なぜ秋になると交通事故が増える? 夕暮れ時が“魔の時間”!? 秋の運転で注意すべきこととは
くるまのニュース / 2022年9月18日 14時10分
ここ数年の統計では、死亡事故がもっとも多いのは12月ですが、9月あたりから徐々に事故数が増えてくるという傾向が見てとれます。なぜ秋になると事故が増え始めるのでしょうか。
■17時から19時台に死亡事故が多発! 夕暮れ時が危ない
警察庁が取りまとめた「交通統計」によると、ここ数年、死亡事故がもっとも多い月は12月となっています。しかし実は9月から10月にかけて事故数が一気に増える傾向が明らかになっているのです。
これは、夏から秋にかけての季節の変化が、交通事故の増加に少なからず影響を与えていることが予想されます。
なぜ秋になると交通事故が増えるでしょうか。
交通統計によると、コロナ禍の影響もあって例年と異なるものと思われますが、2020年(令和2年)の交通事故件数は全国で30万9178件。また、9月が2万5675件なのに対し10月は2万9305件と増加しており。夏より秋・冬にかけて増加する傾向があるようです。
さらに、1日のなかでもっとも死亡事故が多いのが17時から19時と帰宅ラッシュに当たる時間帯です。
日没の前後1時間前後は「薄暮時間」と呼ばれており、この時間帯の死亡事故の傾向として「自動車対歩行者」が約半数にものぼり、昼間と比べると約4倍も人身事故が起きています。
そのうち86%が「歩行者が道路を横断中」となっており、夕方の交通量が多くなる時間帯の横断中の歩行者との事故が多く、かつ交通事故を起こしやすいということが分かります。
その傾向が顕著になるのが9月以降の秋から冬にかけてで、夏と比べて日没時刻が早まり、薄暗くなっていることに気づかず視界不良になりやすいともいえます。
また、秋の日差しは太陽の傾きによって光が乱反射し眩しさが増加し、道路状況が分かりにくくなるといわれています。
とくに太陽が沈む方向と進行方向が一致してしまうと、眩しい状況が日没まで続くという状況になる可能性もあります。
秋の運転での注意点は、この薄暮時間にどう対処するかがポイントになりそうです。
■職業ドライバーが実践する事故予防法とは?
運転のプロであるトラックやタクシーのドライバーは、どのような意識や対策で事故の増える秋に対処しているのでしょうか。
都内でコンテナ輸送を担う大型トレーラーのドライバーMさんは、走る状況に合わせて複数の濃さの違うサングラスを使い分けているそうです。
夕暮れ時はとくに注意して運転する必要がある
「長時間の連続走行が多いので、日差しが強いときは濃い色のサングラス、曇りの日は黄色のサングラス、また海辺や夕陽が眩しい時間帯は偏光グラスといった具合に、サングラスを数種類使い分けて目への負担を減らす努力をしています。
とくに秋は薄暗くなるのが早いので、黄色のレンズでコントラスト(見え方の強弱)を強調させて認識能力を高めるようにしています」
黄色のレンズは、いわば光らないフォグランプのような役目を果たし、明るいところはより明るく、黒いところはより黒く見え、結果として対象物の輪郭をくっきり見せる効果があるのが特徴。夜でも強調されたコントラストで見やすいことから「ナイトサングラス」とも呼ばれています。
また最近では、外の明るさによって色の濃さが変化する調光レンズを採用したものもあります。
「あとは、日没前に早めのヘッドライト点灯を心がけるほか、大型トレーラーは車体の大きさゆえ死角も多いので、歩行者との接近をできる限り避けるために、高速や幹線道路をメインに使うようにしています」(大型トレーラー運転手Mさん)
都内でタクシーの運転手をしているKさんは、秋の夕日の眩しさだけでなく、運転に集中するためには体力も重要だと話してくれました。
「秋から冬にかけては薄暮時間が長くなるため、早めのヘッドライト点灯を心がけています。
市街地走行がメインな業務ですので、意外なところで手を挙げて乗車の意思表示をするお客さまも多く、周囲のクルマに迷惑をかけずにお乗りいただけるような運転を心がけています」
ただでさえ薄暮時間で周囲が見えにくくなるのに加えて、多くの人が利用するようになったタクシーの「配車アプリ」が運転手の負担をかなり増やしているようです。
「配車アプリごとにナビ画面でお客さまが表示されるようになっているのですが、弊社の場合はふたつの配車アプリと契約している関係で、通常のナビとアプリ用のナビがふたつ、計3つものモニターが運転席周辺に並んでいます。
周囲の薄暗さとモニターの明るさが違うので、目に疲労が溜まりやすいです」(タクシー運転手Kさん)
また、大型トレーラー運転手のMさんもタクシー運転手のKさんも話していたのが「高速道路催眠現象(ハイウェイ・ヒプノーシス)」への注意。
これは高速道路特有の現象ともいわれ、カーブが少なく信号機もない単調な景色によってドライバーの注意力や判断力が低下し、よく睡眠を取ったとしても眠くなってしまう現象のことです。
とくにMさんは長距離移動がメインのため、ハイウェイ・ヒプノーシスへの対策に苦慮しているそうです。
「もっとも良いのは適度なタイミングで休憩を取ってリフレッシュすることです。
これはあくまで私自身の体験ではありますが、走行中は音楽より『落語』を聞くのが効果的です。
いずれにしても、集中力を切らさない意識が重要だと思っています」
ハイウェイ・ヒプノーシスは秋だけではなくいつでも起こる現象ですが、とくに連休で行楽へ出かけるときやUターンラッシュ時などは、疲れも溜まって集中力が欠如しがちです。
できる限り休憩を取りながら無理のない運転を心がけましょう。
※ ※ ※
秋特有の注意点として、薄暮時間と呼ばれる薄暗くなる視界に対する意識と集中力、また早めのヘッドライト点灯で自車の存在をアピールするのも大切のようです。
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