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「レバー式」パーキングブレーキ激減!? なぜ「電動式」に置き換わった? もはや懐かしい「ステッキ式」何が良かったのか「パーキングブレーキ」の変遷とは

くるまのニュース / 2022年10月21日 7時10分

現代のクルマのパーキングブレーキは、電子化し自動化が進んでいます。今回は、パーキングブレーキの簡単な歴史と、現在の状況をご紹介します。

■パーキングブレーキは踏む?かける?それとも「操作しない」?さまざまな方式が存在

 クルマを停めたときに使うパーキングブレーキですが、その操作をしたかどうか覚えていない、という人もいるかもしれません。

 それだけ、現代のクルマのパーキングブレーキは、自動化が進んでいます。今回は、パーキングブレーキにどのようなものがあったのか簡単な歴史と、現在の状況をご紹介します。

 パーキングブレーキは、文字通りクルマを駐車するときにかけるブレーキです。

 フットブレーキは、ドライバーが足でペダルを操作し、クルマを減速や停車させるものです。一方でパーキングブレーキは、ドライバーがクルマを離れても、クルマがその場から動かないように留める役目を担っています。

 パーキングブレーキにクルマを減速させるほどの制動力は不要なので、ほとんどのクルマに搭載されているパーキングブレーキは後輪の2輪だけに効くようになっています。

 クルマを止めておく力もパーキングブレーキ単体では弱く、MT車であれば、1速またはリバースにシフトし、ATやCVT、ハイブリッド車はギアを「P」ポジションに入れて機械的に固定しています。

 なお、それでもクルマが転動してしまいそうな坂道では、車輪に輪留めをします。

 そんなパーキングブレーキを操作する機構は、時代の流れによっていろいろ変化をしてきました。

■旧車や商用車のステッキ式

 旧車や商用車に採用されていることが多いのがステッキ式パーキングブレーキです。

 ステッキ式パーキングブレーキとは、人が歩くときに持つステッキに似たT字型のレバーを、ドライバーの左ひざ付近に配置したものです。

 ステッキの根元はインストルメントパネル奥にあり、ドライバーはレバーをつかんで自身の方に向かって引き、パーキングブレーキをかけます。

 パーキングブレーキを解除するときは、レバーにあるボタンを押すか、手前に引きながらレバーのグリップを90度回し、奥に押し戻します。

 レバーがインストルメントパネルにあるために、ドライバーの左横付近のスペースが広くなります。

 ベンチシート車やコラムシフト車と組み合わされることが多く、トラックやタクシー、バンのほか、かつては乗用車にも広く採用されました。

 レバー操作をするときにドライバーが上半身を動かし引くことができるため、強い力でパーキングブレーキをかけられます。

 しかし、乗用車用としては、1970年前後から採用例が減少していきました。

■少なくなってきたけどおなじみのレバー式

 パーキングブレーキとして、最もおなじみとも思える方式がレバー式です。

 フロアシフト方式のシフトレバーの後方や横に、パーキングブレーキレバーを装着したものです。

 レバーはフロアに装着されており、ドライバーがレバーを引くとレバーの先端は円弧を描いて上方に移動します。

 パーキングブレーキを解除するときは、レバー先端にあるリリースノブを押すとレバーが降りていき、パーキングブレーキが解除されます。

 この方式は、パーキングブレーキレバーがセンターコンソールに配置されるために、内装の形状や構成、スペースに制限があったり、現在の高級車ではおなじみのリアエアコン吹き出し口を作りづらくなるなどの欠点もあります。

 一方で、パーキングブレーキを補助的に使用する坂道発進がしやすかったり、モータースポーツ競技などの特殊な用途に使用しやすいなどの理由で、根強い人気があります。

 主にジムカーナなどの競技で使用されるテクニックである「スピンターン」は、一瞬だけパーキングブレーキレバーを操作しおこないます。そのために、リリースノブを押さなくてもパーキングブレーキレバーを解除できるようにする「スピンターンノブ」という後付けパーツが流行した時代もありました。

 スピンターンノブは見栄えの良いアルミ製が多いために、ファッションとして装着している人もいました。

■AT車専用の足踏み式

 足踏み式パーキングブレーキも、長い間存在している方式です。

 パーキングブレーキペダルがドライバーの左足付近にあるために、クラッチペダルがないAT車もしくはCVT車専用です。

 パーキングブレーキをかけるときは、ペダルを踏みます。この方式は、ブレーキをかける際に足で踏む大きな力を利用できるために、他の方式と比較して誰でも確実にパーキングブレーキをかけられることが特徴です。

 一方、パーキングブレーキを解除する方法は様々でした。

 まず、レバーによる解除方式です。ドライバーの右もしくは左ひざ付近にパーキングブレーキ解除レバーがあり、ドライバーがレバーを引くとパーキングブレーキペダルが元の位置に戻るのです。

 このレバー操作にドライバーの姿勢が前傾気味になるために、少々操作しづらい欠点がありました。

 次に、主に高級車用として、シフトレバー付近にパーキングブレーキ解除用電気スイッチを設ける方式が登場しました。
 
 解除操作は電気スイッチを操作するのみなので、ドライバーは姿勢を崩さずに済むことが特徴です。

 パーキングブレーキペダルの構造にダンパーを組み込み、ペダルがスッと静かに戻るものもありました。

 そして最近のものは、足踏み解除式です。

 ペダルを踏んでブレーキをかけることは一緒ですが、解除するときにはもう一度ペダルを踏みます。

 構造も簡単になるために、一時はほとんどのクルマに搭載されました。

■パーキングブレーキは電動に…そして操作をしなくても自動で作動するように

 現代のクルマはあらゆるものを電動で制御していますが、パーキングブレーキにも、電動化の波が押し寄せています。

 パーキングブレーキを電動化する利点は、ドライバーの力に寄らずパーキングブレーキ制御が出来ること、ドライバーの操作とは別にパーキングブレーキを作動させられることの2つです。

 特に後者は、現在普及しつつあるアダプティブクルーズコントロールとの相性が良く、混雑時に停車を保持する機能を搭載できます。

 ドライバーがパーキングブレーキを操作しなくても停車を維持し、前方のクルマが発進すると自車もパーキングブレーキを解除、発進します。

 操作スイッチはパワーウインドウスイッチにも似た形状で、パーキングブレーキをかける際にはスイッチを引き上げ、解除するときにはスイッチを押し込みます。

先進安全機能に寄与する電動パーキングブレーキ先進安全機能に寄与する電動パーキングブレーキ

 スイッチの位置は、おおよそがセンターコンソール部分にありますが、ドライバーの右もしくは左側のインストルメントパネルに配置するクルマもあります。

 電動式パーキングブレーキ出現当初は、単にパーキングブレーキレバーがスイッチになっただけのものが多かったのですが、その他の装置と連動させて自動的に制御するようになってきました。

 まず、シフト連動制御です。Pレンジにシフトすると自動的にパーキングブレーキもかかり、パーキングブレーキかけ忘れを防止します。

 また、パーキングブレーキが効いたままDレンジにしてアクセルペダルを踏むと、パーキングブレーキを自動で解除します。

 一部には、運転席ドア連動制御を搭載しているクルマもあります。

 ドライバーがパーキングブレーキ操作を忘れ、車外に降りようとドアを開けた際に自動的にパーキングブレーキをかけます。

 この動作によってパーキングブレーキかけ忘れによる転動を防ぎますが、車庫入れなどの際にドアを開いてバック走行する人には不評のようです。

 そして、電動式パーキングブレーキは万一の際にも有効です。ドライバーの体に万一のことがあり、運転を継続不能になってしまった際に同乗者がスイッチを操作すると、車輪を滑らせることなく停車させる機能があります。

※ ※ ※

 パーキングブレーキの電動化は、間違いなく機械式のパーキングブレーキを駆逐していくことでしょう。

 衝突被害軽減ブレーキの装着は、既に新型車に義務化されています。

 合わせて運転支援装置も搭載することになると、機械式パーキングブレーキは都合が悪くなります。

 安全性の上でもパーキングブレーキの電動化は効果が高く、ますます手動式は不利になるばかりです。

 モータースポーツの分野では、電動式パーキングブレーキを歓迎していないような声も聞こえてきますが、ドライバーやカスタムメーカーがこれまでとは異なるテクニックを生み出していくのではないでしょうか。

 先日登場した「シビックタイプR」でも、電動パーキングブレーキを採用しています。

 EV化など現在自動車業界にはさまざまな変化が起こっていますが、古き良き時代にとらわれず、新しい時代のスポーツドライビングを探す時代になっているのかもしれません。

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