォームを使用したちょっと不思議な形のSUVでデザインが新しすぎたのかもしれませんが、日本では不人気車として2006年に販売を終了しています。
なお、北米における2代目HR-Vは2021年に約15万台(アメリカ+カナダ)もの販売を記録する人気車種となり販売を終了。
2022年4月にアメリカで発表された3代目HR-Vはシビックベースの「ZR-V(日本名)」と同じモデルです。
その一方で、中国市場では前述と異なる戦略でヴェゼルは展開されてきました。
中国ではヴェゼルをベースにした姉妹車の「XR-V」や、中国専売ブランド「理念」の「VE-1」、別の中国専売ブランド「思銘」の「X-NV」「M-NV」などの電気自動車だけでなく、アキュラブランドからは「CDX」として展開されるなど、ヴェゼル自体が持つ汎用性の高さから中国市場においては同時に6形態で販売されています。
2代目ヴェゼルは2021年2月に日本で登場し、欧州や東南アジアでも販売されていますが、中国では本家ヴェゼルのフルモデルチェンジよりも先にe:NS1とe:NP1が2021年10月に発表されました。
e:NS1は東風汽車との合弁会社「東風ホンダ」、e:NS1は広州汽車との合弁会社「広汽ホンダ」が製造・販売をそれぞれ担当します。
ホンダやトヨタなど中国に複数の合弁会社を持っている自動車メーカーは、それぞれの会社で別のデザインと車名を与え、同じクルマを姉妹車の関係でリリースすることが一般的となっています。
これ以外にも、中国市場では「インスパイア/アコード」、「シビック/インテグラ」、「エンヴィクス/クライダー」、「CR-V/ブリーズ」、「UR-V/アヴァンシア」、「ライフ/フィット」、「エリシオン/オデッセイ」などを、それぞれ東風ホンダ/広汽ホンダで展開しています。
つまりは、広汽ホンダが担当する本家のヴェゼルと、東風ホンダが担当する姉妹車のXR-Vがフルモデルチェンジする前に、同じボディを使用する純電動モデルが先に両方の合弁会社から展開されたわけです。
そして2022年8月28日、ヴェゼルの姉妹車「XR-V」の2代目モデルが中国で正式に販売開始されました。
フロントグリルはよりスポーティーな印象を与える、クローム装飾付きのハニカムメッシュグリルを採用。
日本向けヴェゼルではオプションとしてクロームメッキのグリルが設定されていますが、それとは形状が異なるXR-Vオリジナルとなっています。水平基調の下部グリルでは一部に波長風の装飾が施されており、遊び心のある雰囲気も漂わせています。
■ついに本家ヴェゼルが中国市場に導入? どのような仕様となるのか?
中国においてヴェゼルとそれをベースとした派生車は独自の販売を展開していますが、ここにきて本家となる2代目ヴェゼルが中国市場に導入される動きが出てきました。
この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)のサイトです。
工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが新型車を製造・販売する前にその情報を工信部に届け出る必要があります。
公開された情報には車両の写真や詳細なスペックが掲載されています。
外観は基本的に日本で販売されている2代目ヴェゼルと同一で、後ろに「広汽本田」のエンブレムが装着されている点だけが異なります。
リアには「広汽本田」のエンブレムが装着されている(画像元:中華人民共和国工業情報化部/通称:工信部)
また、日本仕様では「e:HEV PLaY」グレードにのみ設定されているツートンのボディカラーや、ルーフ全面を覆うパノラマルーフも中国仕様ではオプションとして設定されることがわかります。
外観は日本での2代目とほぼ同一となっていますが、パワートレインは日本と異なっています。
本仕様ではガソリンモデルとハイブリッドの「e:HEV」モデルを用意しているのに対し、中国仕様ではハイブリッドモデルの設定はなく、広汽ホンダが製造するL15C型1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載するガソリンモデルのみです。
環境に優しいモデルの役割は、既に中国にて販売されている電気自動車「e:NP1」に任せ、ヴェゼルをガソリンモデルのみとすることで、それぞれの立ち位置はより明確なものになります。
そうしたなかで、今回明らかになった新型ヴェゼルの中国仕様車は2022年内には発表される見込みです。
筆者(加藤ヒロト)の予想では、広汽ホンダのお膝元で2022年11月に開催される「広州モーターショー」にて、何らかの発表がおこなわれるのではないかと予想します。
※ ※ ※
ホンダは中国市場で多様なSUVを販売しています。
XR-Vとヴェゼル以外に、新型CR-Vとその姉妹車のブリーズ、中間を担うZR-Vなど。
さらにガソリン車、純電動モデル、PHEVと多くの選択肢を用意することで競争が激化するSUV市場でも存在感を発揮していくことでしょう。
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