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スバル「アイサイト」は“ぶつからない”だけじゃない!? 500万台が知っている“疲れない”運転支援システムのカラクリ

くるまのニュース / 2022年9月4日 19時10分

スバルの運転支援システム「アイサイト」は、「ぶつからないクルマ」として認知度を高めてきましたが、じつは「疲れないクルマ」でもあるといいます。一体どういうことなのでしょうか。

■500万台のスバル車に搭載される「アイサイト」

 スバルの運転支援システム「アイサイト」搭載車のグローバル累計販売台数が2022年6月、500万台を突破しました。

 スバルのアイサイトといえば、「ぶつからないクルマ」というキャッチコピーで2008年5月に量産が始まって以来、予防安全技術という分野で世界の自動車産業をけん引してきました。

 そんなアイサイトですが、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)での夜間の歩行者や自転車の検知能力の高さなどによって、自動車アセスメント(NCAP)で高得点を得ていることが、ユーザーの間で広く知られています。

 一方で、「疲れないクルマ」というイメージについてはどうでしょうか。

 運転中の疲れが少なくて身体と気持ちが楽だから「もっと遠くまで走っていきたくなる」といわれても、アイサイトを使ったことがない人にとっては、「なんとなく掴みどころがない」といった感想を持つのではないでしょうか。

 アイサイトユーザーでも、自分が普段アイサイトを使ううえで、どの程度「疲れないクルマ」と感じているのかを客観的に知る機会はありません。

 また、新型「レヴォーグ」から搭載された次世代アイサイトと、それに基づく高度運転支援システムの「アイサイトX」が、「疲れないクルマ」という視点でこれまでのアイサイトと比較して、どのような利点を感じるのかも客観視することはなかなか難しいと思います。

 そうしたなか、スバルは「アイサイト使用にするドライバーの運転負荷低減に関する調査データ」を報道陣向けのオンラインイベントで初公開しました。

 スバルがおこなった調査は、20代から40代で、かつ2014年以降のアイサイト搭載車のオーナーを募集し、「レガシィ アウトバック」を運転してもらい、アイサイトXを体感してもらうというもの。

 検証は普段の運転状況に近づけるために、夫婦や親子(全10名)が参加しました。

 ルートは、首都高速3号渋谷線の池尻から東名高速の御殿場ICまでの往復約180kmに設定。所要時間は9時間で、途中約3時間の休憩をはさみ、アイサイトXを使って走行しています。

 計測方法は、運転の根幹となる「認知・判断・行動(操作)」に対しては、ゴーグルを装着して視線の動きを観察するアイトラッキングデータを用いました。

 ハンドルとペダルの操作量は、車載の各種コンピュータとつながった通信システムであるCAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)のデータで計測。唾液からはストレスの度合いを、Apple Watchから心拍数のデータを取得しました。

 そして、各種の運転支援機能に対する満足度について、ドライバーの主観的アンケートも収集。

 これをもとに、アメリカの連邦航空宇宙局(NASA)が宇宙飛行士向けに開発し、近年では人間工学の分野などで幅広く活用されている評価手法のNASA-TLX(タスク・ロード・インデックス)を用いて、運転負荷低減効果を計測・分析しました。

■「疲れないクルマ」ってホント? 検証してみた

 アイサイトX体験者の計測結果はどうなったのでしょうか。

 まず、高速道路では、1分間あたりの正面前方車に対する注視時間が、アイサイトXを使用した場合、渋滞時で37.8%減、また順調走行時で28.7%減と大幅に時間が減っています。

渋滞中に手放し運転可能な「アイサイトX」渋滞中に手放し運転可能な「アイサイトX」

 これは、前方をしっかり見ていないということではなく、先方車の動きばかりに気を取られることなく、視野全体に注意を向ける余裕が生まれていることだと分析しています。

 次は、高速道路を走行中に運転操作が必要だった時間ですが、アイサイトXを使うと82.7%も減少しています。そのうち、ハンドル操作で83.5%減、ペダル操作では93.8%減となりました。

 そして、ドライバーのアイサイトX利用に対する満足度については、とくに挙動の確かさや滑らかさ、操舵・加速度支援について高い評価となりました。

 さらに、NASA-TLXでの評価でドライバーが感じる作業負荷は、渋滞走行時で61.4%減、また順調走行時で45.8%とそれぞれ大きく減っています。

 これにより、身体的負荷のみならず、精神的負荷も大幅に減っていることがわかりました。

 今回の調査でスバルはアイサイトについて、「人間の行動特性を理解し、人がミスを犯さない状態を実現」し、「アイサイトの支援による有限な注意資源を有効活用」することで「快適なドライブ体験を長距離・長時間可能にできると考えられる」という考察を示しています。

 結果的には「当然そういうことになるだろう」といった感じの話なのですが、スバルによると、自動車メーカーとして、高度運転支援システム(ADAS)の評価について、今回のような人中心の検証をおこない、そのデータを社外で公開したケースはこれまでないとのことでした。

 今回の調査は、アイサイトに関する技術評価という側面のみならず、高度運転支援システムのメリットをしっかり「見える化」したという点では、大きな意義があると思います。

 今後スバルは、アイサイトのネクストステージとして、ステレオカメラ技術とAI(人工知能)の融合したシステムを、2025年以降に量産することを目指すとのこと。アイサイトによる運転支援システムは、さらなる進化を続けていくようです。

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