1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

どんなに乗っても「バス料金タダ!?」 千葉・松戸市の地域交通が画期的! 無料乗車を可能とする仕組みとは

くるまのニュース / 2022年11月2日 8時10分

千葉県松戸市で運行が開始されたグリーンスローモビリティは、料金無料で利用できるといいます。一体なぜなのでしょうか。

■バス料金が無料になるのはナゼ?

 千葉県松戸市で、なんと料金無料の小型電動バスの正式運行が2022年10月に始まりました。

 これは、グリーンスローモビリティ(通称グリスロ)を使った地域交通ですが、そういわれても「グリスロって何?」と思う人が少なくないでしょう。

 グリスロとは、国土交通省によると「時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスで、その車両を含めた総称」と定義されています。

 すでにグリスロは全国各地で走っていますが使用目的はさまざまです。

 例えば、道が狭くて普通のクルマでは通り抜けが難しいような場所にある観光地での移動や、または高齢化が進む地域で普段の買い物などで不便を感じている人たちのための移動手段としてなど、地域の特性に合わせた活用方法があります。

 全国各地で実用化されているグリスロは、実証実験のときは“お試し”であり、データ収集が目的であることから“一時的に料金は無料”とするのが一般的です。

 しかし、正式に運行するとなれば当然、事業として成立させなければなりません。地域の社会情勢や運営事業者の考え方によって多少の違いがありますが、1回の利用で数百円単位の料金がかかります。

 通常は、地元の自治体が車両を購入またはリースして、運行については自治体として予算を組んでからタクシーやバスなどの交通事業者に運行業務を委託する、有償旅客運送の形をとることが多いです。

 その一方で松戸市が運行するグリスロの場合、導入の目的が少し異なります。

 松戸市では、高齢者の社会参加の促進や地域社会でのコミュニケーションの促進に対して、地域住民が自らの考えと行動によって課題解決をする活動をおこない、自治体がサポートする態勢をとっています。

 そうした活動を続けるなかで、結果的に松戸市の社会保障費が抑制できれば良いという考え方のもと、松戸市の福祉長寿部が中心となって市に対してグリスロの予算を計上し、無料運行を実現させているのです。

“地域住民が自ら”ということなので、ドライバーは地域住民のボランディア活動としています。

 ドライバーになるためには、座学と実走行による松戸市独自の講習会を受講し、市独自のライセンスを取得する必要があります。

※ ※ ※

 松戸市は丘陵地帯であるため、高低差が大きく坂道が多いのが特徴です。自宅から半径1kmちょっとの距離にあるスーパー、病院、駅などに行くにも、とくに高齢者は大変な場合が少なくありません。

 こうした生活環境のなかで、松戸市では河原塚地域(4町会)と小金原地区(18町会)を皮切りに、グリスロの輪を広げていこうとしているのです。

■地域の足となるグリスロ 夜間は別の利用方法も!?

 グリスロに使われる車両は、車両の寸法や乗車定員などによって、軽自動車、小型自動車、普通自動車といった分類がされています。

 パワートレインは基本的にEV(電気自動車)で、車両の大きさや走行性能によってモーター出力や搭載する電池容量にも違いがあります。

青色回転灯や太陽光パネル設置でグリスロ以外でも活用できる青色回転灯や太陽光パネル設置でグリスロ以外でも活用できる

 自動運転車もグリスロに含まれるという解釈もできますが、現時点で導入コストを下げるという意味では、ドライバーが手動で運転することがグリスロの基本になります。

 車両はヤマハ発動機製のゴルフカートを使う場合が多く、松戸市でも2019年と2021年におこなった実証実験では同車両を活用していました。

 ただし、乗車定員の数や外気に直接触れることで夏の暑さや冬の寒さを感じることなど、実証実験を通じて参加者から得た声を踏まえて、正式運行ではタジマモーターコーポレーション製の「NAO」を3台導入することになったのです。

 今回、松戸市河原塚地域でのオープニングセレモニーに登場したのは「NAO-6J」で、車両寸法は全長4050mm×全幅1500mm×全高2300mm、ホイールベースは2000mmで車両重量は1170kg。ただしNAOー6Jは本来6人乗りですが、今回登場した松戸モデルは6J改良版で乗車人数は、運転手を含め8名となっています。

 モーター出力は7.5kWの後輪駆動車で、搭載する電池は鉛蓄電池を使っています。

 満充電までの時間は7時間から10時間で、満充電での航続距離は80km。最高速度はグリーンスローモビリティの規定として時速19kmとしています。

 また、オプション装備として、ルーフ前方に青色回転灯を取り付けており、これによって乗車で移動していない夜間などは地域のパトロールカー(青パト)として活躍することになります。

 また、ルーフ後方には太陽光パネルを装備。災害時にスマートフォンなどの充電に役立つことを想定しています。

※ ※ ※

 河原塚地域でのオープニングセレモニーには、松戸市の伊藤智清副市長、河原塚グリーンスローモビリティ運営委員会委員長の石山峰雄氏、タジマモーターコーポレーション代表取締役兼社長の田嶋伸博氏、そしてこれまで全国のグリスロ普及に対するアドバイスをしてきた東京大学名誉教授で、一般社団法人 日本自動車研究所 代表理事・研究所長の鎌田実氏が祝辞を述べました。

 こうした皆さんは地域の活動に敬意を示した後、運行は安全第一であるという点を強調していました。

 地域課題を地域住民が自らの手で解決するということは、さまざまなリスクについても活動に参加する一人ひとりが十分に理解し、責任感を常に維持することが重要だと感じます。

 そのうえで、「地域の互助」としての皆の移動が成り立つのだと思います。

 松戸市の新たなる試みに、大いに期待したいところです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください