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老朽化で「鉄筋消失」! ピンチヒッターは「幻の可動橋」!? 全国で2番目に古い東京「海底道路トンネル」で進む大規模更新作戦

くるまのニュース / 2022年10月3日 14時10分

東京の首都高速「羽田トンネル」は供用開始から58年が経過し、大規模更新が必要に。しかし大量の交通をさばくため通行止めにはできず、迂回路として、トンネルに並行する「羽田可動橋」を活用する案が浮上しています。

■20年以上運用停止の「羽田可動橋」を活用へ

 東京の羽田空港近くの川に、長年にわたりそのままになっている「ぶつ切りのようになった橋」。今、この風変わりな橋を「トンネル修繕のピンチヒッター」として再活用する案が浮上しています。

 この「ぶつ切り橋」は、首都高速1号羽田線の「羽田可動橋」と呼ばれる旋回橋です。海老取川をくぐる本線の羽田トンネルのすぐ隣に、架けられています。

 船を通すために橋桁は途中で切れていますが、名前のとおり橋桁が動き、1本の橋としてつながります。本線が混雑しているときに、空港西入口からトンネルをくぐらずに上り本線に合流できるようにするランプとして使われてきました。

 しかしそのめずらしい橋も、1998年に運用が停止に。それ以降、空港西入口からの合流はトンネル手前のみに固定され、橋は20年以上にわたり“ぶつ切り”のままになっています。

 しかしそんな羽田可動橋に、転機が訪れるかもしれません。

 2022年9月、首都高速本社で第5回「首都高速道路の大規模更新・修繕及び機能強化に関する技術検討委員会」が開かれました。

 この時に議題の一つとして挙がったのが、羽田トンネルの大規模更新です。

 羽田トンネルは、東京都大田区の羽田空港近くにある首都高速1号羽田線の本線トンネルです。長さ300m(海底部240m)、片側2車線ずつのトンネルが海老取川の河口近くをくぐります。

 深刻なのがその老朽化です。

 トンネルは1964年8月の開通から58年が経過しています。道路の海底トンネルとしては、1958年に開通した国道2号の関門トンネルに次いで全国で2番目に古い歴史を持ちます。

■老朽化が進む「羽田トンネル」その現状は?

 そんな羽田トンネルは、現在では、トンネルの構造目地やひび割れからは激しい漏水が発生しており、漏水に伴う緊急補修のための車線規制は、2016年度は4か月に1回でしたが、2021年度は1か月に1回と頻度が高まっています。

 さらに海水の塩分により躯体の鉄骨は腐食・消失が進み、コンクリートの剥離や防災・非常用設備の損傷・腐食も急速に進行しているといいます。

 このように、羽田トンネルの大規模更新は“待ったなし”の状況であり、現在はその大規模更新の段取りが検討されています。

 しかしここで問題となったのが、羽田トンネルのクルマの多さです。断面交通量は1日約10万台で、さらにトンネルの勾配とカーブにより減速が発生し渋滞ポイントにもなっています。

 そのため、工事による長期間の通行止めや車線規制は現実的ではないことから、迂回路を確保してクルマの流れを維持しながら工事を進めていく必要があるといいます。

 そして、その迂回路として白羽の矢が立ったのが、羽田可動橋です。

首都高速1号羽田線の羽田可動橋・羽田トンネルの運用見直し案(画像:首都高速)首都高速1号羽田線の羽田可動橋・羽田トンネルの運用見直し案(画像:首都高速)

 羽田トンネルの大規模更新は、トンネル内で車道部とダクト部を分ける中床版も造り直します。その際は、上下線を交互に通行止めにしたうえでの施工が必要です。

 案では、トンネル通行止め時の迂回路として、羽田可動橋を活用します。

 具体的には、可動橋を上り本線として運用し、工事後もそのまま上り本線として活用します。橋桁は、現行の1車線だと狭いため、本線2車線が通れる幅の広いものに変わります。

 一方のトンネルは、更新工事後、現在の上りトンネルは下り本線トンネルに、現在の下りトンネルは下り空港西出口用トンネルにそれぞれ転用されます。

 つまり、下りは現在と同じくトンネルで川をくぐりますが、上りは高架橋でまたぐ形に変わるのです。

 更新工事の検討は、2024年度以降の工事開始に向けて今後も続けられます。

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