東北道120km/hで流れは変わった? 初日に実走 速度引き上げ区間の取締りやオービスはどうなる?
くるまのニュース / 2022年10月15日 7時10分
2022年10月12日、東北道の一部区間の最高速度が120km/hに引き上げられました。この区間のクルマの流れはどう変わったのか。交通取締りやオービスはどうなるのか。実際に走りました。
■東北道の岩槻IC付近~佐野藤岡IC付近が最高120km/hに
2022年10月12日午前10時から東北道の一部区間で最高速度規制が120km/hに引き上げられたので、実際に走行してみました。
速度アップの区間は、埼玉県さいたま市の岩槻IC付近から栃木県佐野市の佐野藤岡IC付近までの約41kmです。
私(オービスガイド 大須賀克巳)は変更初日の昼から夕方にかけ、岩槻ICと佐野藤岡ICを往復してみたのですが、下り方面はところどころで車線規制を伴う工事が行われており、その影響によりほとんどのクルマは100km/h以下で走行していました。
また上り方面は、夕方という時間帯もあり都心方面へ戻るクルマが多く、やはり多くの車は100km/h前後で走っていました。それでも交通量が少なくなるタイミングで120km/h走行を試しているようなクルマもチラホラ見られました。
最高速度が110km/h以上に引き上げられた他の3か所にも共通することですが、個人的には各ドライバーのストレスが減ったような印象を受けます。ただしこれは普通車に乗っている私の感想で、大型車や自動二輪のライダー目線だと違う意見になるのかもしれません。
ちなみに大型貨物自動車等の最高速度は80km/hのままなので、そのようなクルマのドライバーから見ると追い越しのタイミングを計ったりするのに神経を使うことが増えたかもしれません。
区間内では、大きな速度差のある車両が混在して走るわけです。例えば新東名高速の最高速度120km/h区間は大型車の比率が高く、3車線あるうちの左側2車線は大型車のペースになり、追越車線に普通車が集まる傾向があります。
80km/hで走る大型車を追い越す100km/hくらいのクルマと120km/hで走りたいクルマが集中することもあり、その時は多少ギスギスした状況になるのですが、適度な交通量であればそれもすぐに解消されます。
私は10年以上前からオービス(速度違反自動取締装置)を調査する目的で全国の道を走り続けていますが、最高速度が上がって危険になったと感じたことはありません。最高速度が引き上げられた区間は、もともと見通しの良い片側3車線道路で、高低差やカーブが少ない場所です。合流部や路肩などもゆとりがあり120km/hで走っても、都市部や山間部の高速道路を走るよりはるかに安心です。
また、大きな声では言いにくいのですが、従来は制限速度付近で走行していても、私は絶えず覆面パトカーの存在を頭の片隅に置きながら走行していました。それが、最高120km/h区間なら110km/hで走っていてもその必要もなくなり、気持ちにとても余裕ができました。ただし120km/h区間で140km/hは出ているだろうクルマも目にします。当然そのようなクルマは検挙対象となりますし、今回120km/hに引き上げられた東北道ではスバル「WRX」の覆面パトカーも活躍しています。
■120km/h・110km/h区間のオービスを一挙紹介
最高速度が120km/hに引き上げられた高速道路の区間は、今回の東北道だけでなく全国に存在します。予定区間や110km/h区間、そして区間内にあるすべての固定式オービスを紹介します。
●全国の120km/h・110km/h区間
1:東北道の岩槻IC付近から佐野藤岡IC付近(約41km)
2022年10月12日から、最高速度規制が120km/hに。
2:東北道の花巻南IC付近から盛岡南IC付近(約27km)
全国初、2020年9月16日から、最高速度規制が120km/hに。
3:新東名高速の御殿場JCT付近から浜松いなさJCT付近(約145km)
2020年12月22日から、最高速度規制が120km/hに。
4:東関東道の四街道IC付近から成田JCT付近(約20km)
2021年12月1日から、最高速度規制が110km/hに。現在110km/hですが、1年ほどとされた検証期間が終わる2022年末か2023年の初め頃には120km/hに変更されるかもしれません。
5:常磐道の柏IC付近から水戸IC付近(約71km)
今後、最高速度規制が引き上げられる予定区間です。
●区間内にあるすべての固定式オービス
1:東北道の岩槻IC付近から佐野藤岡IC付近
・上り37.2kp(キロポスト)付近(羽生IC~加須IC間):LH式オービス
・下り14.3kp付近(岩槻IC~蓮田SA間):LH式オービス
2:東北道の花巻南IC付近から盛岡南IC付近
・上り484.4kp付近(紫波SA~花巻IC間):ループコイル式オービス
3:新東名高速の御殿場JCT付近から浜松いなさJCT付近
・上り140.7kp付近(藤枝PA横):LH式オービス
・上り171.1kp付近(森掛川IC手前):LH式オービス
・下り65kp付近(長泉沼津IC手前):LH式オービス
・下り140.5kp付近(藤枝PA手前):LH式オービス
4:東関東道の四街道IC付近から成田JCT付近
・上り32.1kp付近(酒々井PA過ぎ):LH式オービス
5:常磐道の柏IC付近から水戸IC付近(予定区間)
・上り56.8kp付近(石岡小美玉スマートIC~千代田石岡IC間):LH式オービス
・下り25.1kp付近(谷和原IC~谷田部ICの中間):LH式オービス
■120km/h区間の固定式オービスは何km/hで光るのか?
東北道下り120km/h区間内にある固定式オービス(画像:オービスガイド)
通説では、高速道路上の固定式オービスは制限速度プラス40km/h以上で光るといわれています。となると、最高120km/hの区間では160km/h以上で光るということになります。
断定はできませんが、固定式オービスにより青キップレベルで検挙されたという事例を過去に目にしたことがなく、よって高速道路ではプラス40km/h未満は青キップなので検挙されないだろうと推測します。
ただし、最近は移動式オービスの普及が進んでいるため、こちらは青キップレベルでも撮影されます。TwitterなどのSNSやオービス情報アプリ「オービスガイド」では、すでに各地の高速道路で移動式オービスの目撃例が頻繁にあります。ただ現時点において当方が把握する限りでは、120km/hや110km/h区間で移動式オービスの運用は確認されていません。
ちなみに埼玉県や千葉県などで運用されているMSSSという移動式オービスは、300km/hで走るクルマでも鮮明にナンバーと運転手を撮影できる性能があるので、今後は120km/h区間であっても移動式オービスが運用されていくと思われます。
走行速度が上がるほど制動距離も伸びますし、クルマのコントロールを失った時の立て直しも難しくなります。速度が速いということは、万一事故になった場合の衝撃は大きく、重大事故に直結するということを忘れずに運転していきたいと思います。
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