1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「手放し運転」も進化中! クルマの自動運転、その現在地は? 産官学連携「国家プロジェクト」SIP-adusの試乗会で実体験

くるまのニュース / 2022年10月6日 13時10分

クルマの自動運転の国内最先端を実感できるSIP-adus試乗会に出席。自動車メーカーなどの民間企業をはじめ、国や教育機関なども連携して進む国家プロジェクトは、どのようなものなのでしょうか。

■自動運転開発の国家プロジェクトが始まった背景は?

 日進月歩で研究・開発が進むクルマの自動運転。今回、その最新技術を実感できるSIP-adus試乗会が、東京のお台場で開かれました。

 この試乗会は一般的にはあまり知られていませんが、実はオールジャパン体制で進めている国家プロジェクトを紹介する場なのです。

 会場では、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、ダイハツ、BMWなどの自動車メーカーが、自動運転車や、自動運転技術を活用した高度運転支援システムを搭載したクルマを展示したり、公道で試乗を行ったりしました。

 ここで馴染みの薄い「SIP-adus」とはなんでしょうか。

 概要を説明すると、まずSIPとは「戦略的イノベーション創造プログラム」のことです。

 2014年から内閣府が始めて、自動運転のほかにも、化学や医療など、基礎研究から量産技術まで関係省庁と民間企業が一丸となって進める仕組みになっています。

 日本が世界市場で勝ち抜くために、次世代の技術について国、民間企業、大学などの教育機関などが一丸となってプロジェクトを進めるという、日本では極めて稀な存在です。

 自動運転については、adus(Automated Driving for Universal Services)という表現を使い、これによってSIP-adusと命名されています。

 現在、デジタル庁と内閣府が連携して国の司令塔の役割を果たした上で、国土交通省が道路運送車両法に関わる技術や国際連携、経済産業省がビジネス戦略、警察庁が道路交通法、総務省が通信などに関わる領域などをそれぞれ担当し、自動車メーカー、自動車部品メーカー、ベンチャー、そして大学などが相互に連携する仕組みです。

 そもそも、国がSIPで「自動運転を採用しよう」と決断した背景には、SIP第1期が始まる2014年の少し前、グローバルでは自動運転に関する新しい動きが一気に加速していたことが大きく影響しています。

 例えば、グーグル創業者のひとりであるラリー・ペイジ氏が中心となって自動運転プロジェクトを立ち上げ、シリコンバレー周辺で通称「グーグル・カー」が試験走行するようになりました。

 そのために、グーグルはカリフォルニア州交通局などと交渉して、自動運転実験車の専用ナンバープレートを取得するなど、行政を巻き込んだ積極的な動きを見せていました。

 また、ドイツを中心として欧州でも、自動運転に関して国や地域、そして自動車メーカーなどによるコンソーシアム(共同事業体)が立ち上げたり、ダイムラー、VWグループ、BMWが共同で地図情報企業を買収するといった動きが生まれていました。

■「ハンズフリー運転」が進化 「自動運転」国内での今後の展開は

 自動運転の研究開発は、カメラによる画像認識、ミリ波レーザーやライダーによる物体検知、様々なデータを高速で処理するためのシステムとそれに使う演算能力が高い半導体、そして走行するための高精度三次元地図など、これまで自動車産業では扱われる機会が比較的に少なかった分野が満載でした。

 SIP-adusプログラム・ディレクターの葛巻清吾氏は「(2014年当時)自動技術の競争で日本は欧米に対して数周遅れだった」とSIP-adus立ち上げ時を振り返ります。

 そんな厳しい環境下で始まったSIP-adusですが、第1期(2014年6月から2019年3月)には、自動運転車が安全に走るために必要な高精度三次元地図「ダイナミックマップ」を運用する企業の設立に漕ぎ着けました。

SIP-adus試乗会の様子SIP-adus試乗会の様子

 また、第1期終了に1年先んじて始まった第2期(2018年4月から2023年3月)は、第1期で進めてきた国連を舞台とする国際強調の成果が現れます。

 2020年4月には、道路交通省と道路運送車両法の一部が改正されました。

 これにより、運転の主体が運転者からクルマのシステムとなる自動運転レベル3を世界で始めて実装した「ホンダセンシングエリート」搭載の「レジェンド」量産モデルがホンダから登場しています。

 また、トヨタが「Teammate」(チームメイト)という考え方のもと、「MIRAI」とレクサス「LS500h」でダイナミックマップを活用した高度な自動運転レベル2を実装しています。

 今回、このシステムを搭載したMIRAIを約1年ぶりに試乗しましたが、両手を離して走行できるハンズフリーの条件が、以前より圧倒的に増えていることを確認できました。

 都内の首都高での渋滞中から中低速走行までハンズフリー走行できることに驚きました。こうしたソフトウエアは、クルマの通信機能(OTA:On The Air)で更新できるといいます。

 その他、ホンダは2020年代半ばに東京都内を皮切りに日本市場で導入予定の、米GMクルーズとの共同開発プロジェクト用の車両を展示しました。

 ホンダ関係者は「日本市場向けの研究開発を進めており、まずは都内のタクシー事業者と連携し、そこから今後の事業展開を考えていきたい」と開発の実情について触れました。

 今回、SIP-adus試乗会を通じて、自動運転は今後、乗用車(オーナーカー)ではレベル2(特定条件下での自動運転機能)とレベル3(条件付自動運転)のそれぞれで、またタクシーやバスなどのサービスカーでは使用地域など条件を限定したレベル4(特定条件下における完全自動運転)で、それぞれ普及が並行して進んでいくことを再確認しました。

 なお、SIP-adus第2期は2022年度(2023年3月)で終了していますが、2023年度からは自動運転の含めたモビリティ全体のデータ活用を進める「スマートモビリティプラットフォームの構築」という分野での議論が始まる予定です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください