帰省などで「他人のクルマ」運転するときは「保険」に要注意! 事故で多額の賠償の例も! 安心して運転する方法とは
くるまのニュース / 2022年9月17日 20時10分
長期の連休で実家へ帰省するときなど、親戚や友人のクルマを運転する機会もあるかもしれません。他人のクルマを運転する時に気をつけたいのが、クルマにかけられる「自動車保険」です。保険の内容や状況によっては、万が一事故の際に多額の請求や賠償金を求められるケースもみられます。そうならないためにはどうしたらよいのでしょうか。
■まずは車の持ち主が加入している保険を確認!
親戚のクルマを借りてドライブに行ったり、友人のクルマを交代で運転しながら旅行したりといった経験は、みなさんもよくあるのではないでしょうか。
他人のクルマを運転するときには、「自動車保険(任意保険)」についてしっかり確認しておくことが大切です。万が一事故を起こしてしまったときに保険金が下りないと、高額な賠償金を支払わなければならない事態に陥るかもしれません。
レンタカーを借りる時には、受付時に自動車保険の補償内容についての説明や加入の案内があります。
ですが一方で、親戚や友人等の個人からクルマを借りる時には、自分で保険について確認もしくは加入しておかなければなりません。
では、他人のクルマを運転するときに使える保険には、どのようなものがあるのでしょうか。
まずは、借りようとしているクルマにかけられている保険の補償内容を確認しましょう。確認する部分は、「運転者限定特約・割引」です。これは、そのクルマを誰が運転したら保証対象になるのか限定している部分で、対象者が狭くなるほど、保険料が割引となるしくみです。
基本的には、乗る人を限定しない「限定なし」、同居の親族・別居の子供(未婚)まで対象に含める「家族限定」、本人と配偶者を対象とする「本人・配偶者限定」、本人のみを対象とする「本人限定」の4つのタイプがあります。
このうち、補償される運転者の範囲が「限定なし」となっていれば、そのクルマを友人や親戚等が運転して事故を起こした場合でも、保険の契約者本人と同じ補償を受けることができます。
しかし、家族限定や本人・配偶者限定だった場合は、友人や親戚などは補償の対象外となってしまうため、自分で保険に加入しなければなりません。
仮に限定なしだったとしても、事故を起こして自動車保険を使用した場合には、保険会社との交渉に時間と労力を要したり、等級が下がったことでその後の保険料が高くなったりと、保険の契約者に負担をかけてしまうリスクもあります。
やはり万が一の事故のときに、自分の責任において事後処理を進められるように、クルマを借り受ける人が自分で保険を用意しておくのがよさそうです。
では、他人のクルマを運転する時に加入できる保険には、どのようなものがあるのでしょうか。
自分ではクルマを所有しておらず、たまに借りて運転する程度という人向けに、「1日自動車保険」と呼ばれるものがあります。
その名のとおり、乗りたいときに必要な分だけ、1日単位で加入できる保険です。基本的に加入手続きはオンラインで完結するため、インターネットの専用サイトやコンビニの情報端末から手軽に申込みができ、申し込んだその日からすぐに補償が開始されます。
ただし、1日自動車保険は他人のクルマを運転することを前提にした保険で、自己所有や家族所有のクルマ、レンタカー、社用車など法人所有のクルマを運転するときには加入できません。
1日自動車保険の保険料は、安いものだと1日あたり800~1500円程度に設定されています。
また、一般的な自動車保険に存在する等級制度がないため、万が一事故を起こしてしまった場合、その後保険料が上がってしまうということもありません。
なお、保険会社によって補償内容や割引制度が異なるので、状況に応じて加入する保険会社を選ぶとよいでしょう。
■自分のクルマの保険が使える? 他車運転特約はどこまで補償されるのか
すでに自分のクルマを所有していて、自動車保険に加入済みの人は、加入中の保険に「他車運転特約」が付帯していれば、状況によっては他人のクルマに対し自身の保険を使用することも可能です。
他車運転特約とは、一時的に借りたクルマを運転中に起きた事故についても、保険契約の対象となっているクルマ(自己保有車)と同じ内容の補償を受けることができるというものです。
自働車保険に付帯可能な「他車運転特約」はどこまで保証されるのでしょうか(画像はイメージ)
これがあれば、借りたクルマにかけられている保険に対し優先して、自分が契約している自動車保険から保険金が下りるので、借りたクルマの持ち主にかける負担を減らすことができます。
ただし、この特約もいろいろな制約があり、すべてのクルマの事故にも適用されるというわけではありません。
特約の内容は保険会社によってまちまちですが、ソニー損保では次のように記載されています。
まず、「他車」の対象範囲は、「友人・知人など、他人から臨時に借りたおクルマが対象」となっています。そのため、配偶者や同居の親族のクルマについては、特約の補償対象外です。
また、「臨時に借りたおクルマ」が対象となっている点に注意が必要です。
例えば「友人のクルマを長期間借りて、日常的に使用していた場合」や「修理工場や車屋から長期間代車を借りて、日常的に使用していた場合」、「他人から無断で借りたクルマを運転中に事故を起こした場合」など、補償の対象外となってしまう可能性があります。
どのくらいの期間が常時使用とみなされるのかについては、保険会社によって判断が異なります。おおむね1か月以上クルマを借りて日常的に運転する予定の方は、事前に契約している保険会社に確認しておくのがよいでしょう。
さらに、車両の損害についての補償も注意が必要です。
現在、契約している自動車保険に「車両保険」が付帯されている場合のみ、借りたクルマの時価額が補償されます。
車両保険は、普及率が全国平均で46.2%となっており、対人・対物賠償(事故の相手となる人やモノに対する補償)の普及率(約75%)と比べ低いのが現実です(※損害保険料率算出機構 発行「2021年度自動車保険の概況」任意自動車保険 都道府県別普及率表 2021年3月末より)。
中古車を安価で購入した場合など、保険料を安く抑えるために車両保険を外して保険に加入する人もいると思います。
自分のクルマにかけられた保険の車両保険を外した状態で、他車運転特約を契約している状況のなかで、友人が新車で購入した高級車を貸してもらいドライブ中に事故を起こした場合、対人・対物賠償で補償されるのは、あくまでも事故の相手方や壊してしまったモノに限られます。
友人の車両の補償は含まれていないことになるので、運転していた友人のクルマに多額の修理費用が発生した場合、その費用は全額自己負担とされてもおかしくはありません。
※ ※ ※
自動車保険は、クルマを持っていない人にはあまりなじみがありませんし、クルマを持っていて保険に加入していても、その内容は複雑で分かりにくいという人がほとんどだと思います。
しかし、クルマを運転するという行為には、大きなリスクが伴うことを常に考える必要があります。そのリスクに備えるために、自動車保険の内容は必ず確認しておかねばなりません。
確認のポイントは、自動車保険が「人」ではなく「クルマ」にひもづくものである、ということです。
いま乗りこもうとしているクルマには、自分が運転している時に補償される保険がかけられているのか。もしかけられていなかったら、どのように保険に加入すればよいのか。
いざというとき、自分や相手の財産を守るために、借りるクルマに付帯する保険や自分が加入している保険の補償内容をよく確認しておきましょう。
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