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なぜトヨタはWRCに挑み続ける? 世界の過酷な道を走り続け見える未来! 革新的な「クルマづくり」のやり方とは

くるまのニュース / 2022年10月26日 11時30分

2022年11月10日から13日に愛知県、岐阜県で開催する「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」。FIA 世界ラリー選手権(WRC)の2022年シーズン最終戦として開催されます。すでに前戦スペインでは、2年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得したトヨタですが、なぜWRCに挑み続けるのでしょうか。

■トヨタがWRCで次世代のクルマづくりを実践!?

 2022年11月10日から13日に愛知県、岐阜県で開催する「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」。FIA 世界ラリー選手権(WRC)の2022年シーズン最終戦として開催されます。
 
 そうしたなかで、トヨタはWRCに参戦し続けていますが、さまざまなモータースポーツのなかでトヨタがWRCに挑む理由には、どのようなものなのがあるのでしょうか。

 2022年のWRCは、10月23日にラリージャパンの前戦となる第12戦「ラリー・スペイン」がおこなわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス組(GR YARIS Rally1 HYBRID 1号車)が優勝。

 さらに、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合3位、、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合6位でフィニッシュとなり、チームは2年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。

 これにより、ラリージャパンにはトヨタが凱旋帰国を果たすことになり、優勝を果たしたチームに対してオーナでもある豊田章男社長は「日本では多くのファンが3週間後のラリージャパンを待っています。チャンピオンに相応しい走りを日本の多くのファンに見てもらいたいと思います」とコメントしています。

 そんなトヨタが参戦するWRCは、40年以上の歴史を誇るラリーの最高峰として、世界中のあらゆる道が舞台となり戦いが繰り広げられています。

 そうしたなかでトヨタとラリーの歴史は、1957年に開催された豪州一周モービルガスラリー出場まで遡ります。

 トヨタがWRCに参戦するのは1973年にプライベートチームを支援する形で出場し、同年には初優勝を達成しました。

 その後はマニュファクチャラーとして参戦体制を強化し、サファリラリー3連覇など数多くの勝利を飾っています。

 1990年に初めてWRCチャンピオンドライバーを輩出し、1993年には日本の自動車メーカーとして初となるWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得。

 1999年にトヨタのワークス活動を終了するまでに、3度のマニュファクチャラーズタイトル、4度のドライバーズタイトルを獲得という実績を残しています。

 そして18年後となる2017年には、トヨタは「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」としてWRCに復帰を果たし、2018年に年間5勝、通算4度目となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。

 2021年は、オジエ選手/イングラシア選手が通算8度目のチャンピオンに輝き、ドライバーズおよびコ・ドライバーズ・タイトルを獲得したほか、マニュファクチャラーズタイトルも獲得し1994年以来の三冠を達成するなど、WRCでのトヨタの強さを示しています。

 このようなトヨタの参戦史があるなかで、なぜWRCに挑み続けるのでしょうか。

 世界各地には、激しい凹凸が続く未舗装路やハイスピードなアスファルトの峠道、新雪の下にアイスバーンが隠れるスノーロードなど、その路面環境はひとつとして同じものはありません。そのためユーザー自身がクルマを使う環境も異なるのです。

 そうした背景をふめてえ、トヨタの豊田章男社長はかつて自らが現場を通して「道やクルマ」と対話した結果、「道が人を鍛える。人がクルマをつくる」と語っており、その言葉に加えて近年のトヨタが目指すのは「もっといいクルマづくり」です。

 これを実現するためには、ユーザーが普段走る道をより深く理解する必要があり、ラリーかつWRCは世界中のあらゆる道を「いかに速く走るか」を競うための最適な場所だといえます。

 またTOYOTA GAZOO Racingは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」をおこなっており、まさにWRCは最高の鍛練の場です。

 そうしたラリーのトップカテゴリーに挑むここで、人と技術は鍛えられ、得られた知識や経験が今後の市販車開発にフィードバックされるというのが、トヨタがWRCに挑む理由だといえるのです。

 実際にWRCで学び・鍛えた知見を惜しみなく投入したモデルが「GRヤリス」となり、発表された際にマスタードライバーも務める豊田章男社長は次のように語っていました。

「トヨタのスポーツカーを取り戻したい。ずっとそう思い続けてきました。

 トヨタが自らの手で造るスポーツカーが欲しい。その想いがずっと、私の心にはありました。

 WRCへの参戦も、そこで得た技術や技能を織り込んだトヨタのスポーツカーを造りたいと思っていたからです。

 このGR-FOURは世界で勝つためにトヨタがイチから造ってきたスポーツカーです。

 そのイチからも今までのトヨタは一般のお客さまが使うクルマを造り、そのクルマでレースに使えるように改造してまいりました。

 今度は違います。レースに勝つために、そこで出すクルマのために、普段使いのお客さまに乗っていただくクルマはどうあるべきか。

 まったく逆転の発想で造り出したクルマが、このGRヤリスです」

※ ※ ※

 このコメントの通り、その後GRヤリスはスーパー耐久や、全日本ラリー選手権などで実戦投入され「壊しては直す」を繰り返し、プロドライバーとエンジニアとともに鍛え上げてノウハウをフィードバック「GRMNヤリス」を開発しています。

 さらにそれぞれのユーザーに合わせて進化する「パーソナライズサービス」や「GRパーツ」の開発など現在でもモータースポーツを起点とした進化が続けられているのです。

■ただのGRヤリスではない! WRCに参戦する「GR YARIS Rally1 HYBRID」とは

 WRCはカテゴリーによって車両のレギュレーションが異なります。

 そうしたなかで、2022年のFIA Rally1技術規則に準拠して新たに開発された最高峰ラリーカーが「GR YARIS Rally1 HYBRID」です。

 GR YARIS Rally1 HYBRIDは、GRヤリスの市販モデルをベースに、ヤリスWRCによる3シーズンのWRC参戦経験を活かして開発されました。

 このRally1は、2021年までトップカテゴリーを担ってきた「WRカー(ワールドラリーカー)」に代わる新規定車両となり、サスティナブルなモータースポーツを推進するための技術が多く採用されています。

 とくにGR YARIS Rally1 HYBRIDは、トップカテゴリーのラリーカーとしてハイブリッドユニットが搭載されたモデルです。

 パワートレインは、1.6リッター直噴ターボエンジンにハイブリッドシステム(3.9kw/hのバッテリーとモーター・ジェネレーター・ユニット)を組み合わせることで加速時には最大で100kw(約134馬力)のパワーと180Nmのトルクを発生させます。

 これによりRally1は最高出力500馬力以上、最大トルク500Nm以上を発揮。さらにブレーキ時にはエネルギーを回生し、サービスパークなどではバッテリーを外部電源に接続して充電することも可能です。

2022年8月19日、WRC第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」にてモリゾウ選手がドライブする「GR Yaris H2」の試走が披露された2022年8月19日、WRC第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」にてモリゾウ選手がドライブする「GR Yaris H2」の試走が披露された

 また使用される燃料は、合成燃料とバイオ燃料を混合した100%持続可能な俗にいうカーボンニュートラル燃料となり、FIA世界選手権のモータースポーツで使用されるのは、Rally1が初めてです。

 日本では前述のスーパー耐久にて2022年から「GR86」と「SUBARU BRZ」がカーボンニュートラル燃料を使用してST-Qクラスに新たな取り組みとして参戦しています。

 さらに、トヨタのカーボンニュートラルへの取り組みは、「水素社会の実現」にも及びます。2021年からスーパー耐久にて、水素エンジンを搭載するカローラで参戦。水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」というテーマでさまざまな企業や自治体と一体となって取り組んでいきたことで、エネルギーの選択肢の増加、水素運搬量の増加、エンジン性能や航続距離の向上、水素充填時間の短縮などさまざまな課題がモータースポーツを通じて革新的な進化を遂げているのです。

 また、WRC第9戦「ベルギー」ではモリゾウ選手(豊田章男社長)自ら水素エンジンを搭載した試作車「GR Yaris H2」で試走を披露し、世界中に水素エンジンかつ内燃機関の未来を発信しました。

 このようにトヨタがWRCに挑む理由には、さまざまな背景があるなかで「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と「カーボンニュートラル社会の実証」という、クルマづくりにおいて革新的といえる取り組みが存在するのです。

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