なぜ北海道や東北では「縦型信号」普及してる? 横型が一般的ではない? 地域差ある信号機事情とは
くるまのニュース / 2022年9月21日 11時10分
全国的に横型の信号機が多く見られますが、北海道や青森をはじめとする豪雪地帯では、縦型の信号機の設置が一般的です。縦型の信号機はいつから採用されているのでしょうか。
■豪雪地帯では縦型信号機がテッパン!日本初の信号機も縦型だった?
信号機は、安全かつ円滑な交通のために欠かすことのできない存在です。
全国的に横型の信号機が多く見られますが、北海道や青森をはじめとする豪雪地帯では、縦型の信号機の設置が一般的です。縦型の信号機はいつから採用されているのでしょうか。
普段から何気なく目にする信号機は、安全かつ円滑な交通のために、非常に重要な役割を担っています。
警察庁のデータによると、2020年時点で全国には20万7848基の信号機が設置されており、もっとも設置数が多いのは東京都で1万5984基、続いて愛知県が1万3245基、そして、北海道が1万2984基となっています。
現在、東京都や愛知県などを中心に、全国的に多く見られる信号機は横型のタイプで、左から順に「青・黄・赤」と灯火が並んでいます。
一方で、北海道で多く見られるのは縦型のタイプで、上から順に「赤・黄・青」と灯火が並んでいます。
なぜ、東京都や愛知県と比べて、北海道では信号機の形状が異なるのでしょうか。
実は、縦型の信号機を採用しているのは北海道だけではなく、青森県や秋田県をはじめとする東北地方、新潟県や長野県などの一部地域でも見られます。
これらの地域に共通するのがどこも豪雪地帯であることで、信号機に雪が積もりにくいよう、上面の表面積が小さい縦型のタイプが採用されているのが一般的です。
では、そんな縦型の信号機が誕生したのはいつ頃なのでしょうか。
長野県警によると「電気を使用した信号機は1930年に東京の日比谷交差点に設置されたものが最初です」とのことで、現在のように電気を活用した信号機は、およそ90年以上まえに日本に誕生したことがわかります。
このときの信号機は、アメリカから輸入されたものとなっており、いまと同様に「赤・黄・青」が上から順に並んだ縦型の信号機でした。
いまでは横型の信号機が主流ですが、日本で最初の信号機は縦型のタイプだったのです。
なお、とある信号機メーカーの北海道支店担当者によると「北海道にいつから縦型の信号機が導入されたかはわからない」とのことですが、信号機は日本に初めて導入されたのち、およそ30年以内には全国へ普及しています。
例えば、広島県では1933年、長野県では1954年、沖縄県では1957年に1基目の縦型の信号機が導入されており、こうしたことを考慮すると、北海道にもおよそ1930年から1960年のうちに縦型の信号機が導入されたとみて間違いないようです。
■雪対策の信号機!ほかにはこんな対策も
雪対策として多く活用されている縦型の信号機ですが、それでも多少の雪が積もってしまうことは避けられません。
なかには、上面に「ひさし」をつけることで、灯火の視認性を確保するなど、工夫がされている信号機も見られます。
また、最近では、電球に代わってLEDを活用することで、信号機自体の厚みを薄くし、上面に雪が積もりにくいようにされています。
このようにLEDを活用して、限りなく薄型の設計にされた信号機は「薄型フラット信号機」と呼ばれ、現在、警察庁も設置を推奨している信号機となっています。
薄型信号機の特徴について、信号機の製造を手がけるコイト電工の担当者は、「軽量なことや施工性が向上すること、設置前の保管場所が省スペースで済むこと、ひさしがない設計によって強風などの自然災害にも強いこと」と話します。
あれ? よく見かける信号機って「横型」「縦型」どっちだっけ?
一方で、薄型フラット信号機は排熱が少ないため、一度、灯火面に雪が張り付いてしまうと、なかなか溶けにくいという弱点もあります。
大量の降雪や、強風にともなう横殴りの降雪の場合には、灯火面に雪が張り付きやすいため、過去には、一時的に灯火が視認できなくなるというトラブルも確認されています。
こうしたトラブルについては現在、シリコンラバーヒーターといった発熱体を活用するなどの対策が進められているようです。
コイト電工の担当者が述べるような複数のメリットや、警察庁が設置を推奨していることを考慮すると、今後、薄型フラット信号機が増えていくことになりそうです。
すべての歩行者やクルマ、バイクが、安全かつ円滑な交通を進められるよう、日々、日本の道路状況は変化し続けているのです。
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