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「エンジンオイル交換」サボっちゃだめ? 放ったらかすと内部で何が起きるのか

くるまのニュース / 2022年11月15日 11時10分

消耗品であるクルマのエンジンオイル。もし交換をサボってしまうと、エンジン内部で何が起きるのでしょうか。

■エンジンオイルの交換を怠るとどうなるのか

 エンジンの潤滑油であるエンジンオイルは消耗品です。一定以上使用した場合は交換することになります。

 しかし、ただの潤滑油と思われているのであればそれは大きな間違い。エンジンオイルの性能は日々向上しており、今日 の高性能エンジンの性能を引き出す上で欠かせない物となっています。

 ではそのエンジンオイルを交換せずに走り続けたらどうなるのか。整備士に話を聞きました。

 エンジンオイル=潤滑油という認識の通り、「潤滑」もエンジンオイルの役割のひとつ。しかしそれ以外の6つの役割については、あまり意識されることが無いようにも思えます。

 そこでエンジンオイルの7つの役割を確認したいと思います。

 まず1つめが「潤滑作用」となります。これは金属パーツ同士の摩擦を低減することで、摩耗を減らすのが目的です。

 2つ目が「冷却作用」。ピストンなど冷却水が届かない場所に対して、エンジンオイルを吹き付けることで熱を奪い、奪った熱をオイルクーラーまで循環して放熱を行います。

 3つ目は「緩衝作用」。粘性のあるオイルは狭い隙間ではクッションの役割を果たし、ピストンで生じる燃焼の衝撃を吸収しています。

 4つ目は「防錆作用」。金属表面に油膜を張ることで、空気や水分を遮断して、金属パーツを錆から守ります。

 5つ目が「密封作用」。ピストンとシリンダーの間には隙間があり、そのまま燃焼させると圧力が逃げてしまいます。その隙間に粘性を持ったエンジンオイルで塞いで密封することで、燃焼時の圧力を動力として伝達します。

 6つ目が「洗浄作用」。金属パーツ同士の摩耗による金属粉や、燃焼によって生じるカーボンなどを取り込み、オイルエレメントまで運んで濾過することで汚れを洗い流します。より洗浄作用の強いフラッシングオイルは、固着した汚れを落とすのにも有効です。

 7つ目が「中和作用」です。エンジン内部の燃焼によって、NOx(=窒素酸化物)などの強い酸性物質が発生し、水蒸気と混じることで酸性の液体となります。エンジンオイルには油膜によって直接酸性物質が触れないようにするとともに、オイル内に取り込むことで中和する作用も持ち合わせています。

※ ※ ※

 エンジンオイルが持つ役割と作用を確認したわけですが、もしエンジンオイルを長期間に渡って交換しなかった場合、少なくともエンジンにとっては好ましくない状態になることは想像できます。

 具体的にどういった点で問題が出てくるものなのでしょうか。北陸地域で整備士として働くAさんに話を伺いました。

――エンジンオイルを交換しないとどうなりますか

 最終的には内部で焼き付きを起こしてエンジンブロー(エンジン内が壊れた状態)となります。ただその途中でさまざまな現象が起こります。

 まずエンジンオイルは燃焼時の圧力などによって、結合している分子が切り離されていき、これによりオイルとしての粘性が失われていきます。すると潤滑、緩衝、密封の作用が低下し、燃費の悪化や騒音の増加などに繋がります。

 これは内部での摩擦が増えていることを意味しているので、この状況が長く続くと摩擦熱によって金属パーツが焼き付いてしまうのです。

■走行距離が少なければ交換しなくていい? プロの回答は

――走行距離が少なければエンジンオイルは交換しなくても良いのでは

 いえ、エンジンオイルは密閉状態で保管しない限り劣化してしまいます。

 エンジンというのは結構隙間がある物で、オイルパン内のエンジンオイルは普段から空気に触れています。その空気の中には水分も含まれており、内部で結露した水滴をエンジンオイルが吸収してしまうのです。これは最低限度の潤滑性を保つためにおきる乳化現象で、特に長期間に渡って交換されていないエンジンオイルにみられるものです。

――エンジンオイル交換の目安はどの様にして決まっているのですか

 エンジンオイルの交換頻度は整備工場の売り上げにも関係していますが、だからといって極端に短く設定しているわけではありません。

 自動車にはシビアコンディションによって劣化スピードが早まるという考え方があり、日本の湿度の高い気候や短距離走行の多さなどがこれに該当します。特に冬場に短距離走行をするとオイルパン付近で結露が発生しやすく、また燃焼時に発生する水蒸気も加わることで水滴が増えます。

 こういった日本国内での使用状況や整備施設の多さも考えれば、やや短いスパンで交換したほうが良いと思われます。もちろん各自動車メーカーが推奨する交換サイクルでも問題ありませんし、サーキットで全開走行した場合は1日で交換という特殊な条件もありますので、最後は使用者の判断で交換サイクルは決まります。

クルマのオイル交換、悩んだら専門業者に任せようクルマのオイル交換、悩んだら専門業者に任せよう

――オイルエレメントの交換サイクルはエンジンオイルの交換頻度で左右されますか

 いいえ。オイルエレメントはフィルターの目詰まりの具合を予想して交換するので、単純にエンジンオイルの交換頻度に合わせられるものではありません。

 実はオイルエレメントのフィルターはオイル内を浮遊する不純物に対して目が粗く、最初は大きな粒子のみを吸着します。やがてフィルターが不純物を吸着して目詰まりを起こすことで目が細かくなり、より小さな微粒子を吸着できるようになるわけです。

 そのためエンジンオイル交換2回=オイルエレメント交換1回交換、というのはおおよその目安です。

 厳密には走行距離や使用状況によって汚れの量は変わりますので。特に慣らし運転をした新車や、フラッシングを行ってエンジン内部に固着したスラッジ汚れを大量に落とした場合は、その汚れはオイルエレメントで回収されますので、エンジンオイル交換1回目で同時にエレメント交換となります。

※ ※ ※

 クルマにおいてエンジンオイルはただの潤滑油ではなく、走行性能をも左右する重要なものです。

 摩擦の低減というのは言葉にするのは簡単ですが、シリンダー内の高温高圧の燃焼に耐えなければエンジンオイルは役に立ちません。

 エンジンオイルの性能というのは、エンジンの高出力・高効率を両立する為には欠かせないものとなっています。

 より長寿命化への性能向上も図られていますが、走行する限りエンジンオイルの劣化は止められません。よって適切な時期にエンジンオイル交換をする必要があります。

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