後を絶たない「飲酒運転」なぜなくならない? 飲酒運転常習犯が語る「主張」とは
くるまのニュース / 2022年12月28日 11時10分
年末年始のシーズンではお酒を飲む機会が増えるという人も多いでしょう。これに伴い発生しやすいのが「飲酒運転」です。飲酒運転は毎年絶えず続いており社会問題化してきているといえますが、なぜなくならないのでしょうか。
■「飲酒運転」はなぜなくならない?
年末年始になると忘年会や新年会をおこなうという人もいるでしょう。
コロナ禍の影響から飲み会は自粛モードな傾向があったものの、徐々に予定通り実施するという人もいるかもしれません。
これに伴い、発生しやすいのが「飲酒運転」です。飲酒運転について、たびたびニュースでも報じられるなど、社会問題化しつつありますが、なぜ飲酒運転はなくならないのでしょうか。
飲酒運転は道路交通法第65条第1項にて「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定されており、お酒を飲んだ後にクルマを運転することは絶対にしてはいけません。
飲酒運転は、アルコール検知器で基準値を超えた場合の「酒気帯び運転」と、アルコール濃度に関わらず正常な運転ができないと判断された場合の「酒酔い運転」の2種類に分けられます。
それぞれ厳しい罰則が設けられており、酒気帯び運転では「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、酒酔い運転ではさらに厳しく「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科されます。さらにそれぞれ違反点数も加算されます。
このように、飲酒運転で取り締まりを受けた場合は厳しい罰則が設けられており、各都道府県警察や自治体でも飲酒運転根絶に向けた取り組みがなされています。
しかし、飲酒運転は毎年一定の件数発生しているのが現状です。
警察庁が公表している統計によると、2021年中の飲酒運転による交通事故件数は2198件(前年比-324件、-12.8%)でそのうち152件(前年比-7件、-4.4%)が死亡事故となっています。
それぞれ事故件数は、前年2020年と比べて減少傾向にあるものの、2008年以降減少幅が縮小傾向にあるといい、毎年絶えず続いていることが分かります。
2002年以降は飲酒運転が徐々に厳罰化され、社会の目も厳しくなってきているといえますが、ではなぜ飲酒運転はなくならないのでしょうか。
考えられる要因について、過去のアンケート調査に手がかりが見られました。
過去公益財団法人 交通事故総合分析センターが、過去2005年度に飲酒運転事故の当事者等202人を対象におこなったアンケート調査を実施。
アンケート結果の飲酒運転をおこなった理由については、37%の人が「酔っていないと思った」と回答したほか、「飲酒量が少ない」「飲酒から時間がたった」「酔いがさめた」を理由に挙げた人がそれぞれ20~25%といった回答となっています。
これにより、自分の感覚で「酔っていない」「アルコールが体から抜けている」と判断した人が多いことが分かります。
では実際飲酒後にアルコールが体内から消えるまでにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
国土交通省が公表している「飲酒に関する基礎教育資料」では、アルコール度数5%のビール350mlを飲んだ場合には3.5時間、アルコール度数5%のビール500mlやアルコール度数7%のチューハイ350ml、アルコール度数15%の日本酒0.8合などの場合であれば5時間程度の時間を要すると説明しています。
もちろん飲酒する人の体重や性別、体質などによってアルコールの影響は異なりますが、仮にアルコール度数5%のビール350ml缶を2本飲めば、アルコールの分解に7時間も必要とする可能性があるということです。
※ ※ ※
このように、飲酒運転が起きる要因のひとつには体内からアルコールが消えるのに必要な時間を理解せず、アルコールが消えたと自己判断し、運転できると思い込んでしまうことが要因のひとつといえるでしょう。
飲酒してから時間が経過していてもお酒が体に残る可能性があることを知ったうえで、二日酔い運転とならないよう注意し、状況によってはクルマの運転を控えることも検討するべきといえます。
■なかには飲酒運転「常習犯」の人も
このほか筆者(元警察官はる)が過去警察官として交通取り締まりをおこなっていた際、飲酒運転の「常習犯」もいました。
飲酒運転「常習犯」の主張とは
実際に交通取り締まりをおこなったドライバーを思い返すと、毎日晩酌するなどお酒を日常的に飲んでいる人が多かったように思います。
理由については、はたから見るとフラフラ運転なのにも関わらず「自分ではきちんと運転しているつもりだった」「今までに事故を起こしたことがないので大丈夫だと思っていた」「飲酒運転のニュースを見ても他人事だと思っていた」など、安易な考えを持って主張をしている人が多かったと感じています。
たまたま事故を起こさなかったか、警察に捕まったことがなかったというだけで「自分は大丈夫だろう」と甘い認識で運転をおこなっていたほか、どうしても飲酒がやめられずにクルマを運転するというケースも見られました。
自分の意思で飲酒をやめられなかったり、飲む量やタイミングをコントロールできない場合にはアルコール依存症である可能性が考えられるため、病院で診察を受け、適切な治療を受けなければいけません。
飲酒者本人が疾患に気づかないことも多いので、家族や同僚など周囲の人が様子を気にかけることも必要といえるでしょう。
※ ※ ※
そもそもアルコールには、少量でも脳の機能を麻痺させる作用があり、知覚や運動能力を司る部分が抑制され、たとえば同じ話を繰り返したり、足もとがふらついたりなどの影響があります。
つまり、アルコールを摂取することで情報処理能力や注意力、判断力が大いに低下するということです。
このため、飲酒した状態で運転をすることで、車間距離の判断を誤ったり、歩行者やまわりの車両、建物などに気づくのが遅れたり、それらに気づいてもブレーキを踏むまでの時間が長くなるなどして死亡・重傷事故につながるおそれがあります。
筆者(元警察官はる)が実際に交通取り締まりをしていた際、深夜に飲酒運転をしたクルマがあちこちのブロック塀に衝突しながら、最終的に民家に突っ込むという事故が発生したこともありました。
その時は幸い住民に怪我はなかったものの、住民が寝ていた場所次第ではどうなっていたか分かりません。このように、飲酒運転は人の命を奪う可能性がある危険行為なのです。
飲酒運転は最悪の場合死亡事故につながる危険性があることを理解し、飲酒する機会があれば「飲酒運転をしない・させない」という意識をもつことが非常に大切です。
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