洗車で「メラミンスポンジ」なぜ使っちゃダメ? 100円グッズを活用するクルマ掃除術とは
くるまのニュース / 2022年11月19日 10時10分
洗車をするとき、意外にも100円ショップのグッズが役に立ちます。どのようなグッズを使えばお財布にもクルマにも優しい洗車ができるのでしょうか。
■パワフルに汚れを落とすメラミンスポンジで洗車はNG
多くの商品が値上げラッシュとなるなか、100円ショップは庶民の強い味方。今やどの街にもあり、家庭用の備品などを安価で購入できるとあって利用される機会も多いと思います。
そんな100円ショップのグッズは洗車に使うことはできるのでしょうか。塗装や板金も手掛けるメンテナンスのプロ、整備士のT氏に聞いてみました。
まず、洗車グッズに求められるものを考えてみると、「誰でもかんたんに扱える」「洗車が楽にできる」「クルマに傷をつけにくい」といったことがポイントとなりそうです。
そういった洗車グッズはカー用品店で大量に販売されていますが、それではいつも通りの洗車で終わってしまいます。
今回のテーマは「100円ショップで買えるグッズでワンランク上の仕上がりを目指したい」というもの。そんな便利グッズを探してみました。
まず考えたのが、「メラミンスポンジ」です。水だけで汚れを落とすと評判で、便利グッズの代表格ともいえる商品。
これならたいていの汚れが落とせるのではと思ったのですが、T整備士いわく、メラミンスポンジはスポンジの形状であってもスポンジではないそうなのです。いったいどういうことでしょうか。
「形状こそスポンジのようですが、実際は原料となる『メラミン樹脂』を発泡させたもので、きめ細かい網目状の骨格構造となっていますが、実はとんでもなく硬度が高い(硬い)んです。
アレでクルマのボディを磨いたら傷だらけになってしまうほどの研磨力を持っているんです」
メラミンは物質の硬さを表す「モース硬度」では「4」。「0.5~1」が黒鉛、「2」が石膏や岩塩、「2.5」が純金、「3.5」が十円硬貨と同程度となり、「4」が真鍮(しんちゅう)や大理石とされており、メラミンスポンジはほぼ大理石と同じ硬さでゴシゴシできる形状になっているのです。
確かに根深い汚れも落ちるでしょうが、大理石でクルマのボディを擦ったらどうなるかは、考えるまでもありません。
「それほど硬いものでボディの塗装面を磨くとあっという間に塗装が削り取られてしまいます。
メラミンより硬い鉄やニッケル、エナメルなどを磨くのには適していますが、アルミホイールの原料となるアルミですら2.9のモース硬度しかないので、アルミホイールもゴシゴシ傷をつけてしまうということになります。
結果としては洗車にはメラミンスポンジは不向きというか、使わないほうが良いということになります」(T整備士)
しかし、汚れをゴシゴシ消しゴムのように削ぎ落とすメラミンスポンジのパワーを、クルマのほかの部分の洗車に使うことはできないのでしょうか。
「考えられるとしたら、経年劣化で白濁した樹脂パーツですかね。表面を均一に削ってしまえば、きれいな樹脂部分が現れます。
ただし市販の樹脂用艶出し剤などでも艶は復活しますので、無理に使わなくてもいいかもしれませんが。
もうひとつあるとすれば、撥水コーティング前に窓ガラスの表面を磨くときは有効です。ガラスのモース硬度は5程度なのでメラミンで傷つくこともないでしょうし、ある程度の油膜などは削ぎ落とすことができますが、くれぐれも取り扱いには注意してほしいです」(T整備士)
■マイクロファイバークロスは常備しておきたい
100円ショップで入手可能な商品のなかで洗車にも使えそうなものは何があるのでしょうか。
「ハンカチ程度の大きさで販売されているマイクロファイバークロスは、洗車に使えそうです。
といっても洗車後にボディの水を拭き取るというより、車内のインテリアについた軽度の汚れや水分などを除去するのに向いていると思います。
『ピアノブラック』と呼ばれる光沢のある黒のコンソールパネルなどは非常に傷つきやすいので、力を入れずに拭けるマイクロファイバークロスが最適です。
ちょっとしたインテリアのホコリなどもマイクロファイバークロスでさっと拭き取ることができますし、吸水性も高いので車内で飲み物をこぼしてしまった場合などにも使えます。
汚れたら洗うか使い捨てすることもできるので、車内に常備しておくと便利です」(T整備士)
ピアノブラック内装にはマイクロファイバーが最適
ちなみに、ボディの傷を補修するためにコンパウンドなどを使用した場合も、マイクロファイバークロスで残った研磨剤を拭きあげれば、綺麗に仕上げることができるそうです。
もうひとつ使えそうなのが柔らかい毛の歯ブラシです。どう使えばいいのでしょうか。
「歯ブラシはホイールなどの洗浄で、手が入りにくい細かい部分に溜まった汚れを掻き出すのに良いでしょう。
ただ、アルミホイールなどは想像以上に柔らかいので、ゴシゴシと力を入れて擦るのではなく、洗浄剤をたっぷり使いながら優しく掻き出すようにして洗いましょう」(T整備士)
また家庭用洗剤でも使えそうなのがあります。それがオレンジオイル配合の洗剤です。
「オレンジオイルには『リモネン』と呼ばれる油脂との親和性が高い成分が含まれています。油汚れを浮かせて落とす効果があります。
このオレンジオイル配合の洗剤を薄めて使えば、クルマのボディにこびりついたピッチやタールなどもかんたんに落とせます」(T整備士)
ところで、100円ショップにはさまざまな工具も販売されていますが、あれはクルマのメンテナンスにも使えるのでしょうか。
「応急処置用としては利用できますが、やはり安価なだけあって作りが雑で耐久性がないと思われます。やはり工具類はそれなりの精度と強度を持ったものを使うことをおすすめします」(T整備士)
※ ※ ※
そのほか、100円ショップで販売されている旅行用のネット袋などは、カーケアグッズなどをまとめておくのに重宝しますし、緊急用の汚物入れ(簡易トイレなど)は常備しておくと便利そうです。
また、災害用の小さなLED懐中電灯もエンジンルームのメンテナンスやヒューズの交換などで役立つと思います。
カーケアグッズを探しに100円ショップに行ってみてはいかがでしょう。
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