“雪道4WD車最強説”本当? 2WD車ではダメ? FFとFRなら雪道が得意なのはどっちなのか
くるまのニュース / 2023年1月7日 11時10分
いよいよ本格的に冬が到来し、降雪地帯では雪道になる季節になりました。雪道の走行において「4WD車なら問題ない」といい切れるのでしょうか。また、2WD車では雪道に対し歯が立たないのでしょうか。
■4WDなら全部無敵!…と言うわけでもない?
いよいよ本格的に冬が到来し、降雪地帯では道路に積雪や凍結が発生する季節になりました。雪道と聞くと、安全に走行できるか心配になる人もいるでしょう。雪道は乾燥路とは違う条件になるため、初心者だけでなく、熟練ドライバーも注意をしなくてはなりません。
安全に雪道を走る対策としては、まず冬用タイヤを準備する必要がありますが、その前に愛車の駆動方式を気にする人もいるでしょう。果たして駆動方式は、雪道運転にどんな違いを生むのでしょうか。
雪道で強力なのはやはり四輪駆動車、いわゆる4WD(AWDや4×4ともいう)です。四輪に駆動力を伝える4WDは、前輪の「引く力」と後輪の「押す力」の両方を発揮するため、雪道で発生しやすくなるスリップを最低限に抑えてくれます。
では、2WDの場合はどうなのでしょうか。まず、昨今のクルマのスタンダードとなる駆動方式「FF(フロントエンジン・フロントドライブ)」は、比較的雪に強いと言われています。エンジンの重さが駆動輪に荷重されるFFは、発進時にタイヤのトラクションがかかり、空転せずにスタートすることができます。
また操舵輪と駆動輪が同じであるため、コーナーも安定して曲がることができ、登坂能力もなかなかに優れているところを見せてくれます。そこそこの深雪も、FFであれば前進することができます。
一方で、下り坂ではフロントタイヤに荷重が一気にかかってしまうため、タイヤ性能のキャパシティを超えてしまうとコントロール不能に陥る可能性があります。さらにコーナーの途中でアクセルペダルを一気に戻してしまうと、リアのタイヤ荷重が抜けてしまう“タックイン”という現象が発生し、リカバリー能力のない人には手に負えない状況になることがあります。
雪道でFFを安全に運転するコツは、まずアクセルの開閉を少なくし、ステアリングを切る時はゆっくりと早めに。スピードコントロールの時も、慌ててアクセルペダルから脚を離さないということがポイントになります。
FR(フロントエンジン・リアドライブ)は、もっとも雪道に弱い駆動方式と言われています。操舵輪と駆動輪が別々なため、駆動輪が後ろから押してしまって、操舵輪のトラクションやグリップを低下させてしまうからです。いゆわる「プッシュアンダー」という現象で、下り坂では特に注意が必要です。
登りでは後輪に過度な荷重移動がおこなわれることが多いため、あまりに酷い凍結路の場合はタイヤが空転して登れない、もしくは車体が左右に振られるという事象が発生します。さらに深雪では、後ろから押す力が働くため、車体のノーズが埋まり気味になって、スタックしてしまったりするのです。
雪道ではいいところがない気がするFRですが、コントロール性で見れば、むしろ4WDよりも上。テールスライドや四輪ドリフト状態になっても、ある程度慣れたドライバーであれば、アクセルとブレーキでリカバリーすることが可能です。
FRはアクセルを戻すことでタイヤのトラクションが復活し、テールスライドをコントロールすれば、クルマの向きを早めに変えることもできます。むしろ、こうした状態を楽しんでいるFR車オーナーもいるかも知れませんが、公道ではリスクが非常に高いので、無理をするのは絶対にやめましょう。
さて、雪道最強と思われている4WDですが、決してそういうわけではありません。例えば、スタンバイ4WDと呼ばれるタイプのフルタイム4WDは、通常はFFで走り、駆動輪がスリップするとようやく後輪に駆動トルクを伝えます。つまり、普通に走っている状態ではFFと変わらないのです。
最近のフルタイム4WDは、各センサーからの情報を基に早めに各輪の駆動トルクを制御して、セーフティファーストにする傾向にありますが、決してスリップしないというわけではありません。
また悪路全般に強いパートタイム4WDは、深雪を力強く進むがゆえに、性能キャパシティを超える深雪にハマる恐れが高くなります。気がついたら、車体下に雪がごっそりと詰まり、亀の子になって脱出できないということもあり得ます。
どんな駆動方式でも、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンのトラクション・グリップ性能、そして車体構造を超えてしまうと、危険域に入ってしまいます。反対に、どんな駆動方式であろうとも、その運動原理を理解しながら、細やかに運転してやれば、楽しく安全にドライブすることができます。
気象庁の発表によれば、2023シーズンの冬は例年よりも寒く、降雪量も多いかもしれないとのこと。降雪地帯に出かける前に、駆動方式の違いによる車両の動きやスタッドレスタイヤの働きを復習してみてはいかがでしょうか。
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