クルマの「装備次第で納期短縮」は本当か 新車「オプション」選択は何を選ぶのが効果的? あえて待つ人の心理は?
くるまのニュース / 2022年11月16日 7時10分
最近では、新車の納車が長引いている傾向が続いています。人気車であれば約1年待ちが当たり前になっているほか、車種によっては3年から4年というものも存在します。そのなかで少しでも納期短縮をするのに「オプションの選択」が影響するといいますが、なにを選べば納期が短縮されるのでしょうか。
■ナビ非装着で納期が短縮するケースも
新車の長納期化が著しい昨今では、納期が6か月以上という例もめずらしくありません。
巷では「オプション次第で納期が早くなる」という話も出てきていますが、実際にオプション選定によって納期は変わるのでしょうか。
最近では、長納期化が著しいうえに車種によってはすでに直近の生産枠を超える受注を獲得しているために、新規の受注をストップしているケースもあります。
一方、ユーザーによってはそれほどの長い期間を待つことができない場合もあります。
納期を優先する場合、比較的納期の早い車種やグレードを選ぶ、もしくは中古車を選ぶといった選択肢が考えられますが、少なからず妥協することになります。
新車の長納期化の大きな要因となっているのは、半導体をはじめとする部品不足です。
そこで考えられるのが、半導体を多く利用するオプションを妥協することで納期を早めるという手段です。
実際に、輸入車ブランドのなかには、電動パワーシートなどの一部のオプションの設定を見直すことで納期の改善を図っているケースが見られます。
では、実際にオプション選定で納期は変わるのでしょうか。日産の販売店担当者は次のように話します。
「日産では、例えば『エクストレイル』が翌年度分の生産枠もほぼ使い果たしてしまったために、11月11日現在では新規の受注をストップしています。
年明けにも再開する見込みですが、それでも納車までに1年ほどのお時間をいただく見込みです。
エクストレイルに限った話ではありませんが、特定のメーカーオプションを非装着とすることで、納期を早められるケースはあるかとは思います。
ただ、ディーラーオプションについては、納期とはあまり関係がありません」
新車のオプションには、大きくわけて、工場生産時に装着するメーカーオプションと、販売店で装着するディーラーオプションの2つがあります、
メーカーオプションの代表例には、安全運転支援システムやヘッドライトシステム、サンルーフなどがあり工場出荷以降は基本的に装着することができません。
一方のディーラーオプションは、ETCやドライブレコーダー、純正カスタマイズパーツなどがあり、納車以降に装着することも可能です。
具体的に納期に影響するオプションについて、前出の販売店担当者は次のように続けます。
「納期を左右する可能性があるメーカーオプションの代表例は、ナビゲーションシステムです。
エクストレイルの場合では、中間グレードの『X』に12.3インチのワイドディスプレイを備えた『NissanConnectナビゲーションシステム』をメーカーオプションで装着することが可能ですが、これを選択しなければ、数週間ほど早くお届けできるかもしれません」
※ ※ ※
またトヨタの販売店担当者は「メーカーオプションの有無によって納期が早まる可能性はあります」と話すほか、ホンダの販売店でも「メーカーオプションのナビやオーディオの有無で変わることもある」と説明されることから、どのメーカーでも多少の納期短縮に繋がるようです。
かつてはディーラーオプションの代表格だったナビですが、現在ではさまざまな機能を備えたクルマの頭脳としての役割を持っていることから、高機能のものは工場出荷時に装着されることが多くなっています。
ただ、高機能のナビは半導体の集合体であるため、部品不足の昨今では納期に影響を及ぼしやすいオプションのひとつとなっているようです。
■わずかな納期短縮化よりも高機能ナビが魅力的?
一方、前出の日産の販売店担当者は「納期の短縮を目的としてナビを妥協することはおすすめしない」としたうえで、次のように続けます。
「現在のナビゲーションシステムは単なる道案内のためのものではなく、車内で音楽やテレビなどのエンターテイメントを楽しむためのツールとなっています。
さらに、通信機能を活かしたSOS機能なども搭載されているなど非常に高機能なものとなっています。
こうした高機能のナビゲーションシステムに魅力を感じてくださるお客さまも多く、納期のわずかな短縮を目的としてメーカーオプションのナビゲーションシステムを妥協する人はほとんどいらっしゃいません。
最近では新車の納期が長いということをご理解いただけているお客さまが多いため『どうせ待つなら納得のいく仕様を』という人が増えているのかもしれません」
メーカーオプションのなかでも納車に影響があるとされるナビゲーションシステム(画像は日産「エクストレイル」)
昨今のナビは高機能である反面、非常に高価であることも事実です。
実際、エクストレイルのメーカーオプションとなっている「NissanConnectナビゲーションシステム」は36万3000円から41万5000円と車両価格のおよそ1割を占めるほどです。
このように、高機能のナビは決して安価なものではないため、多くの場合、ユーザーのニーズに合わせて取捨選択の余地が残されているのが一般的です。
たしかに、高機能のナビを装着しないことで納期が短縮されるケースもあるようですが、それを目的として装着するかどうかを検討するユーザーは少ないようです。
※ ※ ※
現状、メーカーオプションが納期に与える影響はそれほど大きくなく、さらなる納期の短縮を求めるなら、車種やグレード自体を検討し直すことのほうが効果的といえそうです。
長らく問題となっていた新車の長納期化ですが、最近ではゆるやかに改善の兆しが見られています。
それでも、人気車種では依然として6か月以上の納期はめずらしくありません。
新車選びをするユーザーにとっては「車種や装備を妥協して納期を優先する」か「希望の車種や装備を選択して気長に待つ」のどちらかを選ぶ必要がまだまだありそうです。
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