「大水害」のあとクルマはどうする? 台風15号の静岡直撃からまもなく2か月 JAFが冠水車への注意を呼びかけ
くるまのニュース / 2022年11月16日 15時30分
2022年9月に静岡県に大きな被害をもたらした台風15号の直撃からまもなく2か月が経過しようするなか、JAFが冠水車への注意を呼びかけています。どのような点に注意を払えばよいのでしょうか。
■台風の影響でクルマが冠水!冠水車の取り扱いには注意
2022年9月に発生した台風15号は、激甚災害に指定されるほど静岡県内に深刻な被害をもたらしました。この台風が起きた際、JAFは冠水に関するドライバーからの救護要請が多くあったといいます。
では、冠水した車両はどのように扱うのが良いのでしょうか。
2022年9月に発生した台風15号は、土砂崩れや道路陥没などによる死亡者や、住宅損壊や浸水被害が発生するほど、深刻な被害をもたらしました。
政府は激甚災害に指定し、復旧にかかる自治体の費用を支援することを決定。
激甚災害とは、大規模な台風や地震など著しい被害を及ぼした地域で被災者や被災地域に助成や財政援助などを必要とする大災害のことです。
激甚災害制度が適用されると、自治体の財政負担を緩和させるために、災害復旧事業に国が国庫補助の特別措置を講じることができるようになります。
また、被害は人や建物だけではなく、クルマにもおよんでいます。この台風15号によりJAFへの救援要請が増加。9月23日から25日までの間に静岡県内でJAFが受け付けたロードサービス件数は3901件にも達しました。
そのうち、冠水に関するロードサービスは2062件と、全体の50%ほどを占めています。このような台風や大雨の被害で冠水してしまったクルマについて、JAFでは取り扱いにおける注意喚起を促しています。
実際にJAFの担当者は、以下のように話します。
「冠水の被害を受けたクルマは、エンジンやヘッドライトなど電気系統の漏電で火災や爆発が発生する可能性があります。
また、水が引いたからといってむやみやたらに触ったり、エンジンを入れたりした場合、破損や感電など、重大な事故を引き起こすおそれがあります。
今回の台風でも被害地域のユーザーから冠水車に対するさまざまな救援要請がありましたが、万が一、自分のクルマが冠水してしまった場合は自分でなんとかしようと試みず、JAFや販売店などに連絡してください」
前述の通り、冠水や浸水をしてしまった場合、水が引いても自分でエンジンをかけずにJAFや自動車保険のロードサービス、整備工場などに連絡するのが適切な方法です。
特に、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)は、高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみにクルマに触れることは避けるのがベストです。
なお、発火するおそれがあるため、バッテリーのマイナス側のターミナルを外し、ターミナルがバッテリーと接触しないようにテープで覆う必要があります。
クルマは、ある程度の冠水や浸水には対応できるようにしてありますが、非常に水に弱く、ボルト穴が空いていたり、外との仕切りは内張りの材料のみであったりすることもあります。
マフラーからエンジン内部に水が入ると、シリンダー内がウォーターハンマーと呼ばれる現象によりエンジンが破損してしまうため、適切な対応が必要です。
■走行中に冠水の被害に遭ったらどうするべき?
一方で、走行中にクルマが冠水してしまった場合は、どのような対処法を取るのが適切なのでしょうか。
脱出用ハンマーは手の届く位置に備えておくと安心
今回の台風15号のように深刻な水害により、地面から水面までの深さがある場合、速度を上げれば走り切れるというわけではありません。
クルマにとって水はかなり強い抵抗力があり、速度を上げたクルマが冠水した道路に飛び込むと、その衝撃でフロント部に装着されるバンパーやフロントグリル、ラジエーターなどが破損することがあります。
また、万が一水の抵抗を受けて冠水している道路で立ち往生することになってしまったら、エンジンルームが重いクルマは前に傾斜していきます。
さらに水圧による力はとても強いため、クルマが水没するころにはドアが開かなくなってしまうのです。もしクルマが水没してしまったら、窓が水面より高い位置にある場合であれば窓を開けて脱出します。
しかし、水位が上がっていたり窓が開かなかったりした場合は、ハンマーやポンチなどでサイドガラスを割って脱出する必要があります。
ちなみに、フロントガラスは中間膜が挟みこまれた構造になっているため、ヒビが入るだけで割るのが難しくなっています。そのため、粒状に細かく砕ける形で割れるサイドガラスを割るのが脱出するのに適しているのです。
このようなことも考えると、万が一に備えてクルマの中にハンマーやポンチを常備しておくことが大切といえます。
また、普段から台風の被害を想定しておくことも重要です。国土交通省が道路冠水注意箇所マップを公表しており、あらかじめ冠水や浸水のおそれがある箇所を提示しています。
日頃から、職場から自宅への道路はどうか、自宅から避難場所への道路はどうか、などチェックしておくことが望ましいです。
※ ※ ※
このように、静岡県に深刻な被害をもたらした台風15号による冠水件数が多く発生しました。冠水あるいは浸水したクルマはむやみに触らず、JAFや自動車保険のロードサービス、整備工場などに連絡するのが適切な方法です。
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