全長5m級!? 謎の「トライトン」推しが半端ない!? なぜ三菱はアジアに力を入れる? 日本再編も精力的に動く理由とは
くるまのニュース / 2022年12月9日 7時10分
三菱はASEAN地域で精力的に活動をしています。最近ではラリーアート復活の一環としてモータースポーツ活動を再開。「アジアクロスカントリー」では総合優勝を果たしました。一方で日本市場では再編の動きもありますが、なぜ三菱はASEANに力を入れるのでしょうか。
■なぜ三菱はASEANに力を入れるのか?
最近では、「アウトランダーPHEV」が好調の三菱ですが、海外を見ればASEAN市場を重視していることがわかります。
なぜ三菱はASEAN市場で精力的な活動をおこなっているのでしょうか。
2022年12月1日からタイの首都バンコクで「タイモーターエクスポ2022」というモーターショーが開催されています。
タイは日本車のシェアが高い国なので当然ながら日本の自動車メーカーも多く出展。三菱もそのひとつです。
興味深いのは三菱ブースの展示車両。もっとも目立つステージの上には2台の車両が展示されていますが、どちらもピックアップトラックなのだから驚きます。
しかも2台とも市販モデルではなく競技車両で、1台はサーキットでのレース仕様、もう1台はラリーレイド仕様。
後者は、2022年11月におこなわれた「アジアクロスカントリー」に「チーム三菱ラリーアート」として参加し、総合優勝した車両そのものです。
このピックアップトラックの名前は「トライトン」。
現在は日本での販売がありませんが、三菱がタイで現地生産し、オセアニアや中東、ヨーロッパなどへも輸出しているモデルです。
現地での人気も高く、そのSUV版である「パジェロスポーツ」も含め三菱の屋台骨を支える稼ぎ頭の1台といっていいでしょう。
ところで、タイをはじめアセアン地域での三菱自動車の状況をみて気が付くことがあります。
それは積極的な投資をおこなうなどきわめて力が入っていることです。
近年、日本では三菱にとって重要な生産拠点のひとつであった「パジェロ製造」を畳み、販売現場でも販売店の統廃合などがおこなわれています。
いっぽうASEAN(アセアン=東南アジア諸国連合でタイやインドネシアなど10カ国が加入)に目を向けると対照的。
たとえばタイやインドネシアでは積極的にディーラーを展開して一層の販売増を見込んでいます。
さらに、ベトナムで現地生産車種の拡大や新工場の準備がはじまるなど攻めの姿勢となっているのが印象的です。
また2023年以降は「エクスパンダーハイブリッド」「次期エクスパンダー」そして「次期パジェロスポーツ」などASEANに向けた車両が積極的に投入されていく予定となっています。
果たして、日本とASEANの戦略の違いはどこからきているのでしょうか。
「中期経営計画で公表されているとおり、今後はアセアンに経営資源を集中していくからです」と三菱の関係者はいいます。
確かに、2020年7月に発表された三菱の中期経営計画を見ると「日本:生産・販売体制再編」と記載される一方で、「ASEANを基軸とした事業体制に移行」、「ASEANを軸とした開発分野の選択と集中により、強みとする技術にさらなる磨き」と明記されています。
その背景にあるのは「三菱にとってどこが稼げる市場か?」ということ。
たとえば2019年の三菱のマーケットシェアを見ると、ASANの4カ国(タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)が10.6%で堅調なのに対して日本は下がり続けわずか2.1%しかありません。
また2019年から過去10年間を振り返った営業利益をみても多くの年は三菱にとってASEAN地域がダントツの稼ぎ頭だということがわかります。
もうひとつの背景としてアライアンスとの関係もあるでしょう。
現在、三菱は日産の子会社であり、ルノーや日産とアライアンスを形成しています。
そのアライアンスなかで、欧州に強いルノーや北米を稼ぐ市場とする日産との棲み分けという意味で、三菱は東南アジア地域を担当していくのは当然の流れといえます。
稼げる市場であり、アライアンスの役割分担でもある。三菱のASEANへの資源集中にはそんな背景があるのです。
三菱といえば2021年から2022年にかけては往年のモータースポーツブランド「RALLIART(ラリーアート)」の復活が話題になっています。
冒頭のアジアクロスカントリーラリーは復活したラリーアートにとって競技参戦の初戦となりましたが、その舞台が日本ではなくASEANだったのも必然ということでしょう。
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