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マツダが「名前を変えた」!? モータースポーツ活動が新たに名乗る「マツダスピリットレーシング」の狙いとは

くるまのニュース / 2022年11月12日 16時10分

マツダのモータースポーツ部門は、近年「MAZDA SPIRIT RACING(マツダスピリットレーシング)」の名称で活動をおこなっています。かつてのブランド「MAZDASPEED(マツダスピード)」を名乗らない理由とは。

■マツダのモータースポーツといえばかつては「マツダスピード」だった

 マツダのモータースポーツ部門といえば、クルマ好きの間では「MAZDASPEED(マツダスピード)」の名が知られていますが、近年は「MAZDA SPIRIT RACING(マツダスピリットレーシング)」として、新たな活動をおこなっています。
 
 マツダスピリットレーシングの位置づけや狙いについて探ります。

 マツダのモータースポーツといえば、1992年にルマン24時間レース総合優勝を飾るなど数々の輝かしい実績を誇る「マツダスピード」を思い浮かべる人が少なくないのではないでしょうか。

 マツダ系列のモータースポーツ会社、そしてモータースポーツ部門の名称ですが、2006年、5ドアハッチバック「アクセラスポーツ」に設定された2.3リッターターボ搭載のホットハッチ「マツダスピードアクセラ」にも冠され、クルマ好きの間では大きな話題になったものです。

 しかし、現在マツダが参戦しているスーパー耐久シリーズでは、歴史あるマツダスピードではなく、マツダスピリットレーシングという名称を使っています。そこには、マツダとして新たな狙いがあるといいます。

 その実態を知るため、岡山国際サーキットで2022年11月5日から6日に開催された、「MAZDA FAN FESTA 2022 IN OKAYAMA(マツダファンフェスタ2022 イン岡山)」を訪れ、マツダ役員や各部門のマツダ社員、またマツダOBの方々から直接話を聞いてみました。

 まずは、マツダスピリットレーシング誕生の背景から振り返ってみましょう。

 発案者は、マツダのデザイン本部を率いて「魂動(こどう)デザイン」を強力に推進し、現在はシニアフェロー(ブランドデザイン)を務める前田育男氏です。

 前田氏は若い頃からプライベーターとしてラリーやレースに参戦してきたという経験のなかで、マツダがマツダユーザーとより近い関係になれるような、モータースポーツを使った新しいブランドのあり方を考えてきたといいます。

 そうしたなかで、プライベーターとセミプロやプロフェッショナルドライバーが混走するスーパー耐久シリーズへ、マツダ本社チームとしての参戦を計画したのです。

 狙いは、マツダが独自開催する「ロードスターNR-A」のワンメイクレース「パーティレース」からステップアップするための受け皿になること。

 そして、そうしたマツダを愛するユーザーと、マツダ本社の各部門関係者が有志として集まる活動を連携することで、マツダらしい新しいブランド価値を創っていこうというものでした。

■カーボンニュートラル対応のひとつとして「モータースポーツ」を活用

 ところが、予期せぬ出来事が起きました。

 それが、欧州を中心にグローバルで急激に進んだ、クルマに対するカーボンニュートラルへの対応です。

次世代バイオディーゼル燃料を使用し2022年スーパー耐久レースに参戦した「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」次世代バイオディーゼル燃料を使用し2022年スーパー耐久レースに参戦した「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」

 欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会が2021年7月、欧州グリーンディール政策の中で「2035年、乗用・小型商用の新車100%を事実上EV(または燃料電池車)化」を提案。

 これを受けて、ドイツのメルセデス・ベンツが「市場環境が整えば、グローバルで2029年までに新規発表の新車100%EV化」を公表するなど、自動車産業界に急速なEVシフトという激震が走りました。

 こうした社会情勢に対して、日本の自動車メーカーや二輪車メーカーで構成される業界団体・日本自動車工業会では「カーボンニュートラルに向けた考え方は、EVシフトのみならず、ハイブリッド車、水素燃料車、次世代ディーゼル燃料車など様々な方法を、国や地域の社会状況に応じて対応していくべき」という見解を示したのです。

 この考え方をもとに、新しい環境技術の研究開発を一般公開するような形で、トヨタ、マツダ、スバル、日産がスーパー耐久シリーズのST-Qクラスで各メーカーの本社のワークスチームという体制で参戦しているところです。

 マツダとしては、こうしたカーボンニュートラル対応の事業戦略のひとつとしても、マツダスピリットレーシング活動をフル活用して、マツダ独自の次世代バイオディーゼル燃料の技術を高めると同時に、より多くの人に次世代バイオディーゼル燃料の有効性を理解してもらおうとしているのです。

 このように、マツダスピリットレーシングはモータースポーツ活動としてマツダ本社が主導する事業活動であるため、マツダ本社がマツダの関連企業など連携することで進めていたマツダスピードという事業形態とは、根本的な違いがあります。

 そのため、いまおこなっている一連のモータースポーツ活動をマツダスピリットレーシングとして統一しているのです。

■マツダスピリットレーシングは「モータースポーツ」に特化したものではない

 ただし、マツダスピリットレーシングは、モータースポーツに特化したものではない、という共通認識をマツダ本社役員、マツダ社員、そしてマツダOBの皆さんが持っていることを今回の取材で強く感じました。

 モータースポーツは、あくまでもマツダをもっと好きになってもらうためのキッカケというイメージです。

往年の名車「コスモスポーツ」も勢ぞろい! こうした歴史に触れることもマツダの「スピリット」をより深く理解するきっかけのひとつになる[撮影:桃田健史]往年の名車「コスモスポーツ」も勢ぞろい! こうした歴史に触れることもマツダの「スピリット」をより深く理解するきっかけのひとつになる[撮影:桃田健史]

 マツダには現在、2シーター小型オープンスポーツカーの「ロードスター」から、新登場の上級SUV「CX-60」まで、スポーツ性重視からファミリー志向、高級志向まで、幅広いモデルラインアップを取り揃えています。

 そのなかで、例えばロードスターに今後、マツダスピリットレーシング特別仕様車が登場する可能性も十分に考えられますが、だからといって「CX-5」にはそうした仕立てをするというイメージでもないようです。

 マツダが一丸となって、新しい時代に向けたチャレンジをしている精神(スピリット)をマツダを愛するユーザー、またはこれからマツダ車を選ぼうかという人たちに向けて発信するのが、マツダスピリットレーシングというブランドなのです。

 だからこそ、コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となった「マツダファンフェスタ イン岡山」では、「マツダスピリットレーシング 共に始めよう」をテーマに掲げました。

 また運転免許を持たない若い世代を含めて、マツダと触れ合う「倶楽部 マツダスピリットレーシング」の活動も本格化させています。eスポーツ体験、ラジコンカー体験、小型自転車体験など、家族で参加できるイベントが盛りだくさんでした。

 そして、マツダスピリットレーシングとしてのアパレルなど、マーチャンダイジング展開もこのイベントで事業化が正式スタートしたのです。

 今回、ロードスターを使ったマツダ耐久(マツ耐)にマツダ役員チームの一員として参戦した、取締役 専務執行役員 グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス・新事業(MaaS)統括の青山裕大(あおやまやすひろ)氏は、マツダスピリットレーシングの現状とこれからについて次のように話しました。

「マツダスピリットレーシングは、様々な活動を一歩ずつ進めているところです。

 一番大きい特長はやはり、マツダ本社が主体で進めている点でしょう。クルマの開発関係者も熱意を込めて挑戦してくれています。

 マツダスピリットレーシングとしての大きな1年目だったと思います。

 マツダとしてのブランド価値を、お客様と社員が一緒になって盛り上げていくマツダスピリットレーシングは、まだ道半ばですが、マツダにとって大きなモーメンタムになっていることは確かだと思います」

 今後も、マツダスピリットレーシングの新たなる展開に大いに期待したいところです。

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