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充電時間が半分に!? 急速充電方式「チャデモ3.0」実用化に向けた動きが加速! EV普及の救世主となるか

くるまのニュース / 2022年10月13日 10時10分

日本発祥のEV充電器向け統一規格「CHAdeMO(チャデモ)」が、EVシフトに向け大きな課題であった充電時間を短縮させる、新たな急速充電器「チャデモ3.0」の実用化に向けた動きを加速させています。果たしてこれがEV普及の救世主となるのでしょうか。

■急速充電器の「出力倍増」で充電速度は「半分」になる!?

 日本発祥であるEV(電気自動車)充電器向け統一インターフェイスを定める国際標準規格「CHAdeMO(チャデモ)」が、充電時間を半分にする画期的な急速充電器「チャデモ3.0」の実用化に向けた動きを加速させています。
 
 これまで30分以上かかっていた急速充電時間が大幅に短くなるといい、EVシフトに対する大きな課題のひとつがクリアされるかもしれません。そんなチャデモ3.0の実力とこの先の課題について紹介します。

 EVの急速充電について、大きな動きが出てきました。

 急速充電器を製造する、日立インダストリアルプロダクツは2022年10月6日、次世代EV充電規格「チャデモ3.0」の実証試験(2023年4月から2年間)に参加することを発表したのです。

 チャデモは、電力、電機関連や自動車関連などEVに関わる企業や行政機関によるチャデモ協議会がDC国際標準規格として発行している、充電器規格のことです。

 チャデモは2010年からこれまで、段階的に仕様が変わってきましたが、初期の急速充電器は出力50kWのモデルが多く、2022年時点でも50kWモデルが主流になっています。

 また、2021年12月に首都高速・大黒PA(神奈川県横浜市)で設置した、最大90kWで急速充電可能な6基型の充電ステーションがオープンし、これを皮切りに90kWモデルが徐々に増えつつある状況です。

 そうした中で、今回の実証試験では急速充電器の出力を200~350kWまで高めて行うというのです。

 また独自の動きとしては、アウディジャパンが、同じく独フォルクスワーゲングループ傘下のポルシェジャパンと連携して、全国のディーラーで150kWモデルの普及を進める計画が進んでいる状況です。

 こうした充電器の出力を上げることは、充電時間の短縮に直結します。

 例えば、EVに搭載されている電池(バッテリー)の容量が100kWh(キロワットアワー)の場合、出力50kWで充電すると、100kWh÷50kW=2h(2時間)になります。

 これが、出力200kWになれば、100kWh÷200kW=0.5h(30分)となりますし、また出力350kWでは、100kWh÷350kW=0.28h(約17分)という計算になります。

 ただし、車載電池の持続的な性能を確保するため、また充電における安全性を確保するために、急速充電では充電するEVに対する適格な制御を行うので、実際にはこうした単純計算で算出した時間にはなりません。

 とはいえ充電器の出力が2倍になれば、同じ電池容量に対する充電時間が1/2相当になるという考え方は、大筋で成り立つと考えられます。

 そのため、今回の実証試験にはEVユーザーの期待が高まるところです。

 なにせ、ガソリン車やハイブリッド車での給油時間は料金支払いの時間を含めても5分以内で終わるのですから、現状でEVの充電時間に対してとても長く感じる人が多いのは当然でしょう。

■自宅での「普通充電」利用に特化した「軽EV」の動きも

 ここで改めてEVの充電について紹介しましょう。

 EVの充電には「普通充電」と「急速充電」という2つの方法があります。

日産と三菱が共同開発した軽EV(左:日産「サクラ」/右:三菱「eKクロスEV」)日産と三菱が共同開発した軽EV(左:日産「サクラ」/右:三菱「eKクロスEV」)

 自宅などで行う普通充電器では、電圧200V・電流30A(出力6kW)を採用したとしても、ひと晩、またはそれ以上の時間がかかります。

 自動車ディーラーや高速道路のSA/PA、コンビニ、道の駅などにある急速充電器の場合では、前述のように現時点では出力50kWが主流です。

 しかも1回の充電は30分単位になっていますので、それだけでは満充電にならないほど、近年は電池容量が大きいEVが増えてきている状況です。

 EVの課題である航続距離を伸ばそうとすると、おのずと搭載する電池容量を大きくする必要があります。

 しかし電池容量が大きくなるとその分の充電時間が長くなってしまうため、結果的に充電器の出力を上げることにつながっていきます。

 一方で、日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」のような軽自動車のEVも登場し、また別の視点で充電に対する考えを示しているケースも見られます。

 これは、軽自動車の一般的な利用シーンでは長距離移動は少ないという考えから、搭載する電池の容量を少な目にすることで充電時間自体を抑えようというものです。

 そのうえで、急速充電ではなく自宅での普通充電を毎日の生活の中で「ルーティーンにしよう」というのがメーカーの主張です。

 さらに電池容量が少なければ車両本体価格も抑えられるという商品コンセプトも理にかなっています。

■日本でも実証が進む500kW超の高出力充電の実力と課題

 では今後、急速充電の出力はどこまで上がっていくのでしょうか。

日立インダストリアルプロダクツが2022年10月6日に発表した「次世代EV充電規格CHAdeMO3.0(ChaoJi2)充電実証概略図」日立インダストリアルプロダクツが2022年10月6日に発表した「次世代EV充電規格CHAdeMO3.0(ChaoJi2)充電実証概略図」

 今回、日立インダストリアルプロダクツが参加する実証試験で採用するチャデモ3.0は、500kW超級(電流600A)という高出力に対応しています。

 こうした高出力化となると、課題となるのは充電ケーブルの熱対策です。

 既に量産化されている150kWモデルでも、ケーブルを液体で冷却する方式をとっていますが、さらに高い電流が流れるとなると、冷却方法のレベルアップが求められます。

 現状では、液体冷却方式ではない50kWモデルでもケーブルは重く、またコネクターもかなりゴツい印象がありますが、ケーブルやコネクターを小型軽量化するという技術開発も進めていく計画です。

 こうしたチャデモ3.0の実証実験により、急速充電の出力アップとともに、使いやすさの面でも大きく進歩することが望まれます。

 そして、急速充電に関して最も大きな課題は、グローバルでの規格の標準化(統一化)ではないでしょうか。

 現在ある急速充電の国際標準規格は、チャデモのほか、欧米それぞれでCCS(コンボコネクター方式)、中国のGB/T、そしてテスラの独自方式が並存している状況です。

 CCSではこれまで、350kWモデルの早期導入を議論してきました。

 チャデモ3.0は、中国の次世代充電規格であるChaoJi(チャオジ)と連携していますので、今後は欧米側とどのように話を進めていくのか注目されるところです。

 これまでは、欧米側はチャデモへの対抗意識が強かったのですが、グローバルでEV普及が加速してきたいまこそ、例え国や地域で電力事情や社会事情が違うとはいえ、EV充電方式について日本と欧米は歩み寄るべき時期かと考えます。

 日本でのチャデモ3.0に基づく実証試験が終わる2025年には、グローバルで連携した350kWモデルの実用化を期待したいところです。

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