路上に合法で「無料駐車できる?」ルール曖昧な「パーキングメーター」噂はホント? 元警察官の見解は
くるまのニュース / 2022年10月17日 8時10分
都市部の道路に設けられているパーキングメーター には、「59分以内(時間内)の利用ならタダ、駐車違反にはならない」といった噂があります。果たしてこれは本当なのでしょうか。
■「59分以内ならタダ」パーキングメーターの噂の真相は
都市部では短時間の駐車の需要が考慮され、道路上に「時間制限駐車区間」が設けられていることがあります。
一般的には「パーキングメーター」などと呼ばれていますが、このパーキングメーターに関して「59分以内(時間内)の利用ならタダ、駐車違反にはならない」などという噂があるといいます。果たして本当なのでしょうか。
今回は、警察官として8年間ほど業務に携わってきた筆者(元警察官はる)が解説していきます。
都市部などでは、ちょっとした買い物、人待ちなど短時間の駐車の需要があることを考慮し、道路上に「時間制限駐車区間」というスペースが設けられていることがあります。
時間制限駐車区間とは、一定の制限時間内に限って、同じ車両が引き続き駐車できる道路の区間のことをいいます。
時間制限駐車区間には、その区間であることを示す道路標識などが設置されています。
道路標識には「9-19」「P60分」などと時間が表示されており、例えばこの場合は9時から19時までの間に、60分を超えない駐車ができることを表しています。
また、この区間にはパーキングメーターやパーキングチケットの発給設備が備え付けられており、決められた手数料を支払えば設定された時間を超えない駐車が可能となります。
なお、場所によって異なりますが、一般的に利用時間を60分と設定しており、手数料は300円と決められています。
パーキングメーターは指定の駐車枠に駐車された車両を感知し、車両が駐車している時間を自動的に測定する機械であり、パーキングチケット発給設備は、駐車開始時刻や駐車終了時間などが印字されたチケットを発給する機械です。
パーキングメーターがある場合には、駐車枠にきちんと収まるようにクルマを駐車し、メーターの時間が「0分」になっていることを確認。
そしてすぐに手数料を支払って、決められた時間内で利用しなければいけません。
パーキングチケット発給設備が備え付けられている場合には、クルマを駐車した後に手数料を支払い、チケットを発給します。
発給されたチケットは一部を剥がすとシール状になっているため、駐車しているクルマの前方の見やすい位置に貼り付けておく必要があります。
このような仕組みで利用するパーキングメーターやパーキングチケット発給設備をめぐっては、「59分以内(時間内)の利用ならタダ、駐車違反にはならない」などといった噂が流れています。これは本当なのでしょうか。
結論から言うと、「タダにはならないし、手数料を支払わなければ駐車違反が成立」します。
このような噂が流れるようになったのは、パーキングメーターやパーキングチケット発給設備の仕組みや取り締まり基準の曖昧さにあると考えられます。
パーキングメーターの場合は、駐車したクルマを感知して時間が計測されるシステムですが、コインパーキングのように不正利用を防止するためのロック板などの装置はない上、手数料を支払っていない状態でも駐車できてしまいます。
パーキングチケット発給設備の場合も同様で、利用者が手数料を支払ってチケットを発給しなければ時間は計測されず不正利用を防止する装置もないため、未払いのまま駐車できてしまい、利用者のモラルに頼る部分が大きいといえます。
また、パーキングメーターは100円硬貨のみの支払いになっていることが多く、先払いが原則です。
とはいえ利用者が「お金を崩すためにクルマを離れていた」「後で支払うつもりだった」と言い訳するケースもあるほか、駐車後何分以内に料金を支払わなければならないという明確な決まりもないため、60分という制限時間内においては取り締まりが積極的におこなわれていない現状もあるようです。
しかし、これらのような状況だからといって料金を支払わなくても良い、駐車違反にならないというわけではありません。
道路交通法第49条の3第4項では、車両の運転者が時間制限駐車区間に駐車するときは、直ちにパーキングメーターを適正に作動させて駐車しなければならないと定められています。
また、パーキングメーター本体には利用時間、手数料、駐車方法などが掲載されているほか、「手数料を入れないと駐車違反になります」との文言が明示されています。
さらに、パーキングチケットの際も、発給されたチケットをクルマのフロントなどの見やすい位置に提示しなかった場合も道路交通法第49条の3第4項の違反となり、先ほどと同様、駐車違反になってしまう可能性があります。
そのほか、時間制限駐車区間に制限時間を超えて駐車した場合は、道路交通法第49条の3第2項に違反したことになり、こちらも駐車違反の対象になってしまいます。
神奈川県警察のウェブサイトでも、「利用時間を超えて駐車することはできません。手数料を入れても利用時間を超えると、駐車違反となります」と明言されており、たとえ手数料を払ったとしても繰り返し利用することはできないのです。
※ ※ ※
パーキングメーターなどでは、設備の仕組みなどの曖昧であることから、「時間内利用はタダ」「駐車違反にはならない」といった噂もあるようです。
しかし、利用時間内であっても手数料を支払うことは決められたルールであり、利用時間を超えて駐車することは駐車違反に該当します。ルールを守って正しく利用することが大切です。
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