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雪道走るなら「2WD」と「4WD」どっちがイイ? 万能に見える4WDに意外なデメリットがあるってホント?

くるまのニュース / 2022年12月29日 20時10分

雪道を走るなら2WDと4WDではどちらが良いのでしょうか。2WDと4WDの違いを比較すると、万能と思われている4WDには意外な盲点があることがわかりました。

■悪路走破性は4WDが優位なのは事実

 冬になると一度は話題にあがるのが「雪道に強いのは2WDと4WDはどっち?」ということです。

 通常の天候での舗装路であればその違いはあまり感じないかもしれませんが、グリップ力が低下する雪道などの悪天候では、走破力が高いといわれる4WDが欲しくなる気持ちもわかります。

 雪道を走るなら2WDと4WDはどっちが良いのかを検証してみましょう。

 2WDと4WDの違いを考えるうえで重要なのが、双方のメリット・デメリットを理解することです。

 まず2WD(2 Wheel Drive)は、エンジンから伝わるパワー(駆動力)は2輪に振り分けられています。そして2WDには「FF(フロントエンジン&前輪駆動)」と「FR(フロントエンジン&後輪駆動)」、さらには「MR(ミッドエンジン&後輪駆動)」、「RR(リアエンジン&後輪駆動)」の4種類があります。

 そのなかでもっともポピュラーなのが「FF」。エンジンと駆動系が近く、コンパクトに設計できるため、スペース効率に優れているのが特徴です。

 一方、いまでも根強いファンが多いのが「FR」は、操舵輪が前、駆動輪が後ろといったように分かれていることから、自然な操作感とハイパワーでも無理が生じにくく、高級車やスポーツカーなどで採用されています。

 2WDのメリットでまず思い浮かぶのがコストです。4WDと比較すると複雑な機構や部品点数を削減でき、かつ重量も抑えることができるため燃費を稼ぐことも可能です。その反面、駆動輪のグリップ力が低下してしまうような状況では、タイヤが少しずつ空転し、路面にパワーが伝わらないなどの状況に陥ることもあります。

 それに対して、駆動力を4つのタイヤに割り振ったのが4WDです。その4WDにも複数のタイプがあるのですが、最近のトレンドは「フルタイム式(オンデマンド)4WD」と呼ばれるもの。

 通常はFFかFRの2WD状態で走行し、前後輪の回転差が大きくなる(つまり一部空転している)状態を検知すると、残りの車輪にも自動的に駆動力を分配し、より駆動力を発揮させるシステムです。

 デメリットも当然あって、駆動力を分配させるための機構やパーツを搭載することで重量が増すこと。重くなれば当然燃費にも悪影響を及ぼしますし、パーツが増えれば故障のリスクも高まります。

 それでも近年4WD採用車の需要が高まっている背景としては、電子制御によって走行中の車体のバランスを自動制御し、安全性を高めることができるところまで進化していることが大きいでしょう。

 またスポーツカーの分野でも、重量増を物ともしないハイパワーを確実に路面に伝える駆動方式として、4WDを採用するモデルが増えています。

 では、2WDと4WDではどちらが雪道を走るのに適しているのでしょうか。国体にも出場経験のある元スキー選手のT整備士は、冬には何度もゲレンデに足を運ぶため、雪道の走りは熟知している、いわば雪道のプロです。そんなT整備士の見解を聞いてみました。

「雪道の走行に関していうなら、やはり4WDに軍配が上がります。たとえそれが『生活四駆』とも呼ばれるスタンバイ式であっても、駆動輪が滑り出したときに別の車輪で駆動するアシストを受けられるメリットは大きいです」

 とくに山岳部などはアップダウンが激しく、2WDでは滑ってしまって登れない坂などもあるといいますが、そんな坂道でも4WDであれば登ることができるといいます。

「4WDは2WDよりも重量増になりがちですが、この重量増が逆に路面へのトラクション稼ぎにもなります。

 タイヤをしっかり路面に接地させ、駆動力を4つのタイヤで分散するほうが雪道では安定して走れます」(元スキー選手のT整備士)

 しかし雪道に強いはずの4WDですが、すべてが完璧とはいかないようです。上り坂を得意とする駆動力も、下り坂となるとタイヤが滑ってしまう危険性があるというのです。車両が重いため、下り坂でのブレーキングが苦手なのです。

「どんな駆動方式でも、タイヤのグリップを失ってしまってはコントロールができなくなってしまいます。

 4WDでスタッドレスタイヤを履いていても、下り坂ではグリップ力を失いやすくなり、コーナーなどは、かんたんに挙動が乱れてしまいます。

 下りでも安全に走行できるように、くれぐれもスピードを控えてコーナーを曲がるようにしましょう」(元スキー選手のT整備士)

■2WDで雪道を走るときの注意点

 雪道では4WDに軍配が上がるようですが、2WDであってもちろん走行できます。

 実際に多くの2WD車が雪道を走っていますし、あくまで4WDのほうが優位という話。ただし、2WDならではの雪道走行での注意点はあるようです。

「2WDでも雪道を安全に走行したいのであれば、TCS(トラクションコントロール)や横滑り防止装置、ABSなどが装備されているクルマが良いと思います。

 とくに横滑り防止装置は、コーナリングなどでクルマの挙動が乱れたとき自動でブレーキとアクセルをコントロールしてくれます。よほど古いクルマでなければ付いているはずです」(元スキー選手のT整備士)

2WD(FR)の日産「スカイライン 400R」2WD(FR)の日産「スカイライン 400R」

 また、雪道走行の上手・下手は経験値の多さによって比例するともいわれています。刻一刻と変化する路面状況を走行するたびに、感覚的に安全な走行が分かってくる部分もあるそうです。

「口で伝えるのは難しいのですが、雪上走行を繰り返していると『ここまでいったら危ないな』という感覚が身に付いてくるものです。

 ハンドルを通じてタイヤが雪を踏んでいる感触や、駆動輪が路面と接している感覚などが分かってくると、2WDでもそれなりのペースで走行できるようになります。

 また急な登坂は避けるようなルートを選ぶというのも、2WDで雪上走行するうえで重要なことです。平坦なルートであれば2WDで挙動を乱すことも減るでしょう」(元スキー選手のT整備士)

 またT整備士いわく、急加速はもちろん危険ですが、急減速させるのも危険なのだとか。とくにFR車の場合、急減速はシフトロックを誘発する可能性もあり、トランスミッションを傷めるだけでなく、挙動が大きく乱れる原因にもなるのだそうです。

「シフトロックとは、シフトダウンによって急激に回転数が上がりタイヤがロックする状態のことです。

 意図的にドリフトさせるきっかけにもなりますが、雪上走行ではコントロールを失うことに等しい危険性があります。

 とにかく雪道では『穏やかな加速・緩やかな減速』を心がけていただければ、より安全に走行できると思います」(元スキー選手のT整備士)

 またスタッドレスだけでなくタイヤチェーンが必要なほどの大雪になると「チェーン規制」が発令される地域もあり、この場合は2WD・4WDに関係なくスタッドレスを履いていてもタイヤチェーンの装着が義務付けられます。

 タイヤチェーンは、発進と停止には効果的なのですが、カーブや轍で横にズレる危険性もあります。

 カーブ手前の直線で十分に速度をコントロールしてゆっくりと曲がり、車間距離を十分に取って制動距離を確保しておくことで、多少グリップ力を失っても事故を防げるような運転を心がけましょう。

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