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ついにシフトレバー「消失」!? もはや“懐かしい”「コラムシフト」からスイッチ式まで! 一体どんな方式があった? 「シフトレバーの変遷」とは

くるまのニュース / 2022年10月28日 9時10分

前進・後退やギアの切り替えなど、トランスミッションの操作を車内で出来るようにしているのが、シフトレバー。クルマには欠かせないパーツですが、その姿は時代とともに変化しています。今回はどのような方式があったのか、どのような利点があったのかなどを解説します。 

■シフトレバーとは

  エンジンの回転方向は1方向です。そのため、後退走行をするときには何らかの方法でエンジンからの回転を逆転させる必要があります。

また、エンジン自体の力は弱く、トランスミッションを介してギア比を低くして力を強めないと発進できず、さらに、発進したらギア比を高くしていかないとクルマの速度が上がりません。

 前進・後退やギアの切り替えなど、トランスミッションの操作を車内で出来るようにしているのが、シフトレバーです。シフトレバーは常にドライバーの近くにあり、スポーツカーやミニバンなどのクルマの性格や時代に合わせて、方式や形状を変えてきました。

 その方式や形状にはどのようなものがあるのでしょうか。さまざまなシフトレバーの方式を紹介します。

■コラムシフト

 コラムシフトは、ハンドルの付け根であるステアリングコラムの脇にレバーを装着した方式です。利点として前席の足元が広くなり、前席を3人乗りにしたり、左右席の移動をしやすくすることが可能です。

 そのため、より多くの人を乗せたいタクシーやミニバンなどに採用されてきました。コラムシフトは、MTおよびAT、CVTも採用例があります。

 特にATとCVTでは運転中にレバーを操作することが少ないために、コラムシフトの利点を十分に生かせます。

 しかし、MTではシフトレバーの動きが大きくなるために素早いシフトチェンジをしにくかったり、レバーを操作するときに上半身が動きやすくハンドル操作に影響することがあるために、スポーティなクルマには向かない面がありました。

 そのためか、スポーティカーブームの1960年代末を境に、コラムシフトのMTモデルは減少していきました。

 1990年代半ばになるとミニバンの流行が始まり、前席3人乗りや前席ウォークスルーが利点となるコラムシフトのATが復活しました。

 操作感覚の関係から、その後主流は後述するインパネシフトに移っていきましたが、メルセデス・ベンツは電気スイッチ式としてコラムシフトを復活させました。

 このように、コラムシフトは消えては復活を繰り返していいます。

■インパネシフト

 ミニバンのコラムシフトの後に主流となったのが、インパネシフトです。この方式はコラムシフトのATで不便だった点が改良されています。

 コラムシフトのATでは、レバーを中間のDや2の位置に止めることにコツが要り、NからDにする際に2に入ったり、2からDにする際にNになってしまうことがあります。

 シフトレバーを上下に動かすために、重力や腕の重さが関係するからではないでしょうか。

 一方インパネシフトは、レバーを前後方向に動かすために腕の動きだけで操作出来ます。

 レバーの位置決めが楽であり、コラムシフト同様に足元も広くなるために、特にミニバンにはうってつけの方式だといえます。

 インパネシフトには、変わり種がいくつかあります。「シビックタイプR」二代目モデルは、MTながらインパネシフト方式を採用していました。

 また、2005年に登場した日産「セレナ」(C25型)などでは、シフト操作力を軽くするパワーアシストシフトという機構が採用されていました。

 シフトレバーの根元に操作を補助するモーターを組み込み、ストロークが短いながら軽いシフト操作が可能な方式としていましたが、その後廃れてしまいました。

■フロアシフト

 フロアシフトは、多くの車で採用された方式です。シフトレバーがドライバーのすぐ横にあるために、ハンドルから左手をおろすとすぐにレバー操作が可能なことが特徴です。

 フロアシフトのATは、自動車の歴史の中でも比較的全盛の期間が長かったために、多くの変化や改善点がありました。

 まず、フロアシフトのAT車が出始めた数年後に、操作ミスを防ぐためのディテントスイッチが装着されました。

 このスイッチを押さないと、PレンジからRレンジ、2レンジから1レンジの操作が出来ないようにするものです。この区間は、操作時にブレーキを踏んだり、エンジン回転数に気を付けるなど、注意を要します。ドライバーにスイッチ操作を要求することで、操作ミスを防いでいたのです。

 スイッチ形式には、中指、薬指、小指で引き上げる方式もありましたが、親指操作式が主流となって現在に至ります。

 次に、オーバードライブスイッチがレバーに装着されました。このスイッチは、ごく初期にインストルメントパネルに装着されたことがありましたが、すぐにシフトノブ部分に移りました。

 さらにATが電子制御式になると、変速が起こるタイミングなどをシチュエーションによって変化させる「モード切り替えスイッチ」がシフトレバーの脇に装着されるようになってきました。

 そしてレバー操作方法も変化していきます。

 当初はP、R、N、D、2、Lと前後まっすぐに操作するストレート式でしたが、レバーを脇に倒すとギアをマニュアル選択できるマニュアルモード付きが現れました。

 もっとも古いのは1969年発売型トヨタコロナのEATですが、主流になったのはポルシェが「ティプトロニック」を採用してからです。

 ティプロトニックはDレンジからレバーを横に倒すとマニュアルモード位置になり、レバーを前後に倒すことでシフトアップダウン操作が可能となります。

 同じマニュアルモードでもメーカーによってアップとダウン方向が逆のものがあり、慣れていないと操作を誤りがちでした。

 このマニュアルモードは変速も素早いものが多く、普通の人が操作するMT車よりもずっと早い変速が可能でした。

 また、同時期にゲート式シフトレバーを採用するクルマも出てきました。

 メルセデス・ベンツが最初に採用した方式で、シフトレバーの通り道が左右ギザギザになっているものです。

 ディテントスイッチやオーバードライブスイッチが不要となり、レバーをゲートに合わせて操作することで誤操作を防いでいました。

 操作に慣れると、特にDレンジから3レンジなどへでは素早い操作が可能となり、スポーティな運転にも向いていました。

 シフトストロークも短くしっかりしており、素早いシフトチェンジやダイレクトな操作感覚を味わえます。

 フロアシフトのMTは1960年代後半から、スポーティな運転感覚を狙ったクルマからされてきました。

 フロアシフトのATと同様に多数の車に採用されています。

 また面白いことに、自動車メーカーやギアの段数により、シフトレバー上のギア位置が異なることがありました。

 昭和50年代初め頃までの日産車は1速が助手席寄りの左後方にあり、ヒューランドパターンなどと呼ばれていました。

 他社のクルマから乗り換えると慣れるまで操作しづらいものでしたが、慣れれば山道では2速と3速の切り替えをレバーの前後操作だけで可能なために、より早いシフト操作が可能でした。

 また、前進走行中にレバーを誤ってバックに切り替えないように、バックギアを入れるのに特別な操作が必要なものもありました。

 レバー全体を押し下げるものや引き上げるもの、レバーについたノブを引き上げるものなど、簡単にレバーをR位置に出来ないようにすることで、誤操作を防止していたのです。

■そして電気スイッチへ

 電子制御技術の向上に伴い、シフトレバーも電気スイッチ化が進んでいます。BMWやアルファロメオ、トヨタ「MR-S」などが、MTを電子制御化したトランスミッションなどで採用しはじめました。

 また、マニュアルモード付ATのマニュアル変速スイッチを、ステアリング付近に搭載するものも現れました。ハンドル自体やコラムの左右にシフトアップ、ダウンスイッチを装着し、ドライバーがハンドルから手を放さずに素早いシフト操作を可能としたものです。

 とはいえハンドル操作中にシフトチェンジをしようとすると、ステアリングにスイッチがある方式は「どっちがダウンだったっけ?」と迷ってしまったり、コラム固定スイッチではハンドルを持つ手とスイッチが離れてしまうなどの欠点もありました。

 そしてハイブリッド車の登場とともに、レバーは完全な電気式スイッチとなっていきました。

 特にトヨタの2代目「プリウス」から採用されたシフトスイッチは多くのメーカーが後を追い、シフト方式をほぼ同様にしています。

 さらにホンダは「インサイト」などで、P、R、N、Dの選択をボタン式スイッチにしました。

 ついに室内からシフトレバーを消したのです。

BMWの電気スイッチ式シフトBMWの電気スイッチ式シフト

 シフトレバーと同様に運転席の特等席にいたパーキングブレーキレバーは、近頃はパーキングブレーキスイッチとなって存在感を小さくしています。

 電気スイッチによる操作方式とすることで、運転支援装置との相性が良くなり室内もすっきりします。

 遠からず、シフトレバーも同じ運命をたどるのではないでしょうか?

 ノブやブーツの材質に力を入れ、インテリアとしての要素も高かったシフトレバーですが、最後の時を迎えそうです。

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