速度取締りのメッカ北海道で「固定式オービス」大量撤去! 背景に何が? 後継の新兵器はなんと「パトカー」?
くるまのニュース / 2022年9月6日 7時10分
北海道でこれまで稼働していたオービスのHシステムが、数を減らしています。すべて撤去されそうな勢いですが、どのような背景があるのでしょうか。
■速度取締りの方法が新たなステージに移行中か?
今、北海道のオービスがすべて撤去されそうな勢いで減っています。
速度違反を自動で取り締まる装置、通称「オービス」は全国の幹線道路を中心に設置されていますが、特にその数が多かったのが北海道です。
2010年代の北海道には70か所以上に固定式オービスがありましたが、現在は半分以下になっています。東京都や大阪府にもオービスは多く設置さていますが、そこまで減っていません。
これは北海道に設置されているオービスの種類が、ほぼ、高速走行抑止システム(通称、Hシステム)と呼ばれているタイプだからです。北海道にはループコイル式のオービスが道央道に1か所設置されていますが、それ以外はすべてHシステムです。
大阪の阪神高速には丸いアンテナのHシステムがありますが、北海道を含め他の地域のHシステムは四角いアンテナ(通称、ハンペン)が特徴です。オービスの2km、1km手前などに複数枚の予告看板が付けられています。ちなみに北海道の予告看板は黄色地に黒文字です。
また、Hシステム直前に設置してある電光警告板でも簡易的に速度計測をされ、もしスピードを出しすぎていると「スピードおとせ」の文字が表示される優しさあふれる機能も備わっています。
仮にこのオービスを光らせると赤く発光し、クルマのナンバーや運転手が撮影され、そのデータは警察へ伝送され、後日呼出状が届く仕組みです。
■最近撤去されたポイント
北海道内すべてのオービスは毎年現地調査をしていますが、今年(2022年)は7月に行いました。結果、2021年から2022年にかけ撤去が確認できたのは、下記の場所となります。
○苫小牧市 国道36号南行き
○芦別市 国道38号(芦別国道)北行き
○興部町 国道238号(オホーツクライン)北西行き
○紋別市 国道273号(渚滑国道)北東行き
○湧別町 国道238号(オホーツクライン)南東行き
○湧別町 国道242号(置戸国道)北行き
○釧路市 国道240号(まりも国道)両方向
○豊頃町 国道38号(十勝国道)両方向
○新得町 国道38号(十勝国道)両方向
さらに未確認ですが、8月以降に撤去情報をいただいた場所です。
○遠別町 国道232号(オロロンライン)北行き
○北見市 国道39号(北見国道)西行き
○津別町 国道240号(釧北国道)北行き
○別海町 国道243号(パイロット国道)両方向
■撤去されている理由
このように、急速に撤去のペースが上がっていますが、その理由としてHシステムからのメーカー撤退や、電波法の一部改正があるようです。
製造は三菱電機ですがすでにメンテナンス期間も終了しているため、部品共有も保守管理も難しい状況と思われます。また、電波法の改正により「新スプリアス発射強度の許容値」に適さない無線局となるようです。
ネット上にアップされている警察資料によると2023年3月末までにHシステムはゼロになると記載されています。それが本当ならばすでに多くのオービスが撤去準備に入っているかもしれません。
しかし2022年8月2日に、「自動速度違反取り締まり装置で検挙、しかも捜査過程で無免許も発覚」というニュースが流れていました。このオービスは札幌市厚別区の国道12号に設置されているものですが、筆者(オービスガイド 大須賀克巳)が調査した時はしっかりと通電されていることが確認済みです。よって撤去されていないオービスは、まだきちんと役割を果たしていると思われます。
■固定式オービスから移動式オービスへ
北海道警のレーザーパトカー(画像:オービスガイド)
北海道では固定式オービスに替わり、移動式オービスが増えています。
北海道で運用されている移動式オービスはスウェーデンの計測器メーカーSensys Gatso Group社の製品で、「MSSS」という黒色でとてもコンパクトな移動式オービスです。これと同じ機器を導入した千葉県警では検挙数が6.6倍になったというニュース記事もありました。
さらに北海道では、レーザーパトカーやレーダーパトカー(通称、レーパト)での取締りも頻繁に行われています。
本州などから旅行で訪れる観光客は、このレーパトに対する免疫がほとんどありません。岩手県警や茨城県警など導入しているところもありますが、北海道と比べると配備台数は少ないです。また、北海道のレーパトの待機場所は無数にあり、それに長い直線道路や雄大な景色の北海道では運転が散漫になり、周囲への注意がおろそかになりがちです。特に郊外から市街地に入る付近では要注意です。
パトカーは見えなくても屋根の上のレーザー計測部だけを茂みの上に出しているなどの高度な取締りも行っています。
さらにそのレーパトですが、新型レーダーパトカーの目撃情報がチラホラ出てきました。この新しいレーパトは前後両方向とも速度計測が可能な日本無線製の高性能レーダーを搭載してあるそうです。
これから秋の行楽シーズンで、本州などからも多くの旅行者が北海道に観光やツーリングに訪れると思います。
筆者も調査中に他県ナンバーのクルマやレンタカーが取締りにあっている光景に幾度となく出会いました。速度の出しすぎは重大な事故の原因になるのはご承知の通りですが、事故に至らなくても交通違反をしてしまうと楽しい旅行が台無しになってしまいます。せっかく北海道に行くのなら、急いで走るより、すてきな景色を楽しみながら安全に走りたいですね。
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