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「ずっとロービーム運転」なぜNG? 夜間は切り替えすべき切実な理由とは

くるまのニュース / 2022年10月3日 7時10分

夜間走行時、ハイビームとロービームの切り替えをおこなっているでしょうか? ドライバーには、状況に応じた積極的な切り替えが求められていますが、なぜ重要といえるのでしょうか。

■重大な交通事故を防ぐためにできること

 夜間にクルマで走行しているとき、ロービームだけで走っている車両が少なくないといわれます。ロービームとは保安基準における「すれ違い用前照灯」といわれるもの。意図的に他の交通を眩惑しないために、光線の角度を下げられている物です。

 ではロービームでは具体的にどの程度、夜間の視認性が確保されている物なのでしょうか?ハイビームを使用した時との比較を交えつつ解説していきます。

 ロービーム(すれ違い用前照灯)は、道路運送車両法の保安基準198条6項1号において、「夜間において前方40mの距離にある障害物を確認できる性能を有すること」という内容で記載されています。

 また車検においては光線軸の角度にも上限が決められており、上向きに照射することで照射距離を伸ばすのには限度があります。

 一般道において歩行者がいた場合、ロービームではどの距離から視認できるのでしょうか?

 JAFは過去に、20km/hで走行するクルマのヘッドライトのローとハイ、また歩行者の反射材や服の色などを変えて、夜間における歩行者(テストではマネキンを使用)の見え方や反射材の効果を検証する比較テストを実施しています。

 その結果ロービームで走行した場合、歩行者の服に反射材がないと、黒・青・紫・赤・緑・黄・白いずれの服の色でも視認距離が40mを下回るという結果に。反射材を多用しているJAF制服で71.3m、黒い服+反射材で42.6mでした。保安基準での照射距離40mは、実際には歩行者側の服装に大きく左右されるということが分かります。

 とくにロービームは下向きに照射されているという関係上、歩行者の足元から照らしていくことになり、下半身が黒い服装の場合には反射材の効果が得られにくいといえます。

 ちなみにハイビームでは一番視認性が悪かった紫で81.3mとなっており、十分な距離をもって視認することができています。

 先に述べた実験ではクルマは20km/hの速度で走行し、視認できた時点でブレーキをかけ、停車した時点での距離を測定していました。これは発見からブレーキを踏むまでのタイムラグ=空走距離と、ブレーキがかかって完全に停止するまでの距離=制動距離が小さくなる条件となっています。

 では空走距離と制動距離の双方が大きくなる高速走行ではどうなるのでしょうか。

 JAFは過去に、夜間に障害物に見立てた段ボール箱に向かって80km/h・100km/hで走行し、どの地点で停止できるかを検証するテストを実施しています。

 まずハイビームにて80km/hで走行した場合、平均82m手前で停止できていました。ところが同じ速度でロービームにて走行した場合は、平均5.6m手前での停止とギリギリの状態に。状況から考えればかなりの急ブレーキをかけたことも予想されます。

 これが100km/hともなると、ロービームでの停止距離は障害物から平均5.8m先となってしまい、ブレーキのみで衝突を回避する事は困難という結果になりました。

 夜間の高速道路を走行する車両はテールランプを点灯させているので、前方を走る車両の存在を知ることは比較的容易です。しかし道路上の障害物、あるいは侵入してきた動物には反射材も付いていないので、高速走行時にロービームで視認して回避するのはまず不可能といえます。

※ ※ ※

 市街地を走る上では街灯の明かりなどもあり、ついついロービームで走ってしまいがちです。しかしすべての歩行者が反射材を身に着けているわけでもありませんし、重大な事故を回避するには早い段階で発見して回避することが重要です。

 ロービームはあくまで他の交通への影響を配慮した物であり、運転時の安全を確保するためには、ハイビームも適切に使った走行を心がける必要があります。

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