日産 新型ミニバン「セレナ」全面刷新! 新「e-POWER」だけじゃない「やっぱりいいね!」なポイントとは【試乗】
くるまのニュース / 2022年11月28日 14時10分
日産は主力ミニバン「セレナ」をフルモデルチェンジし、2023年春(ガソリン車は今冬)より発売します。そんな新型セレナのテストコース試乗がさっそく実現しました。
■歴代モデルで受け継がれた外観の印象を刷新した新型「セレナ」
日産は2022年11月28日、主力3列シートミニバンの「セレナ」を6年ぶりにフルモデルチェンジしました。本モデルで6代目となります。
2023年春の発売に先駆け、第2世代e-POWERとプロパイロット2.0を搭載した新型セレナを、テストコースで速攻試乗した印象をお届けします。
今や2リッター級5ナンバーサイズのミニバンは、日本だけで売れるクルマになってしまいました。
グローバルでの生産効率を考えれば統廃合したいところですが、国内市場でけっこうな台数になるため、あっさり止めるワケにもいきません。
かといって、新しいプラットフォームを開発して投入出来る余裕を持っているのはトヨタだけです。
そんなことから日産とホンダは、先代と同じプラットフォーム(車台)を改良しながら使い続けています。
なかでも日産のセレナは、2005年にデビューした3代目モデルから長らく、基本のプラットフォームは共通です。
遠くから歴代セレナのボディシルエットを見ても、全く同じだということに気付くことでしょう。
日産もそう考えたのでしょう。新型(6代目)を開発するにあたり、先代のイメージを改めたかったようで、ボンネットやAピラー回りの雰囲気を変えてきました。
筆者(国沢光宏)の印象では、遠くから見ると「ビアンテ」(絶版になったマツダのミニバン)のようです。
この件、デザインと関係の無い開発部門の人に伝えたら「そうですよね~」と苦笑されましたが、ボディカラーによっては、横から見ると本当にビアンテそっくりに映ります。
ということで新型セレナのデザインについていえば「可も無く不可も無く」といったところ。ファミリーユースのミニバンとして考えたら、無難な仕上がりだと思います。
新型ステップワゴンのようにデザインの方向性を大きく変えた結果、売れゆきに伸び悩むより良い選択だと考えます。
インテリアは、窓が大きく広そうに映る割に、シートに座ってみるとなぜかゆとりを感じさせません。
シートそのものの横幅や座面長が小さく、座ると落ち着きかない感じに。体格の良い人はシートに座ると「あらら、ちっちゃいですね!」となりそうです。
といっても、小柄な人なら気にならないレベルだと思います。
このあたりは2005年の3代目セレナから引き継いでいる性格のようで、おそらく2002年くらいに開発されたであろう基本設計が受け継がれているのだと思われます。
新世代の基準で作られたトヨタ 新型「ノア」「ヴォクシー」などより、小柄なユーザー層を想定しているのかもしれません。
このあたりは乗る人の体格によって印象も違うでしょう。ディーラーでクルマをチェックするときに評価して頂きたいところです。
もちろん決定的に狭いということなどありません。むしろ日産のリリースによれば「ミニバンクラスNo1の室内の広さ」と記されています。
リリースにウソを書くはずはないので、室内寸法はノアやステップワゴンを凌ぐのでしょう。
なお新型セレナでは、従来型で高い評価を得ている上下2分割の「デュアルバックドア」も引き続き採用しています。
■試乗して驚く「静かさ」と「滑らかなフィーリング」
動かないクルマの評価はこのあたりにしておき、試乗といきましょう。
テストコースで試乗したのは、新型セレナでも売れ筋と目されるe-POWER(イーパワー)モデルです。
第2世代e-POWERのパワー感や静粛性に加え、ステアリングフィールの仕上がりにも驚かされた![写真は日産 新型「セレナ e-POWER LUXION(ルキシオン)」]
新型セレナに搭載される「第2世代e-POWER」と呼ばれるユニットは、モーターの動力源となるエンジンが先代と同じ3気筒ながら、84馬力の1200ccから98馬力の1400ccへ排気量をアップしたものに刷新されています。
システム最大出力も20%上がって163馬力になりました。
2リッター級ミニバンとして考えれば、従来モデルに対し、ようやく必要にして十分なパワーになりました。
加えて遮音性能を上げたり、エンジン回転数を下げたりして、騒音対策を強化しています。
ボタンでプッシュするタイプのDレンジをセレクトして走り出すと、先代モデルよりハッキリと静かになったことが確認できます。
このあたりは、同様に第2世代e-POWERユニットを搭載する「ノートオーラ」や、新型「エクストレイル」と同じコンセプトです。
モーターの存在感も大きくなっており、ドライバビリティは良好です。
車内での会話も声量を落とせるほどで、ライバルの新型ノア/ヴォクシーや新型ステップワゴンのハイブリッドに負けていません。
パワーユニット以上に驚いたのが、ステアリングフィールの仕上がりです。
新型エクストレイルなどに採用し大好評となっているラックモーター式の電動パワステを採用してきたのです。
ステアリング軸にアシストモーターを組み込む従来型とは全く違います。走り出してすぐ「やっぱりいいね!」と解るくらい良いステアリングフィールでした。
最初に「従来型と同じプラットフォーム」と書きましたが、違うクルマになったみたいに感じるほどです。
コーナーや交差点でハンドル切った時はもちろん、真っ直ぐ走っている時の安定感まで違うのですから驚きます。
プラットフォームを刷新しなかった分、しっかりシャシ性能の向上にお金を掛けてきたということでしょう。
■最先端のADAS「プロパイロット2.0」の動作も滑らか!
また新型セレナでは、従来のADAS(先進運転支援システム)「プロパイロット」をバージョンアップさせ、ハンズフリー走行も可能な「プロパイロット2.0」が標準装備される最上級グレード「e-POWER LUXION(ルキシオン)」を出しています。
こちらもまたラックモーター式の電動パワステが功を奏していて、従来モデルよりも遥かに滑らかなライントレースが出来るようになりました。
日産 新型「セレナ」の仕上がりには辛口評論家 国沢光宏氏も「太鼓判」!
プロパイロット2.0には、居眠りや疾病などを監視するためのドライバーカメラが組み合わされているため、万が一のドライバーの非常事態にも、自動的に車線内をキープしたまま自動停止するという安全システムも組み合わされています。
新型セレナ e-POWER最上級グレードの消費税込み価格、479万8200円は、このカテゴリーでもっとも高い車両価格になりますが、休日ドライブの帰りに出くわす渋滞で、その威力を存分に発揮することでしょう。
※ ※ ※
新型セレナでは、e-POWERのほかにも、150馬力の2リッターエンジン車もラインアップしています。
e-POWERとの価格差は、売れ筋の「ハイウェイスターV」で比較すると41万6900円となります。
乗り比べてみると、e-POWERより圧倒的に賑やかに感じられます。
実用燃費はe-POWERの60%くらいだというし、数年後に乗り換え得る時のリセールバリューで30万円以上安くなることは間違いありません。
燃費の差で浮くランニングコストなどを考えたら、新型セレナのガソリンエンジン車はあまり推奨出来ません。
新型セレナを買うなら、e-POWERをオススメしておきます。
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