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無理に進入しちゃダメ! 遮断機の棒をへし折って億単位の弁償も!? 踏切事故時に取るべき行動とは

くるまのニュース / 2022年10月16日 16時10分

全国には線路と道路とが交差する「踏切」が数多く存在し、遮断機が鳴っているのにクルマや自転車、歩行者が進入して遮断機の棒を破損する事故が発生。棒を壊してもそのまま放置して走り去ってしまうことが多いようです。

■依然として多い踏切の遮断棒破損

 全国には、線路と道路とが交差する「踏切」はまだ数多く存在しています。

 そんな踏切で意外と多発しているのが、列車が近付いてきて遮断棒(遮断桿)が下りているのに、車両や自転車や歩行者が無理に通行して遮断棒を折ってしまうこと。

 場合によっては遮断棒の破損に気付かぬまま、もしくは気付いていても知らんぷりして走り去ってしまうことも多いようです。

 遮断棒を折ってしまったらどうなるのでしょうか。

 鉄道の線路と道路とが交差する踏切には、ほとんどの場合、列車の通過に合わせて道路の交通を一時遮断する遮断機が設置されており、列車が近付くと遮断棒が下りて列車の通行を優先させるようになっています。

 道路交通法における踏切関連の違反には次の2項目が該当します。

 まずは「踏切不停止等」です。道路交通法第33条第1項では「踏切を通過するときは、踏切直前(ある場合は停止線)で一時停止し安全を確認してから進行すること」となっています。単に一時停止するだけでなく、安全確認が必要なのがポイントです。

 もうひとつは「しゃ断踏切立ち入り」で、遮断機の警報が鳴っている間は踏切内に立ち入ることを禁止するものです。遮断機の警報が鳴り始めた時点で進入してはいけないと道路交通法第33条第2項に記載されています。

 ただ、実際には遮断機の警報が鳴っても無理やり渡ろうと進入するクルマや自転車、歩行者などが多く、渡り切る前に遮断棒が下りてしまい、結果として遮断棒を破損させてしまうという事態が多発。

 もっとも鉄道事業者も遮断棒の破損への対策を進めており、棒の材質をより高強度にしつつ、先端部や中央部に「屈折ユニット」と呼ばれる、押されると斜め上方に稼働する「折損防止器」を組み合わせた折れにくい遮断棒を徐々に導入しています。

 踏切の通過の正しい手順について、都内の教習所で勤務経験のある元教官に話を聞いてみました。

 教習所内の第一段階で習う、「踏切の前では必ず一時停止、左右の安全を確認してから一気に通過」が基本ということは間違いありませんが、実際には踏切を通過するタイミングで遮断機が動き出してしまうこともあります。

 そんなときは遮断棒をゆっくりと押しながら踏切から脱出するのが正解だといいます。

「踏切内にとどまって列車と接触事故を起こすより、遮断棒を折ってでも脱出して命を守るほうが大切です。

 諸事情により遮断棒を折ってしまった場合は、まずは踏切内からの脱出が原則ですが、無事脱出したのちに折れた遮断棒が列車や後続車の通行の妨げにならないようにすることが必要です。

 そして遮断機などに記載されている連絡先(鉄道事業者や管理会社)に一報を入れて、指示を待ちましょう」(教習所元教官)

 踏切内で列車と接触して大惨事を引き起こすより、遮断棒を破損してでも脱出するべきですが、そもそも、遮断機が鳴り始めたら踏切内に進入してはいけません。

 渡った先の道が渋滞していることなどもありますが、自車が進めるスペースがあるかどうかきちんと見極めたうえで踏切内に進入しましょう。

■撤去作業の規模で弁償額が変わる!?

 普通車よりも商用車(トラック)によって遮断棒が破損されることが多いようですが、遮断棒の破損はともかく、そのあとの対応で弁償額が大きく変わってくきます。

 目の前に踏切がある整備工場に勤めるT整備士によると、踏切に強引に進入したトラックの荷台部分に遮断棒が引っかかり、破損させる場面を年に数回は目撃するとのこと。さらにそういった場合、そのまま走り去ってしまうことが多いのだそうです。

へし折られた遮断棒へし折られた遮断棒

「商用車が時間に追われて先を急ぐ気持ちはわかりますが、故意ではなかったにせよ破損させた事実は変わりません。

 先日も遮断棒をへし折ってトラックが踏切内に入ってしまい、折れた遮断棒が踏切内を向いていたため、作業員が複数、警察車両、交通整理のための人員まで派遣され、列車も運転見合わせしていました」

 現在では多くのクルマにドライブレコーダーが搭載され、街中にも防犯カメラが増えており、警察の捜査などでかなりの確率で車両を特定することが可能です。

 遮断棒の破損が発覚して出頭命令が出てしまうと、今度は当て逃げなどの罪状も加わり、気が付かなかっただけでは済まなくなってしまうでしょう。

 意図的でなくても遮断棒を破損させてしまった場合に気になるのは弁償額です。いったいどれくらいの金額が必要になるのでしょうか。再び元教官に話を聞いてみました。

「遮断棒が折れてしまっても、列車が問題なく運行できれば弁償は少額で済みます。鉄道事業者にとっては列車のダイヤが乱されることがなければ、それほど大きな問題にならないと思います。

 一方、折れた遮断棒が踏切内に残ったりして遮断機まで破損してしまい、これにより列車が緊急停車し、撤去に作業員が出動して列車のダイヤ調整や振り替え輸送で使用するバスの手配などが加わってしまうと、数十万円から億単位の賠償になる可能性もあります」

 幸いにも列車のダイヤを乱すことなく遮断棒だけの破損で済めば、数万円もかからない事例もあるのに対し、たかが遮断棒の破損と甘く見ていると1億円を超えるような弁償請求がおこなわれた事例も実際にあるのだそうです。

「大型トラックの運転席は、遮断棒の接触や破損程度では衝撃はほとんど感じないため、気付かずに走行してしまうのでしょう。

 ただ、事故後に鉄道事業者への報告を怠ったり、被害が遮断棒だけなのか、それとも遮断機本体に及ぶのか、運行ダイヤに影響があるのかで、行政処分や補償額が大きく変わってくると思われます」(教習所元教官)

 ちなみに巨額の損害賠償は任意保険の「対人対物」が無制限であればカバーされるそうですが、これも直後に連絡をするかしないかが大きな分かれ目になります。

 やはりすぐに対処し、その後速やかに関係各社へ連絡するべきです。

「列車の運行を妨げてしまうと、個人では賄いきれない損害になってしまいますので、やはりしっかりした補償の任意保険への加入と、踏切では一時停車をして安全が確認できてから渡るという当たり前の行動が必要だといえます」(教習所元教官)

※ ※ ※

 踏切は事故が起きやすい箇所でもあります。遮断機が作動し始めたら無理に横断せずに列車の通過を待ちましょう。

 最近のクルマは遮音性が高く、窓を閉めていると周囲の音が聞こえづらくなっています。

 教習所で習ったように、踏切の警報が鳴っていないか、目視だけでなく少し窓を開けて聴覚でも安全を確認するのが良いでしょう。

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